14話.9月14日,紅い瞳の少年
黄「じゃあ、お留守番よろしくお願いしますね」
桃「ええ、行ってらっしゃい」
チュッ、
行ってきますのキスをしたあと、ウキウキな気分で外に出る。
ちょうど橋を通りかかった時、悲鳴が聞こえた。
?「やめろッ、!!!」
小柄な桃色髪をした男の子を中心にガラの悪い人達が集っていた。
こんなこと、ここでは当たり前の事なんだけど、周りの人達は助ける様子は一切なく、ただチラチラと様子を伺うだけ。
ここはひと肌脱がないと大変なことに…
慌てて、持っていたおっきいペットボトルをぶん投げる。
「う゛わぁッ!?」
?「…!」
「ちッ、…いくぞッ、」
?「あの…、」
黄「ん、?」
くいっと服を引っ張られ、視線を移す。
?「…ありがとうございました。お礼になにか…」
黄「えッ、いやいや!何もいりませんよ」
?「…そうですか」
ぺこりと頭を下げ、去っていく少年を見つめながら、ため息をつく。
……だって、あまりにも視線を浴びているから。
それにしても、あの少年の瞳、綺麗だったな。
凛とした紅い瞳になんだか吸い込まれそうになった。
黄「ふーッ、このくらいかな…」
必要な材料を全て買い、のんびり朝来た道をもどる。
まだ、お昼前。
ふふふッ、今日はさとみさん念願の桃ジュースを作ろうと思って、たくさん桃買っちゃった。
黄「ただいまッ、」
桃「あッ、おかえりなさい」
ひょこっと居間から出てきたさとみさんは、僕から荷物を受け取ると、即座に冷蔵庫の中にしまい始めた。
桃「たくさん桃ありますね」
黄「えへへッ、そうなんです」
桃「ふふ…あッ、」
黄「え?」
すっと目を移したさとみさんの方を向くと、なにやら顔見知りが。
?「あ!あのときの!」
黄「え!?」
赤「あのときはすみません。俺、さとみ様の使いです」
青「僕も同じく、さとみ様の使いです」
桃色髪に紅い瞳の子はりいぬと言い、
桃色髪に蒼い瞳の子をころんと言った。
なんと、二人は双子なんだとか。
…それと、兎であることも。
それで、思い出した。
明日、さとみさんはここからいなくなる。
さぁっと血の気が引いた。
恋人になったのもつかの間、さよならの時はすぐ明日なのだ。
なんだか立っていられなくて、その場に座り込む。
桃「るぅとさんッ、!?」
黄「ッ、ぅ…」
ポロ …
桃「へ…」
赤「な、え…?」
青「どうしたのですか…?」
黄「さとみさ゛ぁッ、いやです…゛ッ、さよならなんてぇ゛ッ、」
ポロ ポロ ポロ
ひとりで、わんわん泣いていると、りいぬさんところんさんが顔を見合せた。
赤「これは…」
青「…まさか、さとみ様」
桃「……嗚呼、るぅとと付き合ってる」
赤「、!?」
青「ッ、…!」
僕の次に、ふたりが青ざめる。
がたんッ、
赤「ひッ、るぅとさん!隠れて…ッ、」
王妃「あらぁ、やはり恋人がいたとは本当なのね」
桃「ッ、__!」
「母さん…ッ、!?」
𝕟𝕖𝕩𝕥➯♡100