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その夜、拠点の周囲には異様な霊圧が漂っていた。空気が張り詰め、何かが起こる前兆を感じ取った部隊は、即座に動き出した。
「またか…」透が険しい表情で外を見つめる。
そこに現れたのは、異形の姿をした十二神将の一体――「炎刃」だった。全身が炎で覆われ、巨大な刀を携えた恐ろしい敵だ。
「まずは相手だ。」百鬼が前に出た。
「待て、百鬼。奴はただの一体だ。他にも潜んでいるかもしれない。」制止するが、振り向きもせず、炎刃に向かって突進した。
百鬼は剣を抜き、炎刃と激しい戦いを繰り広げた。だが、炎刃の力は凄まじく、その攻撃は次第に百鬼を追い詰めていった。
「くそっ、思った以上に強い…!」百鬼が汗をかきながら耐えた。
「私が援護する!」朱音が呪力を集中させ、遠距離からの支援を開始する。
その時、白川が冷静な声で言い放った。「時間の無駄だ。」
「白川…?」透が驚いた表情で振り返る。
「俺が行く。時間をかける必要もない。」白川がゆっくりと歩み出た。
白川は、炎刃に向かって一歩一歩近づく。その姿に、敵でさえも一瞬の緊張を感じ取った。
「またお前の出番か…だが、力を過信するなよ!」百鬼が忠告するが、白川は冷笑を浮かべるだけだった。
「黙って見てろ。」
白川は手をかざし、再び強力な呪力を解放した。黒い渦が再び彼の手に現れ、「無限殲滅」が蘇るかのようだった。しかし、今回は違う。新たな技が彼の手の中に秘められていた。
「お前なんぞ、一瞬で消し去ってやる。」そう呟いた瞬間、白川の手から放たれた呪力は、炎刃を瞬時に包み込み、その存在をまるで無に帰すかのように消し去った。
「な…何だ、この力…」透は呆然とその光景を見つめた。
「強くなりすぎている。白川が何を目指しているのか…それが問題だ。」朱音も不安を隠せない。
炎刃が消え去ったことで、一旦の危機は去ったかに見えた。しかし、朱音はさらに深刻な表情を浮かべた。
「まだ残っている。他の神将たちがこれから動き出すだろう。」
「一体どうすれば…これだけの強敵相手に、俺たちは勝てるのか?」透が不安そうに呟いた。
白川は冷たい目で彼らを見下ろし、呟いた。「俺が片付けてやる。お前らはただ見ていろ。」
その言葉に、全員が戦慄を覚えた。白川は確実に強大な力を手に入れていたが、その代償として、何か大切なものを失いつつあるのではないかと、誰もが感じていた。