固い決意は、折れることを知らない。
しかし、自分はどうだ。
己が心に問いてみても、返答はない。
頼ってばかりいて、誰かに依存して。
寄生虫の様に、生きている。
それでもなお、色褪せず鮮明に残っている、貴方の背中が、何より眩しかった。
幾ら手を伸ばしたとて、それに届くことは無い。
何も言わずとも、黙って、そっと橋を架けてくれる。
それが当たり前とは思っていない。
だけど。
それでも。
踏み出せない自分が、何より嫌だった。
眼球に刺さる光が私の頭を強制的に叩き起こす。
暗く湿った部屋は、どこか既視感があった。
その既視感を探したところで、何も見つからないのがオチだ。
手首につけていたゴムで髪を縛り、外へ出た。
「最終機械人形兵器:cAlla lilY」
世界で一体だけの、機械人形。
それが私だ。
勿論、命を狙われることだって多い。
しかし、決して死ぬことはない。
いや…死ぬことは許されない。
正しい歴史も、人類の記憶も、すべて、永遠の命である私が管理しているから。
確かに、壊れることは無い。
しかし、こうも人類がいなくなってしまったら、私も退屈してしまう。
人の心を知らずに育った、可哀そうな人形。
客観的にみると、そうなる。
だが、昔は私も人だった。
目の前で家族が殺され、最愛の人が死に、寄生虫だった私だけが生き残る。
そんなことが、嫌だった。
色褪せずに、今でも、私を傷つけるように残っている、貴方の背中。
完全体の人形になってしまって、人の心は忘れてしまった。
しかし、その記憶はずっと生き残っている。
あの時交わした約束だって、永遠に忘れることはない。
だから、私は貴方が嫌いになったのだ。
躊躇なく生物を殺す、果て無きモンスター。
その傷を抉るように、私の中の貴方は、永遠に傍にいた。
:好評だったら連載します:
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