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「私、何回やってると思うんです?店長もそのうち慣れますよ。」
「だといいんだけどなぁ…」
店長は、納得のいかない顔で唸っている。問題なく終わったんだからもう少し自信を持てばいいのに。
だけどそれでこそ代田店長なのかもしれない。そう、思えるようになってきた。
「おっと、こんなとこで立ち話しないで帰らなきゃね。」
はっとしたように、店長が慌てる。
「藤塚さん、電車だっけ?駅まで送るよ。暗い道は危険だからね。」
にっこりと笑いかけられる。ちょうどその時、月明かりと店長の笑顔が重なった。
確かに歩いて駅まで行くよりは楽だから、ありがたい。…はずなのに、何だろう。もやもやする。
どこか心の奥がつっかえてる感覚だ。
立ち尽くし、胸に手を当てても返ってこない。
「藤塚さん…?ご、ごめん、余計なお世話だったね。」
いつの間にか私より先に歩いていた店長が振り返り、何か勘違いしたのか謝ってくる。
その勘違いに、何故か苛立ちが募った。同時に、自分がどうしたいのかはっきりと分かった。
「………」
「え…藤塚さん…」
戸惑う店長を早歩きで追い越す。地面を踏む音が、夜だからかよく響く。
そして、店長と1メートルくらい離れたところで止まった。
「ど、どうしたんだ…」
「嫌です…。」
背中越しに聞こえる店長の声を遮ってぽつり呟く。
「へ?やっぱり…嫌だよね。はは…」
声が、落ち込んだ瞬間、勢いよく振り向く。
そして、距離を詰めると口を開く。
「じゃ、なくて!!駅まで送るのが嫌なんですよ。どうせだったら…家まで…責任もって送ってくださいよ…。」