テラーノベル
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あの日以来、担任と関わり合いたくない私は全く放課後の教室に足を運んでいない。それなのに…私の机にへばりついているこの男は一体どういうつもりなのだ!
「何してんですか?」
「謝罪したいのです。無遠慮に距離を詰めようとしたことを」
「えっ」
「成瀬さんの気持ちを無視して出過ぎた真似をしてしまいました。お許し下さい」
「そんな……怒ってませんよ。誰だって想いが空回ってしまうことはあると思うので」
「お許し下さり、ありがとうございます。お詫びとして成瀬さんをパーティにご招待します」
「パーティ?」
「はい。私の誕生日パーティです」
「は?」
「5月17日が誕生日ですので」
「今日やん…さてはこっちが本題ですね?」
「いえ、私としては謝罪をー」
「こんのアホ教師!!行くわけ無いじゃないですか!!」
「そうですか…………仕方が無いですね。強制する気は御座いません。今年もひとりなのは少し寂しいですが」
「家族に祝ってもらえばいいじゃないですか!」
「家族…ですか。そうですね………祝って貰えれば良かった」
しまった…軽率だった。触れられたくない事情が先生にもあるのに。
「あの……余計なこと言ってすみませんでした 」
「いえいえ。私の方こそ成瀬さんに気を遣わせてしまいました」
…私だって、目の前の寂しそうな人を放っておくほど薄情な人間ではない。だから、
「行きますよ、誕生日パーティ」
「えっ」
「私で良ければ、ですけど」
「本当ですか!…すごく、すごく嬉しいです」
かくして、お人好しな私は買い出しのために担任の車に乗り込んだ。けど、今更ながら担任と二人きりのこの状況キケンじゃないか…?『成瀬』が可愛いすぎて激ヤバ教師が何してくるか分かったもんじゃない。
「あの…誕生日パーティって二人きりなんですか?」
「はい」
「え……と、友達呼んでもいいですか?」
「構いませんが…」
早速私は西田にメールを送る。
【西田!かくかくしかじかでピンチだから来れる?】
【無理】
【冷たい!!】
【大丈夫だって〜二人だけで誕生日祝っちゃえ🎵】
【西田の大馬鹿やろー!!!!】
【(*☻-☻*)】
西田に頼んだ私がバカだった…。こうなったら、腹を括るしかない。
「…友達を誘いましたが来れないみたいです」
「そうですか。仕方がありませんね」
と言う担任は全く残念がっているようには見えない。私は無事、家に帰れるのだろうか…?
「あの…パーティって何するんですか?」
「私の家にて食事を予定しています」
「家っ!?」
「はい。もしかして…異性の家に遊びに行った経験がお有りにならないのですか?」
「ふぁっ!?あ、有りますとも!!!実家みたいなもんですから(?)!!」
「なるほど。では問題ありませんね」
「うっ」
「お店に着きましたよ」
「お店って…」
「夕飯の買い出しに行きましょうか」
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