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神風が総理との軽い手合わせを終えた数日後、東京の空気は異様に静かだった。神風の指名手配は、政府内でも賛否両論を巻き起こしていたが、総理は内々に緊急会議を招集した。
「皆さん、神風のこれまでの行動を見れば、彼が敵ではないことは明らかです。」
総理は深刻な表情を浮かべ、会議室の中で厳粛に発言を始めた。
「ですが、彼がいくつかの事件に直接関与している事実もある。」
大臣の一人が反論するが、総理はそれを冷静に遮った。
「それでも、彼はこの国にとって必要な存在だ。指名手配を続けて彼の力を失うことは、かえってこの国を危険にさらす。」
総理の言葉には重みがあり、誰も反論できなかった。
その日の夕方、全国に向けた特別放送が流れた。総理が自らの口で発表したのは、神風の指名手配の正式な終了だった。
「国民の皆さん、これまで神風を指名手配してきましたが、我々は彼の本質を誤解していた。彼は脅威ではなく、むしろこの国を守る力となる存在です。よって、彼にかけられた全ての容疑を撤回し、指名手配を終了します。」
その放送を街のスクリーンで見上げていた神風は、しばらく無言で立ち尽くしていた。指名手配が解除されることを予感していたものの、実際にその瞬間を迎えると複雑な感情が胸に湧き上がる。
「これで、自由ってわけか…」
神風は静かに呟き、風に揺れる髪を押さえながらゆっくりと歩き出す。