テラーノベル
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「はいそこ! 恋バナ禁止! テスト勉強進んでないぞー!」
図書室の四人掛けテーブルに、鋭い声が響く。声の主は、私の親友で女子バスケ部のエース、リン。
「ちょっとリン、声が大きいってば!」
佐藤 凛(さとう りん)わたしの幼馴染
「だって、あんたたちさっきからペンが全然動いてないんだもん」
リンが呆れたように笑うと、その隣で分厚い参考書に顔を埋めていたタカが、気だるげに顔を上げた。
高野 光 (たかの こう)通称 タカ
タカは西くんの親友で、学年でも有名なサボり魔だ。
「……西、お前。そのノート、昨日の雨の『お利息』だろ? 俺にも見せろよ。これで赤点取ったら部活出られねーんだわ」
「タカ、これは俺が借りたやつだから。お前は自分でまとめろよ」
西くんがノートを死守しようとして、二人は机の下で小突き合いを始める。昨日の「二人きりの静かな駅」とは大違いの、騒がしい放課後。
「でもさ、西が女の子に傘貸すなんて、明日は槍でも降るんじゃない?」
「リン、余計なこと言わなくていいから!」
私は慌ててリンの口を手で塞いだ。
すると、西くんがふと視線を上げて、私と目が合った。
「……槍は降らないと思うけど。また雨が降ったら、今度は一緒に帰ればいいし」
さらっと言った彼の言葉に、図書室の空気が一瞬だけ止まる。
「ひゅ〜! 言うねぇ、西くん!」
「お前ら、勉強しろって言ったのどっちだよ……」
リンの茶化す声と、タカの呆れ顔。
私の鼓動がどんどん大きくなってきているがわかった
「……あ、あの、次の問題! 二次関数、教えるね!」
「うん。よろしく」
教科書を指差す指先が、少しだけ震える。
四人で囲むテーブル。騒がしい笑い声の中で、私と彼の距離だけが、昨日よりもほんの少しだけ、近づいた気がした。
コメント
2件
すごいやん