〈!注意!〉
・これは夢小説です。はじめ四行以外はあなた視点で物語が進みます。
・なので夢嫌いな人は自衛お願いします。
・ちなみに主も夢嫌いです。吐きそうになるのを堪えながら作りました。
・そんなことどうでもいいですね。
・普段は夢以外を作っているのでフォローよろしくです。(?)
・若干怖いです。
・ではLet’s GO!
誰かから、背中をぽんと叩かれる。
振り返った先には、君がいた。
二人っきりの、エレベーター。
何かが起こると期待を微塵もしていなかった俺は、ただ下に向かうエレベータの中で、君に微笑んだ。
私の絶望した死にかけの目は、光で無理矢理に命を灯している。
「…まずは、自己紹介か。」
私に向かって微笑みながら、彼はそう言う。
「…俺からか?俺は…まあ、三ツ谷でいいよ。」
「君は…?」
「…ふーん、そんな名前…。さぞかし愛されたんだろうね、あ、俺の偏見だからそこまで気にしなくていいよ。」
三ツ谷は少しばつが悪そうに眉を下げる。
「でも、苦しそうに無意味な行動をするくらいには、追い詰められていたって事でしょ?」
「…あ、今のは言い過ぎた?それは…ごめん。」
正直に引き下がって、彼は私の目を見た。
「少し、クラクラしてきたかな?地球とは重力が違ってくるから、慣れていないとそうなるかもね」
彼は少し怪しげな顔で、そう言った。
お互いに棘の付いた首輪をしているはずなのに、私と違って彼は首を動かしたりと、かなり自由に行動している。
首輪の棘が食い込みそうで怖いのに、彼はそれすらもないのか?
それ以上に過酷な環境にいたのかもと、妄想を巡らした。
ふと気になって、私の手持ちを見る。
…やはり、もう金になりそうなものはなかった。
「はい」
彼は私に向かって手を差し出した。
その手の中には、一枚の金貨。
「コインを貸してあげる」
「それで、賭けをしようか」
ドキドキしながら引いたカードの裏は、記号が変わることを知らずに、そこにあった。
彼の眼光は鋭いまま、にこにこと笑っている。
似たような生き物を、昔、図鑑で見たような気もするが…今は置いておこう。
「負けたね、俺。」
なぜか彼はそう嘘を吐いて、勝ちを私に譲った。
静かにエレベーターが降りていく空間。
計測機器が捉える、私たちの体。
自分の身を切り売りして生きていた人がたどり着くことが多いって言っていたから、彼にとっては珍しいのかも。
「人身売買、してるのかと思ってたけど、違うか。」
なら、と彼は私に口移しで錠剤のような物を送り込んだ。
「美味しいでしょ、それ。」
彼の生きている証を表すように生温かい唾と一緒に、それを飲み込んだ。
「こんだけ重力変わっても生きてる俺らって、もしかしたら死ねないのかもね」
彼はそう言って、妖しく微笑んだ。
「ねえ、薬指にゴミついてるけど」
彼は無神経に私の指輪を指差して言った。
「…ゴミじゃない?ああ、それは知ってる。冗談だよ、冗談。」
彼はそう言って笑う。
真っ白のパズルが真っ白であるように、この関係も白に返す気なのだろうか。
そんなことを考えていたら、あと四分の一だというアナウンスが流れた。
もう辛くて、愛情という針が鬱陶しくなった、体中が穴だらけの私。
自分で縛り付けた足を解こうとしたって、それはできなかった。
幸福という鎖は、絶対に消えることはないだろう。
「コインを貸してあげる」
つぎはぎになった私に、あなたはそう言ってくれた。
でもそれがバレそうで怖かったから、これ以上近づくのが怖かった。
「都合の良い見た目をして、都合の良いことをしゃべらなきゃいけない。」
「そんな環境下、辛いよね。」
「人間なんて、獣に理想を求めた獣だよ。」
「なんでわかるかって?そりゃあ、長年いろんな人を見てきたから。」
乱れることが無い計測機器は、気持ち悪い人々だと私たちを捉えるだろう。
「地球にはいられないって分かっていながら、それでもまだ魂があるって、君は信じる?」
突然に問いかけられたそれに、私は答えられなかった。
いきなり吐き気が私を襲い、それに従って私は胃酸を吐き出した。
「ちょ、大丈夫?」
彼は心配そうに私を見る。
ここに逃げてきたのに、どうして、こんなに苦しいのだろう…
何度目かのゲーム。
もうカードの柄が読めなくなっている。
多分、かなり体調も悪い。
彼の鋭い目つきは変わらず、図鑑で見たことがある動物みたいに、そこに居座っていた。
私が限界で倒れこんだ時、彼は心配もせずにそっと私に近づいた。
「やっと…効いたね。」
…効いた?何が?
「あのラムネ、実は毒なんだ。君を逃がさないように作った、毒。」
段々と頭が痛くなる。
そんなの知らんぷりで、エレベーターはぐんぐん落ちていく。
「こんな汚れた心が誘うのは、俺の知らない人ばっかりだ」
「…そんなに怒っても、泣いても、君はずっとずっとずっとずっと生きていくことになるだろうね」
「その体が土に還ろうが、灰になろうが、君は死ねない。」
私は掠れそうな声であなたを呼んだ。
「…だって、これは君が招いた結果だ。」
彼はいつもと変わらない笑みを浮かべて、私にそう宣告した。
意識が薄れる中、彼の笑顔だけがそこにあった。
〈クレジット〉
参考曲:地球の裏 いよわ 様
キャラクター原作:東京卍リベンジャーズ 和久井健 様
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