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私が転生していることに気がついたのは5歳の頃。幼稚園で友達と遊んでいる最中、落ちていたおもちゃを踏んでしまいバランスを崩して転倒し、頭と床を衝突させたことがきっかけで前世の記憶を思い出した。
幼少期から高校までの記憶が蘇り、高校後の記憶がないことから私の前世はそこで終了したことがわかった。
前世の私、あんまり良い暮らししてなかったな
不思議と取り乱しはしなかった。混乱しすぎて一周回って冷静になっていたのかもしれない。
これが転生ってやつ?なんかパッとしないなあ…。
頭を思いっきりぶつけたにも関わらず、うんともすんとも言わない私も見て幼い友人は心配そうな、泣きそうな怯えたような顔をしていた。
「大丈夫…?」
「え、あ、うん。ごめんねだいじょう……..」
大丈夫だよと言いたかったが視界がグラッとしてそれは叶わなかった。
頭がズキズキするなあと思いぶつけたとこに触れると手に赤くてぬるい液体がついていた。
「…え?」
血じゃんこれ。そりゃあ泣きそうな顔するわ。冷静にそんなことを考えていたが、もう私の頭も友達の涙腺も限界だった。
「せ、せんせぇぇぇええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
友達のそんな叫び声を最後に私の意識は途切れた。
今世の私の話をしよう。今世の私はそれはもう強くてニューゲームだった。
かつて地下アイドル界の女神と呼ばれた母とそのトップオタクの父に恥じぬ容姿を持ち、前世のおかげで勉強もそれなりにできた。運動は得意ではないが体力テストは平均くらい。前世と比べるとどれも優秀な値なので思わずガッツポーズをした。
ただ一つ問題があるとすればお金だ。
私は貧乏だった。
狭くてボロいアパートに親子3人で暮らし、隙間風は当然ビュービューと吹いている。
日用品は必要最低限のものしか持ってないし、食事は毎日粗食。
生活できているだけで感謝するべきだということはわかっている。
わかっているが、欲が出てしまうのが私の良くないところだ。私はもう少し裕福な暮らしがしたかった。
「いつか私はとんでもねえ金持ちのイケメンと結婚して猫を2匹飼うんだ!!!!!!」
急に拳を突き上げ宣言をした私を見て以前頭を怪我した時に元気よく先生を呼んでくれた友人がびっくりしていた。ごめん。
「…お金持ちのイケメン?」
「うん、札束風呂に入りたい。」
「そっか。じゃあ頑張るね。」
「ん?うん、がんばれ。」
友人が突然頑張る発言をしたので応援しといた。
あれから数十年私は高校2年生になっていた。
金持ちのイケメンを捕まえる発言後、それを実現するためになにかしたかと言えばしていない。……..家が、その、幼少期に思ってたより貧しくて…ほぼ毎日バイトしてました。おかげであだ名はバイト戦士。今日も新しいバ先を探さねば。
そんなことを考えながらスマホをスクロールする。
放課後の教室には誰もいない。
外からは運動部の賑やかな声が聞こえる。
あっ潔くんだ。ゴール決めた…すごいなあ。
窓の外を見てみると同じクラスの潔くんがサッカーをしていた。
潔くんを横目で見た後、スマホに視線を移すと一つのバイト募集に目が入った。
ぶるーろっくぷろじぇくと…?
面接当日。
わあ結構人いるなあ…
周りを見ると同じようにバイト面接を受けにきたであろう人たちがいた。
おっぱいの大きなお姉さんが面接は順番に1人ずつ行うから待機していてほしいと可愛らしい声で言っていたので大人しく待機することにする。それにしても乳でけぇ…。
このバイトに決めた理由はいくつかあるけど給料とかの諸々の条件はパッと見なかなか良かったし、これって要約するとサッカー選手育成プロジェクトってことでしょ、つまりお金持ちのイケメンと結婚したいというかつての私の夢も叶えられるかもしれないということだよね、だってスポーツ選手ってお金持ちのイメージがある。
私、玉の輿狙いたい。……我ながらクソみたいな理由だな。
「高橋さん準備お願いします」
名前が呼ばれ、元気よく返事をして誘導された通りに入室をする。
部屋にはさっき説明をしてくれたおっぱいの大きなお姉さんとマッシュルームヘアのお兄さん(帝襟アンリさんと絵心甚八さんというらしい)が色々と質問をしてきた。話していたのは主に帝襟さんだったが。
「最後に、」
……始終つまらなそうな顔で私の話を聞いていた絵心さんが口を開いた。
「高橋さんは日本サッカーに対してどう思いますか」
…
「……..可もなく、不可もなく。」
あ、絶対落ちたわこれ
一週間後ブルーロックプロジェクトが行われる施設内に私は立っていた。今日からバイト開始だ。開始なんだけど…バイトは何故か受かってました。
絶対落ちたと思ってたから驚きすぎて変な顔をしてしまった。
「改めましてブルーロックプロジェクトにご協力ありがとうございます。………」
…..絵心さんと帝襟さんのお話の後仕事に取り掛かった。
…
最初の仕事はプロジェクト参加者の荷物運びだ。
バイト仲間さん達が選手から受け取った荷物をさらに受け取り、ひたすら奥の部屋に持っていく作業。
きつい、きつい。結構きついぞこれ。でもこれも金持ちのイケメンと結婚するため…!
