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39 - 第三十九話「双影の男」

2025年07月26日

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鏡が、割れた。


ただのひびじゃない。

それは「境界」の崩壊だった。


“ないこ”の前に現れたのは、

自分と瓜二つの――しかし、どこか異質な少年だった。


冥晶:「……“彼”か」


ないこ:「誰だよ、こいつ……」


少年の姿はまるで、“ないこ”の別の人生を歩んだかのようだった。

同じ顔。同じ声。

けれど、瞳の奥には、底知れない闇が宿っていた。


???:「名前か……そんなもの、あの場所にはいらなかった」

???:「俺は、お前の“影”じゃない。

    同じ計画で生まれ、途中で“処分”されたはずの……実験体B-00」


ないこ:「……!」


冥晶:「“響導研究所”の第一世代……!」


男は、ゆっくりと名乗った。


???:「俺の名前は――“白吼(ハク)”。」

白吼:「お前と違って、声を捨てて生き延びた。

    自分の感情も、心も、全部、音として他人に押しつけてな」


ないこ:「そんなの、歌じゃねぇ……!」


白吼:「そうだな。だけどな、“ないこ”。

   お前の声も、結局“作られた”もんだろ? 研究の成果でしかない」


ないこ:「違う……!」


冥晶の心が揺れる。

その男は、ないこと冥晶の「中間」だった。


感情を失わず、でも吐き出すこともなく、

ただすべてを押し殺して“声”を外へ出し続けた存在。


白吼:「俺はな、“失敗作”のままで終わるつもりはねえ。

    お前の声、返してもらうぜ」


その瞬間、部屋の空気が凍りついた。

白吼の手に、奇妙な黒いマイクが現れる。


白吼:「“共鳴試験・再開”だ――ないこ」


ないこ:「……来いよ。奪えるもんなら、奪ってみろ」


共鳴の地鳴りが、空間を揺らした。

ふたりの“同一存在”による、音と心の激突が始まる。




次回:「第四十話:崩壊前夜、歌えないバトル」

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