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_動き出したのは、ぜんこぱすだけではない。
「…あの羽…プサ・ユンゲスの関係者だ!!殺せ!!」
反逆者全員が、確かに動き出していたのだ。
アラートは鳴り響く、だが反逆者はいにも介さない。
ただ壊すのみだ。
ただ壊し、財閥も何もかも無くなった世界で、平和に暮らすのみ。
「…!?だ、誰ですか!!?」
「きゃぁあああっ!!!」
プサ・ユンゲスのメイドは、一瞬のうちに腹を抉られていた。
___
「…チッ、反逆者がこっちに来た。」
ルカはイラついた様子で赤い光を眺めていた。
反逆者はプサ・ユンゲスの館入口付近を制圧し、あたりの執事やメイドを動けない状態にまで追い込んだ。
ルカたちは三階のヒナの部屋で息を殺し、静かにその様子を見ていた。
_そして、どうするべきかを小声で話し合う。
「…ルカ兄、だめだよ、いくらリィン・システムを持ってるとはいえ、相手は能力持ちっぽい。」
「そうは言っても…」
ルカはため息をついた。
「…」
滅多に見ないほど、彼は辟易としていた。
「チッ…でも、メイド達の安全は…!!」
ルカは拳を握り締めていた。
怒りを押さえつけるように、今にも悔し涙が出そうなルカを、ヒナは見ていた。
(…私を庇ってくれた時のルカ兄も、こうだったよね。)
(…ほんと優しすぎるよ、仲間に。)
(…)
ヒナは少し、感化されそうになる。
(…でも、今外に出たら…無駄にリィン・システムを使うことになるよね。)
(…それは…)
ヒナは葛藤していた、きっとリィン・システムを持つ物自らが動いた方が犠牲は少なく出来るのだろう。
_だがタヒんだときの痛みというものはリィン・システムにはどうしようもできない。
_そして、これが本当に呪いの道具なら、なにかデメリットがあってもおかしくない。
(……どうしたら…)
「うわぁああっ!!!やめろ!!なんだよお前!!」
今度は執事だ、ここを突破されたら、全員殺されるかもしれない。
武力では勝てない_武力では_
(…)
ヒナは窓側に出て、よく反逆者を観察する。
「…ヒナ、どうした?」
疑問を投げかけるルカをよそに、ヒナは考える。
「…ルカ兄の武力が通じないなら…」
「私の知力で、撒けばいいじゃない。」
ルカは、目を丸くした。
ヒナが初めて_明確に前へ出た瞬間だった。
「…人数はざっと50、うち26人は炎の使い手。」
「なら可能性として…放火とか考えられるかも?」
「…ヒナ…!」
「ルカ兄、炎の能力者を鎮めたいから、バケツの水大量に持ってきて。」
「執事も連れてって、とにかく水を持ってきて、あとルカ兄が脅すために使ってる剣と銃も。」
「了解!!」
ルカは部屋を出て、夢中になって走った。
ヒナの成長、そして今この状況を打破する策として、ルカは遂行する。
「っひぃ!!ど、どうしたら…」
廊下で慌てふためく執事の肩を強く揺する。
「おい!!落ち着け!!」
ルカは落ち着くよう促す。
「他の執事も探しに行こう、何人かで行動するんだ!!」
「ルカ様…!分かりました!!」
2人は走り、次々と見つけた執事に同行を促す。
「いいか、ヒナからの命令だからよく聞け!!」
「バケツの水をありったけ持ってけ!!負担とかそんなこと言っている場合じゃない!!」
「仰せのままに!!!」
緊迫は加速する、だがヒナの知力や警戒心を活かすため、今は走ることに集中しなくてはならない。
「水道は3階のを使え!!エレベーターは使うな!!」
「今は非常事態だ!!」
「了解!!」
___
「…アイツは雷系の能力を持ってる。」
(…嫌だけど…)
(今は、それでも……)
「…多少の犠牲は仕方ないか」
ヒナは反逆者が一望できる窓を、音を立てずに開ける。
(…今こそ…!)
ヒナはそう直感し_少しだけ窓から身を乗り出すと、館前に居座るそいつに手を伸ばした。
___
「殺せぇえぇえええ!!!!壊滅させろ!!!皇もメイドも全員だ!!」
「うぉおぉおおっ!!殺す!!殺してやる!!」
その刹那、視界外から迫る金属音に、ようやっと気がつく。
それは_40代の男に向かっていた。
「…はっ!!?」
鎖だ。
「っがァっ…!!!」
それは容赦なく右腕を貫き、次に喉を、左腕をと貫く。
「おい!!大丈夫か!?おい!!!」
「くさり…だ、いも、うとの野郎…」
ヒナの眼光が明らかにこちらに向けられていることに_男はようやく気がつく。
「…あ゛…のク…ッソ…!!!」
男は震える両腕をヒナに向けようとする。
だが3階から迫る無情な鎖は、まるで手錠のように両腕に巻きついた。
___
(…捕らえること以外に使うつもりはなかった…けど、アイツを一瞬で封じ込められるのは…)
「っがァぁぁぁぁぁあ!!」
「…!」
ヒナは3階まで響く絶叫に驚き、思わず鎖を緩めてしまう。
「…!アイツ!!怯みました!!」
「”落”!!!」
_一瞬で、光はこちらへ集まった。
そしてその電磁砲が、ヒナに向かって発射された。
電磁砲は2階ほどの場所でしばらく停止すると、瞬く間に広がり、人口の雲を上空に生成する。
「…っクソ、発動された!!」
「…館に受けてもらうしかない!!」
窓をバンッ!!!と閉め、 ヒナは急いで部屋の中の方へ駆ける
雷によって焦がされる壁を見て、悲しみを覚えてしまう。
(…う、うぅ…でも…!!)
「…でも…!こんなんで負けないから!!!」
ヒナは、再度窓の方へ向かった。
___
「っクソ!!当たらなかった、館を盾にしたんだ!!!」
「いいご身分だよなぁ本当に!!建物を盾にしてまた逃亡するんだろ!!?」
「タヒね!!タヒんでしまえ!!ぁああぁあっああ!!!」
炎が瞬く間に集まって、キャンプファイヤーを思わせる大きな大きな炎が、思いっきり館に向けて発射される。
だが_
バシャンッ!!!
何重にも重なる、水の音が聞こえた。
「…は…??」
___
「舐めんなぁぁああぁああ!!!」
ルカと、執事5人が_部屋に到着し、水を思いっきりかけた。
燃え上がる炎を押し潰そうと、滝のような水が、空へ飛散する。
飛散した全ての水は、豪雨のように反逆者に襲いかかった。
降ったそれを、濡れずに帰ることなど不可能だ。
それと同じように_降り注ぐ豪雨を避ける猶予は与えられなかった。
思いっきり、水は反逆者を叩きつける。
_びしょりと濡れた反逆者は叫ぶ。
「…っ!!!ふざけんなぁあぁぁぁっ!!!」
「なんなんだよ!!なんなんだこのクソ…!!!」
_炎は、勢いを弱めた。