参加者さん達の荷物を全て運び終わりダクダクと流れている汗を袖で拭う。
……..ふー、ちょっと休け「高橋さん!次こっち来て!」
「は、はい!」
「高橋さんそれ終わったら次こっちお願い」「わかりました!!」
「ちょっとこっちの掃除手足りてないんだけど誰か手伝ってくれなーい?」
「ごめん!誰かこっち手伝って、嘔吐してる!!」
「次こっち……..!」
「………」
……。
増え続ける仕事、仕事が落ち着く頃には私たちの表情筋はすっかり死に、日も沈んでいた。
「いや、本当につらい…」
誰も人がいないことをいいことに食堂の端っこで休息をとる。
玉の輿!!キャピッてなってた自分を殴りたい。
それどころじゃない、ここは戦場だ。殺るか、殺られるかだ。
「…あの、大丈夫ですか?」
そもそも参加者との交流とかゼロに等しいし、参加者達はなんかピリピリしてて怖い。
「あの…….?」
でもまだ1日目だしこれから玉の輿狙えるか…?いやダメだな、今日の雰囲気的にそんな感じじゃない。えーん泣きそう。
「すみません!!!!!!!!!」
「はい!なんですか!?仕事です…..か…、」
突然の大きな声に驚きバッと顔をあげるとそこにいたのは同じクラスの男の子。え、
「「潔くん!?!?/高橋さん!?!?」」
…
「俺、高橋さんとこんなところで会えるとは思わなかったよ」
「私もだよ〜!潔くんはやっぱり選手として参加してるの?」
「うん、高橋さんはやっぱりバイト?」
「もちろん」
「さすがはバイト戦士だな」
そう言ってふわふわと笑う潔くん。
「癒しだ……」
「癒し…?」
「なんでもないよ!…そういえば潔くん、私だと分かってなかったのによく話しかけようと思ったね」
「あー、なんかすごい暗い雰囲気の人いるから何かあったのかなって」
「……….天使じゃん…」
いやいやいやいやいい子すぎる、なにこの子。だって絶対さっきの私やべえやつだったのに!何かあったのかなっ…で声かけようとする潔くん癒し枠すぎる。もう最高。溢れそうなこの感情を必死に抑えようとしたせいで返事ちょっとキモくなっちゃったごめん潔くん、そして私は今日から潔くんの限界オタクです。よろしくね潔くん。もしよければ潔くんのお嫁さんにしてくれませんか?あ、冗談ですごめんなさい。
「…ねえ高橋さん、明日もいる?」
そう言って上目遣いで私の顔を見る潔くん。やめて鼻血出そう。
「…いるよ」
私は顔が緩むのを頑張って抑えて冷静にそう答えると潔くんはパァァァァアと効果音がつきそうなほどの笑顔になり
「じゃあ明日も会えるんだな!」
「あ、俺そろそろ戻るよ。また明日ね高橋さん。色々とやってくれてありがとう、これからもよろしくお願いします!」
と言って帰って行った
もうこれ潔くんが優勝コロンビア
疲れてる時の潔くんは染みる。
…明日もお仕事頑張ろ
…。
「よーーーし!!!!!今日も一日頑張るぞ!!!!!!!」
「どうしたの高橋さん、昨日あんなに燃え尽きてたのに」
「色々あったんですよ!」
出勤して元気よくそう叫んだ私に声をかけてきてくれたのはバイト仲間の鈴木さん。
鈴木さんはサッカーが大好きな中年男性だ。愛妻家で子供が3人いるらしい。
って、あれ…?
