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コメント
1件
うわー、第101話、めっちゃ重かったですね……。リナの「味覚を失った」告白、そして「捕まえたやつらが全員死んだ」っていう涙のシーン、胸が締め付けられました。ノアが頭を撫でながら「リナは悪くない」って言い聞かせる場面、優しさが沁みますね。でもソースが軽くノアをからかうところで少し空気が和らいで、構成のバランスが上手いなと。ノアの「不格好な初恋が叶った」という実感も、さりげなくて好きです。続きが気になります!
第100話
「え?」
私は、目をパチクリさせて、前前前世の記憶を思い出そうとした。
……誰? ノアが……?
「良いんだ。覚えていてくれなくても。今の俺たちがいるから」
……まぁ、ノアがそう言うなら、詮索はしないでおこう。話したくなったら聞くし……
そうじゃなくて、私の事も話さないと……
「……ノア。私も、話さないといけない事がある」
「そうか。取り敢えず、ここに座れ。疲れただろ」
そう言ってノアは優しく私の事を隣に座らせた。
「ありがとう」
私は、微笑んでからノアの隣にくっついた。
いつも優しいし、自分より他人の事を優先する。だから、私もノアの事を優先してあげたい。
「……味覚。味を忘れちゃった……いや、感じられなくなったんだよね」
「え?」
「私、あの力を解放した時に、代償としてね。ごめん」
私は、ノアの服をギュッと握って涙をぼたぼたと流し始めた。
味が分からないのに何度も、『美味しい』って言っちゃった。酷い人だよね。本当……酷い。
「それにっ、あの頑張って捕まえたやつら……全員死んだっ。私がっ……私が……私の所為でっ……」
人殺し。
どちらにしろ、死んでいたのかもしれないけど、私が一箇所に集めたから……
ノアの服を握っていた手が震え始めた。怖くて、苦してくて……でも、諦めを許さない呪いだよ。私の中で勝手にある呪い。怖いよ。
そこまで言ったら、ノアがポンポンと頭を撫でてくれた。「リナは悪くない」と言い聞かせてくれながら。
怖いよっ。苦しいよっ。辛いよっ。
心の中でそう叫んだ。ノアにも伝わるだろう。
ノアの胸の中に顔を埋めて、顔をぐしゃぐしゃにしながら咽び泣いた。
❂
あれから、リナは俺の胸の中で泣き疲れて寝落ちした。
軽く光魔法をかけてから、リナのベットに寝かせた。
あの黒い髪は、変わらない。どんなに時が流れても、この黒い髪の虹は絶えることは無い。
『おや、イチャイチャは終わったのかい?』
リナの部屋を出ていこうとして、振り返った時、ソースがフラッと出てきた。
ん? ふざけんな。
俺が殺意を出すと、流石のソースも『ごめんって』と俺に精神を落ち着かせるように光魔法をかけた。
ソースはこの手の魔法は、お得意だ。全く、防げない。
「んで、今日は何用だ?」
『……ノア。リストに変わりはないか?』
リスト……?
そう言えば、あの時から無くなって……
『あれは、役目を果たすと光の粒子になって消えるんだ』
「だから……」
『あぁ。それだけだ』
そう言ってソースは、どこかへ消えてしまった。
……ただ単に、覗きたかっただけじゃね?
こいつも、酷いな。
俺は、ため息交じりに、自分の部屋に戻ってベットに横になった。
翌日。
小さな窓から入る朝日に起こされて、眠い目を擦ってベットから降りた。
苦い薬を飲んで、目を覚ましてから、着替えて髪を梳かした。
鏡の前に立って、自分の体を見た。ガタイが良いわけでも無いし、顔立ちも中性的で、背も平均的。
それに、『能力者』って事。リナもそうなんだろうけど……きっと気づいていない。
あの、例の大男も能力者だった。
胸がズキズキ痛い。
……何だろな。本当、俺って。
深くため息を吐きながら、平気だと自分に言い聞かせた。それが自分の手元にある痛み止めだから。
俺は、棚に飾ってある、新しいブローチを見て、やっと実感した。
そっか。叶ったのか。俺の不格好な初恋……
それと、昨日の夜の話が蘇ってきた。
……リナの味覚。無かったのか……
でも、味について色々言ってくれてたけど……どうして分かったんだろ?
……じゃあ、匂いと、味覚はまた別? それしか考えられない。
それに、捕まえたやつらが皆殺しって……って、あ! 昨日聞くの忘れた!
色々な事が頭の中で渦巻きながら、朝の準備を整えた。
下に降りると、一番乗りだった。いつもは、リナが朝ごはんを作り途中なのに……
取り敢えず、朝ごはんを作って、洗濯物を畳んで……そんな事をしてたらマリーさんも、カールさんもいつも通りの時間に降りてきた。
でも、リナは、いつまで経っても降りてこない。
「ノア。様子見に行ってくればどうだ?」
開店一時間前、俺が心配な魔力の動きを隠しきれずにいると、カールさんも俺の肩を後ろから、ポンポンと叩きながらリナの悲しく動いている魔力を見つめている。
……泣いてるのかな? それとも、悪夢をみてるのかな?
俺にできる事は……
「はい。そうですね」
俺はそう言って三階にあるリナの部屋に向かった。