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ピンポーン!ピンポーン!桜井咲久は薄茶色と赤茶色の家のインターホンを鳴らしていた。「はーい!」という明るくハキハキとした声が家の中から聞こえてきた。桜だと、咲久は思った。ガチャリと音がして赤茶色のドアが開いた。「なん・・・咲久!?」桜はいきなり訪ねてきた桜を見て、とても驚いた。「突然来ちゃってごめんね。今、いい?」咲久がためらいがちに言うと、「いいよいいよ!もちろん!歓迎するよ!」桜はにっこりと笑って咲久を快く招き入れてくれた。「どうしたの?咲久?」「あ、あのさ、桜、わたしも手伝うよ。子猫のこと」言葉がつっかかりながらも咲久は言った。それを聞くとホッとしたように桜は笑った。「なんだ。子猫のことか。」そして一言、それだけ言った。「大丈夫だよ。咲久に迷惑かけたくないし。うち、子猫や子犬にミルクあげるなんてしょっちゅうだから、慣れてるもん。咲久が勉強とかに集中できなくなっちゃう。」そう、言葉を続けた。「そっか…でも少しだけ。ほんの少し、手伝えないかな?」咲久は言った。「わかったよ。じゃ、一つお願い、いい?」キリッと改まった顔で、おごそかに桜は言った。咲久は、一言も聞き逃さないよう、こぶしをぎゅっと痛いほど握りしめ、耳を傾けた。
カタカタカタカタ…咲久の部屋にキーボードを打つ音が響いている。そして、真剣な顔でいろいろクロームブックをいろいろ操作をしている。ポスターを作っているのだろうか。かわいい二匹の子猫の写真がいくつかと、説明文、そして、大きく『里親募集中』とある見出しがあった。そして咲久はその文字や写真をマウスやタップで微調整している。
「ふう」しばらくクロームブックから目を離さず作業をしていた咲久だが、30分ぐらいたち、ようやく一息ついた。『桜から頼まれたこと、絶対にやりとげなきゃ。』頭はそれだけでいっぱい。でもさすがにお腹が空いたし、喉も乾いた。そこで一階へ降りた。冷蔵庫からキンキンに冷えた栄養管理士が推薦するミカンジュースをガラスのコップへそそぎ、ごくごくと音をたてて飲み干した。「ふう」また一息つき、パントリーを開け、小さな一口分のチョコレートとビスケットを食べ、また二階へ駆け上がっていった。「これで完成でいいかな」そう言って、クロームブックを閉じ、抱きかかえて桜の家へ走っていった。
実は咲久は桜から、「じゃあさ、学校のクロームブックでポスター、作ってくんない?里親募集中の。」と言われたのだ。そしてそれぞれの名前、性格などを教えてもらい、作ったのだ。それが完成したので最終確認ということで、見てもらうのだ。
「桜、作ったよ。どう?」恐る恐るクロームブックを見せた。桜は咲久が出したクロームブックを覗き込んだ。「いいね!咲久、上手!才能あるよ!」桜は大きな声で言った。咲久はその声に不安をぬぐられた気がした。「じゃあ、次の、できる?」少しだけ桜が少し、にやっとした。「まかせて」咲久も少しだけにやりと返した。