『自慢のおに~ちゃん』桃×赤
第2話いつも通り
ジュージュージュージュー カタカタ コトコト グツグツ
桃side
結局、喧嘩した”まま”のあの日から最低限のことしか赤と話していない。だからかなにか物足りない気がする…。たった家族の一人である赤にも、もともとだったけれど居心地の暖かさがなくなったなぁ……と一人で晩(夜)ご飯を作っていると
ガチャ
赤)・・・・・・
赤が帰ってきた。
桃)・・・・・・・・・お、かえ、、り…
いつもなら犬のように廊下を走っていたのに… 大喧嘩した日から赤の目線を合わせることすらしていなかった。いや、できなかった。と言ったほうが正解なのだろう。。。普段通りの日常があんなに幸せだったなんて今 気づいたんだ。
何にしても、遅すぎるよね。(苦笑)
赤)ただいま)ボソッ
桃)ッッッ…!コクッ
一瞬びっくりした…。まさか返されると思ってなく「おかえり」しただけなのに、「ただいま」と”そこまでしてくれる”ことなんて想定外だったから。。。
変なところまで考えるのはやめよう。桃。
他の人からしたら ただいま とかえしてくれるほんの一言一言が”当たり前”なのかもしれない…。だけど、俺はそのただいまという何気のない言葉を自分に向けて伝えてくれるだけで、、、どれだけのエール・元気をもらえるか…
もっと深く考えると泣きそうになるから、この盛大な喜びを今は 心の内に秘めておくことにした。
赤side
桃くんと久しぶりに話した。桃くんが「おかえり」と戸惑いながらも話してくれたおかげだ。だから、赤も喧嘩の1つの原因となった「ただいま」というワードを言った。無心に。
言わないと”また”怒られるとかじゃなく桃くんに「申し訳ない」とか「後で赤が損するだけ」とかの気持ちのほうが、強かったから。
聞こえていないかもしれないけど… 思いっきり.無理やり言葉に出した。
最近、最低限のことしか話していないせいかだんだん距離が離れていって気まずい形に変わっている気がする。))
赤)ヤバいッッッ!!!
桃)…ん?…どうした?
赤)いや、何も……
ヤバいヤバい。ヤバすぎて語彙力失う。 )ていうか、桃くん耳良すぎだろ…こわ~…
桃)そんなところで突っ立ってなくて早くお風呂入ってきぃ…もう風呂湧いてるから。
赤)分かった。先に荷物置いてくる……
桃)…ん……。
桃くん…前までデレデレだったのに今って言うか最近、赤にそっけなくなってる気がする……。
間違いなくあの喧嘩が原因なんだよな…。唇を噛み締めながら、階段をかけ上った。
ガチャ
赤side
大学のレポートの用紙たちが入っている重~い鞄を腕から下げる。
普段通り、同じ路地を歩いて大学から家に帰り、家のドアノブを押すと5秒遅れに前は聞き慣れていた声が今は不思議で落ち着かない桃くんの地味に上手い鼻歌が聞こえる。家の点火ダイヤルを回している音と野菜か魚を焼いている音が合わさっている。
それが、赤ん家の日常。
玄関で靴を脱いでリビングまで行くと、赤の兄.桃くんが居る。
向かい合わせのキッチンで一人、真剣なまなざしで料理をしている姿と共に、油とドレッシングソースの良い香りがした。
おそらく夜ご飯を作っているのだろう。。。
それが、いつも通り。今まで通り。
桃くんが「おかえり」って微笑みかけて赤に向けながら1つの貴重な愛を伝えてくれること。
その貴重な愛(ぬくもり)を無望に受け取っていること。
それが当たり前。
……だと、思っていた…。
赤)”いつも通り” ”当たり前” は、そんなに軽い言葉だったんだッ……。
赤)ッッッ………
これまで当たり前と決めつけていた赤がバカみたいに見えた。
赤)ダサッwww
ポツンッと赤だけの声が大きく響いた。”今の時間だけ”が頭痛とか一切感じなかった。それより優先に考えることがあったから。
今さら気づいたんだ。赤が全部悪いってこと。桃くんは合っていたんだ。全て…
桃くんに今すぐ謝りたいッ。。。許されなくてもいいからッ。「ごめんなさい」って「赤が全部悪かった」「桃くんは悪くないよ」って…
なぜか、自然に涙が出てくる。。。(ポロポロ ポロポロ…ゴホッゴホッ)泣きたいのは桃くんなのに。。。
罪悪感しかない。
赤)桃くんに酷いことをしちゃったなぁ……桃くん泣いてないかなぁ……ゴホッゴホッゴホッ
とりあえず桃くんが心配だ…ガチで大丈夫かな……許してくれるかな???
だめだめッッッ!弱気でいちゃだめ。泣くな。赤。 )ポロポロ
解決がまだできていないのに安心したのか、だんだん喉が痛くなってきている…。ゴホッ
絶対今日の夜ご飯のとき、タイミング掴んで謝ろかぁ…。ゴホッゴホッ
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