テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
〜関係のカタチ〜
第99話
今日は休み。俺は、いつもより少し気を張った服を着て……一応、剣も。
リナだったらあり得るし。
でも、それはもう懐かしい過去。リナだってかわり続けている。
鏡の前で、キラリと赤いペンダントを光らせた。
……多分大丈夫。
あ、あの騒ぎの後、俺は直ぐに壊れた所を魔道具出直したから、被害は最小限になった。
だから、こうやって休みが取れる。
「ノア。おはよう」
そう言って降りてきたのは……緑のワンピースを着て、俺がプレゼントした魔法石でもないオーロラ色の石があしらわれた耳飾りを付けたリナがいた。
化粧もされていて、未成年には見間違えられないだろう。可愛くて、若い雰囲気は残しつつ、大人っぽい。
「おはよう」
俺がリナの方を向くと、リナも顔を赤らめた。
「ほらほら、今日はデートでしょ? 思いっきり楽しまないとね」
そう言ったのは、マリーさん。こう見えて、恋バナは大好きらしい。
「「ただのお出かけです!」」
二人でハモった。
「ふふっ。青春ね」
「「デートではありません!」」
二人で全否定したけど……街の中を歩いていたら、カップルに見えるんだろうな……
それから、大通りに来た。
活気があって、とても楽しそう。
「久しぶりだな……ふふっ。こっち行こ!」
リナは、俺の手を掴んで楽しそうに、お店に寄った。
雑貨屋に、茶葉屋に、洋服屋に、おしるこ屋に……沢山行った。俺も、とても楽しい。
……男らしくはないんだろうな……いや、人間の男を目指すのはちょっとだけ違う気がするけどな……
「ねぇ。これ、食べてみない?」
そう言って、わたあめを指指した……わたあめ? 何じゃそりゃ。
俺の頭の上に疑問符を浮かべていると「日本がルーツのお菓子。ふわふわで、雲を食べてるような感覚だよ」と手でフワフワとジェスチャーをした。
雲を……?
でも、美味しそう。
「あぁ。食べる」
「分かった。頼んでくるね」
もう、夕暮れの時間だ。最近はもう、日脚が短い。星もチラホラ見える。月は半月。
さっき食べたわたあめは美味しかった。
今は、丘の上にいる。メルカディアの近くには、大きな丘があって、星が綺麗に見える。
「ねぇ。ノア。付き合ってほしい」
そう言ってリナは、パカリと箱を開けて、サッとブローチを俺に差し出した。顔は真っ赤っ赤で、動きは練習していたのだろう。応えを待つ手がプルプルと震えている。
そのブローチは、空間魔法石と、時空魔法石と、光魔法石が混ざった銀を変形させたように見える。星の形だ。
嬉しくてしょうがなかった。というか、勝手な片思いだと思ってた。
「あぁ。勿論だ」
俺はそう言って嬉し涙を流しながら、笑顔で答えた。
ありがとうっ……
丘の上で、俺たちは愛し合うように見つめ合ってから、顔を近づけた。
それから、唇を優しく重ねた。
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
そして、もう一度唇を重ねた。
❂
サントラップへ帰った。
その道中は……恋人繋ぎだった。
自分で言うと恥ずいな……むぅ……
でも、幸せ。ふふっ。
「「ただいま」」
「「おかえりなさい」」
流石に手を離していたけど……バレたみたい。魔力の動きがいつもの倍くらい嬉しそう。
「今日は、私が家事を済ませておいたから……ゆっくり休んでおいで」
「マリーさん。ありがとうございます」
『すみません。口からはまた後で報告します』と遠回しで言ってから、一人で三階に上がった。
……流石に、ノアの部屋にはいけないよ。
……破廉恥よ。ものすごーく、ハレンチ。
でも、色恋沙汰という、四字とは無縁だった人生を沢山歩んできたけど……
でも、どうするのが正解なの?
……というか、色々知らない事だらけですけど……
私が部屋のドアノブに手をかけると、後ろにノアが立っていた。
「リナ。話したい事がある」
「え?」
「部屋に来てくれ」
「? 今から?」
「そうだが……何か?」
いやいや……夜。自室。ちょっと、心の準備ができてない……
ノアの魔力を見ると、結構本気だった。
……ごめん。凄い、勘違いだったみたい。
「うん。分かった」
……じゃあ、あの事も話して、口止めか。秘密をするなんて良くないし……まぁ、ノアの秘密とそれ相応の事だろうし。
それから、ノアの部屋に入った。いつもと変わらずだ。
「俺、今まであまり言ってなかったが……前世で、リナの前前前世に会った事あるんだ」
は?
「それと、この前隠してたのは……お兄様の事なんだ」
え?
私の思考回路がショートして、ボケっと呆けてしまった。
コメント
1件
わあ、ついに100話! おめでとうございます! デートのひとつひとつが瑞々しくて、わたあめのシーンとか「雲を食べてるみたい」っていうリナの表現がすごく可愛かったです。そして丘の上での告白…リナからブローチを差し出す練習してたんだろうなって思うと、その健気さに胸が熱くなりました。 最後のノアの「前世で会ったことがある」という告白、ここでその伏線が来たか!と背筋が伸びました。お兄様の話も含めて、これからどう繋がっていくのか、もう待ちきれないです。幸せな時間のあとの衝撃、構成が素晴らしかったです。
#ライトノベル
こはる
2,084
植まどか
484
こはる
1,676
601
#溺愛