ぺ「そろそろお昼きますよ!」
あ「もうそんな時間かぁ、早いなぁ」
そう言って立ち上がった。
あ「あっ…うぅ……」
ぺ「あちゃみさん?大丈夫ですか?!」
あ「うん…平気、うぐっ」
あちゃみさんの顔がどんどん青くなっていってるのがわかった。
看護師「大丈夫?!」
ぺ「看護師さん!あちゃみさんが…!」
急な事態に慌ててしまい、上手く説明ができない。
看護師「大丈夫!僕に任せて!」
あ「はぁッはぁッ」
看護師「ゆっくりでいいからしっかり呼吸してね、落ち着いたら車椅子乗ろっか!」
看護師さんの近くに車椅子が置いてあった。
看護師「落ち着いた?じゃあここに座って!」
あ「はぁッ…ぺんちゃんッ……」
ぺ「えっ、俺?」
看護師「じゃあぺいんとくんも着いてきて!」
俺は頷き、あちゃみさんの手を握りながら処置室へと向かった。
処置室へ着いた頃にはあちゃみさんは落ち着いていた。
看護師さんは、まだ心配だから、と言ってあちゃみさんの腕に点滴を打った。
看護師「ぺいんとくん、ありがとう!」
ぺ「俺なにもしないですよ?」
看護師「いや、ぺいんとくんのお陰で発作が落ち着いたんだよ!
いつもなら酸素マスクを着けないと落ち着かないからさ」
そう言い、すやすやと眠っているあちゃみさんを見つめた。
看護師「ぺいんとくんも疲れたでしょ、病室に戻ってもいいよ!」
ぺ「はい!」
俺はさっき起こったことを思い出しながら病室へ戻った。
今思い出せば、あちゃみさんの手はとても弱々しかった。
ぺ「…大丈夫かな……」
俺は病室へ戻り、ベッドに転んでからも考えた。
医師「ぺいんとくん、ちょっといいかな?」
突然俺の横にやって来て、傷口を見始めた。
医師「うん、これなら明日でも退院できるね!」
ぺ「ほんとですか?!ありがとうございます!!」
医師は、よかったね、と言いながら病室を出ていった。
プルルルルル プルルルルル
ぺ「あっ、トラゾーからだ」
ト:もしもしー、ぺいんとー
ぺ:どしたー?
ト:明日ぺいんとのとこ行ってもいい?
ぺ:俺明日退院するんよ!
驚かせようと思った。どんな反応をするか楽しみにしていたのに。
ト:へー、そうなんだ
ぺ:へーそうなんだ?!もっと驚けよ!!笑
ト:うそうそ笑、驚いたって!笑
スマホから大きな笑い声が聞こえてきた。
それにつられて俺も笑ってしまう。
ト:じゃあ一緒に病院出ようぜ!
ぺ:おう!
久々にトラゾーの声が聞けて、少し嬉しかった。
ぺ:待ってるからな!絶対来いよ!あ、あと多分学校終わったあとでも間に合うと思うから!
ト:了解!
