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#めちゃくちゃ短編
ルナ
15
54
#イラスト紹介
飛鳥ミライ@君次第
1,194
朝。
空が逆さまだった。
だが誰も気にしない。
ニュースキャスターは笑顔で言う。
「本日は地面が休暇のため、落下事故にご注意ください。」
全国民が拍手した。
犬が国会議員になり、国会議員が犬になったが、支持率は変わらなかった。
そんな平和な世界で。
ヒーロー・ライトは銀行を爆破していた。
「よし! 世界を守った!」
銀行員は涙を流す。
「ありがとうございます! これで預金が消えました!」
「困ってたんです!」
「ヒーロー最高!」
ライトは満足そうに笑う。
「当然だ。俺は正義だからな。」
人格?
そんなものは三年前にゴミの日へ出した。
困っている人を見ると、さらに困らせたくなる。
道に迷った老人を見れば砂漠へ送る。
子どもが泣いていたら泣き声を録音して着信音にする。
信号が赤なら渡る。
青ならもっと渡る。
赤信号は危険?
知らん。
危険だから面白い。
これがヒーロー・ライトである。
世界中が拍手した。
「さすが正義!」
「泣いてる人が増えた!」
「世界が明るくなった!」
意味は誰にも分からない。
その頃。
悪の秘密基地。
黒いマントを羽織った男がため息をついていた。
名前はシャドウ・ヴァイナル。
ライトの兄である。
悪役。
だが人格はまとも。
朝は歯を磨く。
野菜も食べる。
ゴミは分別する。
横断歩道ではちゃんと止まる。
悪役なのに。
「……あいつ、本当にクソだな。」
部下が聞く。
「ライトを倒すんですか?」
「いや。」
「殺す?」
「いや。」
「世界征服?」
「興味ない。」
「じゃあ何を?」
シャドウは静かに答えた。
「まず義務教育を受けさせたい。」
部下全員が拍手した。
「それは無理ですね。」
「分かってる。」
そこへ警報。
『ヒーロー・ライト接近中』
部下たちは震える。
「終わった!」
「基地が燃える!」
「いや燃えるだけならいい!」
「冷蔵庫を逆再生される!」
「また常識を破壊される!」
ドアが爆発した。
ライト登場。
「悪役! 覚悟しろ!」
シャドウはコーヒーを飲みながら言う。
「ノックぐらいしろ。」
「悪役に礼儀なんて必要ない!」
「お前ヒーローだろ。」
「細かいことを言うな!」
ライトは剣を抜いた。
そして自分を刺した。
「ぐわあああ!」
「やった! 悪役を倒した!」
シャドウは額を押さえた。
「誰も倒れてない。」
ライトは満面の笑み。
「勝利!」
部下たちも拍手。
「さすがヒーロー!」
「自滅して世界を守った!」
「意味が分からない!」
「この世界では意味なんて飾りです!」
シャドウは天井を見上げた。
「神様。」
「聞こえてるなら頼む。」
「世界の設定担当をクビにしてくれ。」
その瞬間。
空から巨大な文字が降ってきた。
『却下』
世界中が歓声を上げた。
「さすが神!」
「理由はないけど感動した!」
シャドウは静かにつぶやく。
「……やっぱり、この世界がおかしい。」
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