テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『英雄の血を引いてるのに、なんでそんなに体が弱いんだ』
──ごめんなさい。
『・・・まさかあの二人からこんな虚弱な子が生まれるなんて』
──ごめんなさい
『・・・お前なんて、英雄になれるわけないだろ』
──ごめん、なさい
✵✵✵✵✵
「・・・ごめんなさい」
そうすまない先生が泣きながらこぼしていた。
そんなすまない先生の頬を拭う。
「・・・ったく、お前も難儀だよなぁ・・・すまない一族で“英雄”になる素質を持って生まれたのに、その素質と身体が釣り合わないなんてな」
そう青年はこぼした。
それは、呆れと言うよりかは・・・?
✵✵✵✵✵
「・・・ぁ・・・」
掠れた声がこぼれる。景色がぼんやりしている。すまない先生は身体を動かそうとするも、指先一つさえ動かない。
だが、無理やり動かそうとした。すると、
「辞めとけ、お前、不死のトーテム使いすぎて体に負荷がかかってんだから」
その声に、すまない先生は目を丸くした。
嫌でも聞きなれたその声。すまない先生は目を横に向けた。
そこには、“血のような赤い瞳”の“自分”が座っていた。
「・・・っ!・・・おまっ・・・ゲホッゲホッ!!」
「馬鹿、喋んな。レッドの炎の攻撃の際、少し吸っただろ?それで軽く喉が火傷してんだから」
と、青年はなだめた。それにすまない先生は警戒を抱く。
「・・・・・・」
「そんなにらむなって・・・あれだろ?“どうして僕を助けたんだ”だろ?」
すまない先生は自分が思っていたことを一語一句間違えず当てられ、驚いた。
「・・・“なんで分かったんだ”だろ?」
すまない先生はこくりと一つ縦に頷く。
「・・・俺は“お前のクローン”だからな。ある程度何を考えてるか分かる・・・そんな嫌そうな顔すんな。思考パターンが同じだからって意味だよ」
思わず顔に出ていたようだ。すまない先生は睨むように相手を見ていた。
“クローン技術”については、あまり驚かない。ホワイトやブラックが作ってたのをこの目で見た。けれど、こうやって話せたりしたことはなかった。
「・・・で、最初の問いだったな。・・・“俺には、やらなきゃいけねぇことがある”・・・そのために、今ここで、お前に死なれたら困るんだよ」
その言葉に、すまない先生は首を傾げた。
「・・・“やらなきゃいけねぇこと?”・・・わりぃがそれは今は言えねぇ・・・」
そう目の前の自分そっくりの青年がこぼした。青年の瞳には“ひとつの強い意志”のような物を感じた。
自分とは違う真っ赤な瞳をじっと見ていると、
「・・・ほら、治癒のポーション。不死のトーテムを酷使しすぎで効果は薄いだろうが、飲んどけ」
「・・・・・・・・・」
「はぁ?“毒でも入ってるんじゃないか?”か?ばっか、入れるわけねぇだろって、今ここで死なれたら困るんだって、いいから飲め!」
と、青年は無理やりすまない先生の口に治癒のポーションを流し込んだ。
火傷跡に流れる液体にちくりと痛みが走るが、じわりじわりと痛みが薄れていく。
先程まで感じていた痛みが薄れ、じわじわ眠たくなってくる。
「・・・寝とけ。また起きたら戦わねぇといけねぇだろ?どうせ今の体じゃ帰ることすら難しいだろうしな」
と、青年はすまない先生の頭を撫でた。
──本当に、意味が分からない
生徒たちを洗脳、誘拐して、戦わせているのに、今こうして自分の怪我を治してくれた。
一体、何が目的でこんなことをしているのか、もっと問いただしたいのに、体が言うことを聞いてくれない。
すまない先生はそのまま眠った。
コメント
2件
やっほソーダ!久しぶり! なんか、表現力めっちゃ上がってるんやけどw すまない先生のクローン!?信じがたいけど、すまない先生の思ってること一言一句当てちゃうなら信じるしかないね…この先どうなるんだ!!めっちゃ気になる!