そして、電話を切った。
ぺ「いい親友つくったなぁ」
ぺ「あ」
あちゃみさんが戻ってきた。
ぺ「おかえり!」
あ「ただいま!色々ありがとね!助かったわ!」
いつものあちゃみさんだ。
ぺ「もう大丈夫なんですか?」
あ「うん!」
さっきのあちゃみさんとは考えられないほど元気な声で返事をした。
頑張って生きようとしているんだな、そう思った。
ぺ「まだ寝てた方がいんじゃないですか?」
あ「そうだね、心配してくれてありがとう!」
そう言って、ゆっくりとベッドに入り、すーすーと寝息をたて始めた。
ぺ「何かできることがあればいんだけどなぁ…」
気持ち良さそうに眠るあちゃみさんを見ながらボソッと呟いた。
~夕方~
し「ぺいんとさん!」
ぺ「しーッ!」
し「え?、あっごめんなさい……!寝てるんですね……!」
俺はコクッと頷いた。
し「明日退院するんですよね?」
ぺ「え、なんで知ってんの?」
し「トラゾーさんに聞きました…!」
ぺ「あーね」
すると、しにがみくんが心配そうな顔をした。
し「今度は無茶しないでくださいね…!」
ぺ「大丈夫大丈夫…!」
そう言いながらしにがみくんの柔らかい髪を撫でた。
ぺ「あと、今日も来てくれてありがとな…!」
し「なにもしてないですけどね笑」
ぺ「なにもしなくていいよ…!来てくれただけで嬉しいし…!」
ニコッと笑いながらそう言った。
すると、しにがみも少し笑ってくれた。
し「そうだ…!今度どこか遊びにいきません?」
ぺ「いいね…!行こう行こう…!」
あ「ねぇねぇ」
付き合って最初のデートはどこに行こうか、と考えていると、急に後ろから話しかけられた。
ぺ・し「うわぁッ!!?!」
あ「驚きすぎでしょ!笑」
あちゃみさんの笑い声が病室に響く。
あ「て言うか君可愛い顔してるね!」
し「僕ですか?ありがとうございます!」
あ「ぺんちゃんの周りイケメンしかいないじゃん笑」
そう言いながらまた笑い始めた。
し「えっと…あの……お名前聞いてもいいですか?」
あ「あぁ、ごめんね!あちゃみって言うんだ!よろしく!」
し「僕はしにがみです!よろしくお願いします!」
あ「しにがみくんかぁ!いい名前だね!」
さすがあちゃみさんだ。もう仲良くなってる。
ぺ「そう言えば、あちゃみさんもう大丈夫なんですか?」
あ「うん!平気平気ー!よくあることだし」
そう笑って言った。俺は気の利いたことが言えず、ただ俯くことしかできなかった。
し「僕することないし、帰ろうかな」
ぺ「え~、まだ帰らないでよ、ね?」
俺は目をきらっきらにさせ、しにがみくんを見つめた。
しにがみくんは困った顔で頷いた。
あ「カードゲームしようよ!」
ぺ「いいですね!しにがみもするだろ?」
し「はい!」
こうして俺たちは外が暗くなるまでカードゲームで楽しんだ。
ぺ「また負けたぁぁぁ!!!!!」
あ「弱すぎでしょ笑」
しにがみは、俺とあちゃみさんの会話を聞き腹を抱えて笑っていた。
し「じゃあ僕そろそろ帰りますね!」
ぺ「おう!俺送るわ!」
俺は急かすようにしにがみくんの背中を押した。
し「あ、あちゃみさん!お大事に!」
あ「うん!ありがとう!じゃーねー!」
俺がぐいぐい背中を押していると、急にしにがみくんが止まった。
し「ここら辺で大丈夫ですよ!」
ぺ「あぁ、もう出口か…」
し「じゃあまた学校で!絶対ですよ!」
ぺ「はいはい笑、また学校で!」
俺はしにがみの姿が見えなくなくなるまで見守った。
早足で病室に戻ると、あちゃみさんが俺を待ってくれていた。
あ「ねぇ、ぺんちゃんが付き合ってるのってしにがみくんでしょ?」
ぺ「えっ!なんでわかっ…」
あ「なんとなく、あぁ好きなんだろうなって!」
ぺ「まぁ、付き合ってますけど……//」
そう言うと、あちゃみさんは顔を明るくし、どんなところが好きなのか
どっちがどうやって告白したのかと質問をたくさんしてきた。
目を輝かせているときのあちゃみさんは、まるで病気なんか持っていない
普通の女の子のようだった。
夕食の時間がきた。
あ「ねぇねぇ、こっちに来て一緒にご飯食べようよ!」
ぺ「え、そんなことしていんですか?」
食事を運んできてくれた看護師さんが、ビックリしながらあちゃみさんを見つめていた。
話を聞いていたのだろう。
あ「いいよね?」
看護師「うん!もちろん!」
看護師さんが嬉しそうに食事の準備をしていた。
看護師「はい、どうぞ!」
あちゃみさんのベッドの横に準備してくれた椅子に座った。
そして、看護師さんは遠くの方で俺たちをにこにこしながら見つめていた。
あ「じゃあ食べよっか!」
あ・ぺ「いただきまーす!」
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