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なぜこうなった???
現在、スーパーの中で同棲初日のカップルさながらに食品を吟味している担任と私は、お買い物中の主婦の皆さんの注目の的になっている。もう、ヤケクソ根性で乗り切るしかない。
「成瀬さん、何か食べたいものは有りますか?」
「っ私ですか?」
「はい。大した料理は作れませんか、成瀬さんに何かご馳走できたらと思いました」
「でも今日は先生の誕生日でしょう?私こそ何か作りますよ」
「成瀬さんの手料理ですか…身に余る光栄ですね」
「そんなそんな。私だって自慢できたもんじゃないです」
「では、一品ずつ作るということでどうでしょうか?」
「良いと思います!」
…もちろん男性のお家に入るなんて前世も今世も初めての私だが、今はどちらかと言うと心が浮き立つような感覚が強い。
「お邪魔します」
部屋の中はすっきりとした印象ではあるものの、所々に置かれた謎の置き物だったり植物だったりが担任の人となりを映し出しているように感じる。
「荷物はソファ辺りに置いて下さい」
そう言いながらスーツを脱ぎ、手を洗うために袖を捲る担任は憎らしいほど様になっている。…もたもたせずに私も準備しなければ。
髪をゴムで縛って、キッチンにいる担任の隣に立つ。
「炊飯器、使っても良いですか」
「もちろんです」
隣から向けられる視線はこの際気にしないでおく。よし、料理開始。