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私が幼なじみの健と、公園の砂場で遊んでいたとき、急に健が立ち上がって空を指差した。
「さくら、見て、あれ!」
私が振り向くと、空に火の玉のようなものがふらふらと飛んでいるのが見えた。
「なに、あれ?」
「きっとUFOだよ! 見て、裏山に降りていく!」
「うん」
私がうなずくと、健はランドセルを背負い直して走り出した。私も急いで後を追いかける。裏山に着くと、健は細い獣道に入っていった。
「UFO、着陸したのかな?」
「わかんないけど、方向からして、降りたとしたらあの『広場』だよ!」
裏山には一箇所あまり木の生えていない場所があって、私たちはそこを勝手に広場と呼んでいた。健は茂みを突っ切っていく。
広場に着くと、本当にUFOが着陸していた。私と健は草むらにしゃがんで、UFOの様子をうかがった。
UFOのドアが開くと、中から宇宙人が出てきた。宇宙人は蛸とくらげを混ぜ合わせたような姿をしていた。
「本物だ! 写真にとって、SNSにあげようぜ!」
健が小声で、興奮したようにささやく。私は首を振った。
「あぶないよ」
「だって、こんな機会、もうないよ!」
健はUFOに向かって歩いて行く。私も仕方なくその後をついていく。健は宇宙人の背後から近づくと、スマホを構え写真を撮った。
カシャッ! 小さなシャッター音がした。すると、宇宙人は私たちのほうを振り向いた。私たちは慌てて茂みに隠れる。
しばらく様子を窺っていると、宇宙人はあたりをきょろきょろと見廻し、音の出所を探しているようだ。私は健をつついた。健も怯えているようで、体が震えていた。私は小声で聞く。
「どうするの?」
「しっ! とにかく、隙を見て逃げよう!」
けれど、宇宙人はどんどんこっちに近づいてきた。どうしよう……。
すると、健は近くにあった大きな石を手に取り、いきなりそれを宇宙人に投げつけた!
「今のうちに……って、あれ?」
石を投げつけて、相手がひるんだすきに逃げよう、ってことだと思うんだけど、なんと、石は宇宙人に直撃し、そのまま倒れてしまった。そしてまったく動かなくなった。
「倒しちゃった? なんだ、こいつ弱いじゃん!」
健はそういうと、宇宙人に近づいていった。
「あ、あぶないよ、早く逃げようよ」
「まあまてよ、今のうちに、宇宙人の写真とろうぜ!」
健はどんどん宇宙人に近づいていき、バシャバシャ写真を撮り始めた。
「こいつの体どうなってんだ?」
死んだようになっている宇宙人の体を動かし、いろんな角度から写真を撮っていると、急にUFOのドアが開いた。私と健はびっくりしてそっちをみると、銃のようなものを構えた、先ほどと同じタイプの宇宙人がいた。しまった、宇宙人は一人じゃなかったんだ!
その宇宙人が銃(のようなもの)の引き金を引くと……
「あ、あれ!?」
私たちの体が動かなくなってしまった! そしてUFOの中からは、同じタイプの宇宙人が数体出てきて、私たちに近づいてきた!