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第8話 理論外の存在
――記録開始。
アークは自室の研究室で、一人、魔導板に向かっていた。
結界区域のログ。
生徒の魔力量推移。
空間魔力の変動履歴。
「……何度見ても、おかしい」
結界暴走時。
魔力は確かに臨界点を超えていた。
にもかかわらず、
結果だけが存在しない。
「修復じゃない。
打ち消しでもない。
上位干渉……いや、それすら違う」
アークはペンを止めた。
「――“再定義”か」
魔法とは、本来
「世界のルールを一時的にねじ曲げる行為」。
だが、レオンがやったのは――
ルールそのものを書き換えた結果だけを残す行為。
「生徒の枠に収まるわけがない」
アークは、静かに笑った。
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その頃、レオンは学園の外れにある古い回廊にいた。
使われなくなった魔法陣。
ひび割れた床。
人気は、ない。
(視線がある)
はっきりとした悪意ではない。
だが、確実に“見られている”。
「……出てこい」
空気が、揺れた。
回廊の奥から現れたのは、
黒いローブを纏った、顔の見えない人物。
「やはり、感づいていたか」
低い声。
学園の人間ではない。
(外部勢力……来るのが早いな)
「目的は?」
レオンの問いに、ローブの人物は一瞬、沈黙した。
「――“確認”だ」
次の瞬間、
空間が歪み、魔法陣が強制起動する。
攻撃魔法。
殺意はない。
だが、試す気満々だ。
(面倒だな)
レオンは、ため息をついた。
「――停止」
たった一言。
魔法陣は光を失い、
歪んでいた空間は、最初から何もなかったかのように戻る。
ローブの人物が、息を呑む。
「……噂以上だ」
「帰れ」
レオンはそれ以上、何もしなかった。
「今は、学園を壊す気はない」
その言葉に、
ローブの人物は小さく笑った。
「その“今”が、いつまで続くかだな」
次の瞬間、姿は霧のように消えた。
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同時刻。
アークの魔導板が、強く光る。
「……学園外縁で、空間干渉?」
数値を見た瞬間、アークの表情が変わった。
「結界を越えた存在が……しかも、戦闘記録ゼロ?」
確信する。
「もう、学園だけの問題じゃないな」
アークは立ち上がり、窓の外を見る。
その視線の先――
回廊の影から、静かに歩き去るレオンの背中があった。
「君は、
どこまで“世界”を壊すつもりだい?」
――理論は、完全に崩れ始めていた。
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