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啓悟くんは続ける。
「母親もちゃんといます
犯罪者の父親を匿うため、毎日父からの
DVに耐えながら仕事をしていました
生活は苦しかった…
そんな母親を見るのが幼子ながら苦しかった…
けど俺は信じてたんです
ヒーローは必ず助けてくれると。」
啓悟くんは悲しそうに笑う。
「生活は苦しかったけど、」
ふと
懐をゴソゴソとする啓悟くん。
「これ、母親に買ってもらったエンデヴァーさんです」
そう言って微笑む。
もう、たくさん汚れて年季が入ったぬいぐるみ。
「エンデヴァーさんが俺の父親を逮捕してくれました。
俺母親を助けてくれました
僕の、ヒーローです」
そう言って笑う。
『そう、なんだ…』
私は声をかける。
と
啓悟くんは笑って
「俺、こう見えて小さい頃、優秀で!
だからある組織に飼われたんです」
『え、、、?』
どういうこと?
「最低限の生活を保証する代わりに
俺は、その組織で小学校や学校では学ばない様々な知識を得た
それはもうたくさんの…」
グッと手を握りしめながら辛そうに言う。
「俺は…その組織に入る条件に
父親との関係をきることができました
それに母親とも…
助ける代わりに…ではなく
俺は…母親との関係も切ったようなんです
俺は…ヒーローなんて言われてますけど
ヒーローになろうだなんて思ったけれど
優しくなんかない
この世界の、汚い部分を知ってる
たくさん、汚れた事も、、
してきた…
過去を隠すため、本名も…
教えたのはあなたが初めてでッ…
こんな俺でもあなたはッ…
ねえ、美姫さん
あなたは俺の力になりたい、
あなたは俺を助けたいと、
言ってくれましたよね?
これでもあなたはそう、言えますか?
父親が犯罪者。
母親は俺を公安に売った
親がいないと嘘をついた。
それに…
優しい美姫さんの心につけ込んだ…
こんな俺でも、まだ信じるだなんて
言えますか?」
そう言って私を見る。
今日、ニュースを見た。
ビルが火事でたくさんの人が取り残されて
消防も人手が足りなくて
そんな中ヒーローのホークスさんによって
全員救助。
けが人は無事病院に搬送され命に別状は無い
昨日も殺人未遂事件があった
仕事をクビさせられた腹いせに犯人が上司を刺した。
刃物を持ち振り回したまま逃走中
ホークスさんに拘束された
前にも会社の人が
道行く重い荷物を持ったお婆さんの荷物をホークスさんが羽で運んでくれてたと聞いた
私もヴィランに襲われそうになった時、
助けてくれたのはホークスさんだ。
ホークスさんが優しくない?
そんな事ない。
ホークスさんが汚れてる?
そんな事ない。
それに私の心につけ込んだ、、?
啓悟くんは私にいろんな世界を見せてくれた。
たくさん優しく微笑んでくれた。
いっぱい…愛してくれた。
だから。
答えるべき言葉は決まってる。
『それでも私はあなたが好きッ…』
涙があふれる。
『それでも私はッ…あなたの力になりたい
あなたを助けたい!!』
私は啓悟くんの目をしっかり見て、手を握った。
啓悟くんが私を驚いたように見る。
そして私は啓悟くんをギュッと抱きしめる。
『啓悟くんッ…だいすきだよ』
啓悟くんはだらーんと垂らしていたが
ギュッと私を抱き締め返してくれた。
そして
「美姫さん、、大好きです」
と微笑んだ笑顔には涙があふれていた。
『啓悟くんが言ってくれたの、初めてだね』
「フフ、そうですね」
そう言って2人で笑いしょっぱい、キスをした。