「鈴木さん。」
「なにかな高橋さん。」
「…なんか人、少なくないですか?」
「……やっぱり高橋さんもそう思う?」
そうなのだ。昨日20人くらいいたバイト仲間が10人くらいまで減っている。
「えー…嘘じゃん……」
「まあ昨日の仕事量見るとね…割に合わないよね…高橋さんはやめようって思わなかったの…?」
「私には野望があるので」
「野望…?」
「金持ちのイケメンと結婚したいんです」
「え…?なんで?」
「家、貧乏なんで!」
そんなことを鈴木さんとコソコソ話していると、少し申し訳なさそうな顔をした帝襟さんがスタッフルームに顔を出した。
「人数が昨日より減ってしまい一人一人の負担が大きくなってしまうことが予想されますが…何卒、よろしくお願いいたします‼︎」
そう言って頭を下げた帝襟さん。
帝襟さんも大変そうだなあ。そんな顔されると責める気にもなれなかった。
「こちらこそ、本日もよろしくお願いします」
私が帝襟さんにそう言うとそれはもう可愛らしい笑顔でありがとうございますと返してくれた。
…
えーっと今日の私のお仕事は、参加者達の部屋と食堂のゴミ回収と掃除か。
なんとなく昨日よりは楽にできそうだな
ボフッ
「いてっ…」
「あ?」
ぼーっとしながら歩いていると人にぶつかってしまった。や、やばい
「ごめんなさい‼︎私全然気づかなくて…」
「…」
「えーっと…?」
なんでなにも反応がないの!?私がぶつかってしまった人は私のことを真顔無言でガン見しなにも言わない。それにしてもこの人綺麗な顔してるなあ…下まつげ分けて欲しい。
「…邪魔だ。ぼさっとしてんな」
「す、すみませんでした!!」
なにこの人怖い!ぶつかった私が悪いんだけどそんな無言で見た後に出てくる言葉チクチクしすぎじゃない!?!?チクチク言葉反対!!!
私はこの未知の生物との遭遇に怯え、最後にすみませんと一言謝り早歩きでその場を去ろうとした。
しかし、下まつげのイケメンがすれ違う寸前で私の腕を掴んだせいで去ることはできずその場に立ち尽くした。え、
「な、なんでしょう…….?………ワッ…え、ちょっやめてください!!」
そして急に私の後頭部をわしゃわしゃと触りだす下まつげイケメン。…何事!?と、困惑していると突然手を止めた。
「…..この傷」
「き、傷?…ああ頭の…それは小さい頃に転んだ時のやつ………….です、ね!!!!!!」
小さい頃に転んだ時のやつ、と私が言うと腕を掴む手を緩ませた下まつげ。そのタイミングを逃さず今度こそ私はその場を逃げ出した。
「本当にすみませんでしたー!!!もし怪我してるか不安でしたら医務室に行ってくださいねー!!!」
多分私がぶつかったくらいで怪我なんてしてないと思うけど一応最後にそう叫び下まつげとお別れをした。
「なんであいつが…」
さっきまで私の後頭部に触れていた手を見つめ静かに呟く下まつげの姿なんて私は知るはずもなかった。
怖かった…なんだったんだろうあの人。
ごみ収集は終了したため掃除をしながらさっきの人について考えてみる。
さっきの人、名前はわからないが下まつげがわさわさとしているものすごい美形。感じは悪かった。
人付き合い苦手なのかな、でもどっかで見たことあるような気がするんだよなあ…。
「そこの女子」
呼んだ?脳内オフロスキーが反応してしまった。お呼びでない、お前は帰れ。
「えっと、私ですか?」
「そうだ。お前、顔面はオシャだがそのヘア状態はオシャではないな」
が、顔面オシャ?ヘア?髪質??オシャじゃない…?
「トリートメントは何を使っている?どれを使っているにしても今使っている物はお前の髪質に合っていないからやめたほうがいい。バッドオシャだ」
「えぇっと、使ってるのはスーパーマーケットオリジナル格安リンスインシャンプーですけど…バッドオシャ…….」
「スーパーマーケットオリジナル格安リンスインシャンプーか、低コストで時短。それはそれでオシャな選択だが“俺”が見る限りお前の髪質にはあっていない。“俺”のオススメはこのシリーズだ。」
そう言ってオススメのシャンプーとトリートメントを口頭で私に伝えるオシャさん(仮)
「わかりました…試してみます」
お金が貯まったらね。
心の中で付け足し、返事をするとオシャさんはいい笑顔で
「素直なのはオシャだ」
と言ってとてもオシャなウォーキングで去っていった。
もしかしなくてもあの人、変な人か…?
「は〜疲れた〜」
退勤退勤!!退勤だ!!
今日も結構忙しかったなあ。
スタッフ用出入り口で鈴木さんと合流し、途中まで一緒に帰ることにした。
「お疲れ様、高橋さん」
「あ、鈴木さん。お疲れ様です…….そういえば聞いてくださいよ鈴木さ〜ん!…」
今日出会った人たちのキャラが濃すぎて思わず鈴木さんに話してしまった
「チクチク下まつげとオシャ…」
「ね?濃いでしょ」
「変わった子達とお話ししたんだね高橋さん」
「そうなの。ちょっと怯えました」
「そういえば僕も今日綺麗な双葉の生えた男の子とお話ししたよ、高橋さんの知り合いっぽかったけど…..」
「え?」
「名前は確か潔くんだったかな」
『…ねえ高橋さん明日もいる?』
『じゃあ明日も会えるんだな!』
『また明日ね、高橋さん』
あ、やったわこれ
お金持ちイケメンと結婚するためにをノベルにしちゃいました!拍手~!!👏🏻·͜·👏🏻·͜·👏🏻·͜·
こっちの方が読みやすいし投稿頻度も高いと思いますんでね!…まぁ…E p i s o d e .2の途中までですけど…♡⃛39欲しいですん!