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教室の中から、楽しそうな会話声が聞こえる。
声の正体は仁先生と私の友達だった。
今週は2者面談で一人一人話せる時間があるのだ
廊下で、5分ぐらいだろうか。そのぐらい待つと教室から友達が出てくる
「次、かえでだよ〜」
「うん。」
「待ってていい?」
いつものように、そう聞かれる
せっかくの面談だ。そう簡単に終わらせたくはない
「んー、帰ってていいよ。大丈夫。」
「わかったー」
教室のドアが閉まる。時刻は16時近く
普段だったらもう帰っている時間帯だ
「ふふ、待って貰わないのか」
声のする方を向くと微笑んでる先生がいた
「はい。あの、ここから話しても?」
少し気まずくて、距離を開けてしまう。生徒用机が1個ぐらいは入る距離だ
「うん?別にいいけど笑」
「おし、じゃあもう相談したいことないね?」
「うん、全部話しました」
「よし!じゃあ、帰ろっか 」
短い針は5の数字をさしていた。窓から見ると外はもう暗かった
「はい」
教室を閉めて、2人で昇降口まで歩く
先生の兄弟の話とか、学校のこととか話をしながら階段をおりた
昇降口に着く。辺りに生徒の人影はなくて残っていた靴も私の物だけだった
「うわ、暗……」
「家、こっから近い?大丈夫?」
外を見て、心配そうに呟いた
「大丈夫ですよ。こっから20分ぐらいなので」
「そっか、じゃあ大丈夫だ」
このまま帰るのが嫌で、少しだけ変なことを言ってしまう
「でも、もう暗いから誰かにさらわれちゃうかも……笑」
「んー?大丈夫大丈夫!」
「えー、そこは心配するとこでしょー?」
「あー聞こえねぇ笑」
こうやって話せる時間が少しでも続けば良いのに
「じゃあね。先生」
靴を履き、外に出る
「はいたっち!」
最後に、ダメ元で右手を先生に向けた
「はいはい」
先生の右手が私の右手に重なる
重なることがないと思ってた2人の手は、重なって、先生の体温の温かさを感じた
「わ、ありがとうございます!」
「さようなら、先生!」
「はーい、さようなら〜」
そう言い、扉の鍵が閉まるまで先生を見つめた。
見えるまで、最後まで先生のことを見たのは気づかれているだろうか
それでも、あの時感じた体温を、先生の手の大きさを忘れたくはなかった
生徒は私だけ。この瞬間を知ってるのは2人だけ
心臓がうるさく鳴っているのはきっと____
その日の帰り道は、夕方なはずなのに、今までよりも明るく、暖かく感じた
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