テラーノベル
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それからの僕たちは仕事に忙しく追われていた。
「あ〜、そろそろ涼ちゃんちに行ってゲームしたい···」
椅子に座って背伸びをしながら若井がそういうと暫くそんな時間もなかったな、と改めて思う。
「けど今日終わったら少し一区切りじゃない?」
そんな会話をしていると元貴がやってきて若井を後ろから羽交い締めにする。
「まっだまだ忙しくなるよ〜覚悟して」
「ひぃ、涼ちゃん助けてっ」
じゃれつく2人を見ていると少し胸がきゅっとする。
元貴から逃げてきた若井が今度は僕の背中に抱きついた。若井の香水とかそんな匂いを感じてドキドキしてしまう。僕だけきゅっとしたり、ドキドキしたり···なんか悔しくて少し若井に意地悪してやりたくなり、パッと離れると元貴に抱きついた。
「一生懸命やるよ〜!ね、元貴」
「涼ちゃんいいね、やるぞ〜」
元貴が僕に向き合って2人で抱き合ってぴょんぴょんと跳ねる。
自分が意地悪したくせに、その時の若井の顔は見れなかった。
なんだかそのあと若井はいつもより元貴にくっついてることが多かったような気がした。元貴にくっつくような意地悪をした自分のせいか。そう思いながらそんな2人をあんまり見てられなくて休憩中にスタジオを出てジュースを買いに行き、近くのソファに座ってぼんやりしているといきなり後ろから誰かに抱きつかれた。
「うわっ!?だれっ?」
「ちょ、そんな驚かなくても!俺だって」
へらっと若井が目を細めて笑い、 そのまま僕の隣に座るとなぜか肩にもたれ掛かってきた。
「どうしたの、疲れた?」
「ううん、けどちょっと休憩。癒されにきた」
さっきまで元貴とあんなに楽しそうにしてたじゃない、と言いかけてやめた。黙って肩を貸してあげる。若井はズルい。元貴とも仲良くして僕にはこんな風に甘えて。甘えられるのが嫌なわけじゃない。甘えるのも我儘言うのもスキンシップも···全部僕にだけなら全て受け入れてあげるのに。
「もう、戻ろう」
若井をそっと押しのけて立ち上がる。思ったよりも冷たい言い方になってしまって少し自分で驚いたその時、若井手を掴まれた。
「涼ちゃん、なんか怒ってる?」
「なに···怒ってなんかないよ」
「じゃあ俺の目、見てよ。なんでずっと見てくれないの」
そう言われて見つめた若井の目は、潤んでいて、目元が少し赤くなっている。泣きそうな顔になぜか気持ちが煽られて身体が少し熱くなり、目をそらした。
「気の所為だって、ほら戻ろう」
「やだ、まだ時間大丈夫だよ、側にいてよ」
手を離さないどころか若井が少し引っ張るので体勢が崩れて座る若井に倒れかかりそうになり、ソファに手をついた。
呼吸さえ聞こえそうな距離で若井の目潤んだ瞳が僕を逸らさず見つめてきて僕の心を追い詰めた。
「涼ちゃん行かないで、側にいたい」
そう言う若井の顔がなぜかどんどん近くなっても僕は逃げられなくて。ほんの一瞬、唇が触れた。
「···そういうのは好きな人にだけしなよ」
そう言い、今度は若井を強く押して手を振りほどくと僕はスタジオに戻った。
一瞬だけ触れた唇は熱くて混乱した頭と心はひどく痛かった。
コメント
3件
私も💛ちゃん並になんでなんで?!とちょっとパニックに🤣 💙さんの可愛い感じが罪ですね。笑