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この物語はフィクションです。
実在する人物、出来事、土地などは一切関係ありません。
一部残虐な表現があります。
苦手な方は閲覧をお控えください。
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とある村に男の子が産まれた。村人たちに祝福され、温かな環境ですくすくと元気に育っていった。風邪も引かず、怪我もない健康な体。他の子供と何も変わらぬ普通の子。そのはずだった。
少年が10歳になった頃。成長がパタリと止まった。身長も伸びず、力もつかず、顔も幼いまま。彼の姿は何年経っても変わることはなかった。
「アイツは妖怪の子だ。」
村人の誰かがそう叫ぶ。その言葉を信じた村人たちは少年を処刑することを決意した。
少年に抗う術などない。少年が死ぬ瞬間を一目見ようと村の中央に人々が集まった。足元の藁に火が点く。風に煽られ大きくなった炎は、ついに少年の姿さえも飲み込んだ。
「妖怪は消えた。」
その言葉に村人たちは安堵し、それぞれの家に帰ろうとした。
「待ってよ。」
村人たちの動きが止まる。たしかに聞こえた幼き者の声。
「置いていかないで。」
紛れもなく少年の声だった。火を消すと、少年は何事もなかったかのようにそこに立っていた。火傷の1つさえ無い。村人たちは恐怖におののき一目散に逃げ去る。
少年は、ただ村を見つめていた。
少年は再び囚えられ、牢の中へと入れられる。村人たちは何度も少年を虐げた。
言葉を発しないよう舌を千切ろうとした。
視界を奪うために目を抉ろうとした。
鎖を解かないように全ての指を折ろうとした。
逃げないように両足を切り落とそうとした。
しかし、その全てが失敗に終わった。
どれだけ暴力を振るっても、拷問をしても、傷1つさえつかない。
火炙りにしても、
刃物を刺しても、
首を絞めても、
水に突き落としても、
少年が死ぬことはなかった。
とうとう村人たちは少年を殺すことを諦め、山の奥深くにある小屋の中に少年を閉じ込めた。一筋の光すら入らない暗闇。名前、家族、友だち、村、未来、自由……。
全てを奪われた少年は自分の運命を恨みながら目を閉じた。
「おい!子供がいるぞ!」
小屋の中に光が入る。久しぶりに出会った人。少年はその人に連れられ山を降りる。
村人たちは少年を温かく迎えた。遠い昔に触れた、人の温もり。少年は今までの苦しみから解放されたように涙を流した。
しかし、それと同時に不安も襲ってくる。もしも普通の人間ではないことがバレてしまったら?またあの地獄のような日々が始まってしまうかもしれない。
その晩、少年は村から姿を消した。
コメント
11件
途中まで少年が可哀想だったんだけど 「遠い昔」って言葉が出てきて村人も少年を知ってる雰囲気じゃ無かったからもしかしたら100年以上生きてるんじゃ…って思ったら気味悪さだけが残ってしまった…
少年がクソ可愛そうなんだけど、それを気味が悪いと虐げる村人たちの気持ちも少々わかってしまったのが辛い 少年…どうなっちまうんだ!!
少年… この後どこ行くの? 私の家来るかい? ー優しそうに聞こえても、これは犯罪者のセリフです。ー A~C~🎶