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#異能力バトル
名無の男2
207
47
#裏社会
中森 始
12
#児童向け小説風
layRa
240
ひと口に人を喜ばせるというが、なんでも叶うのがこの世界だ。
文字通り、なんでも出来る。 できない事はない。
「ゲームやアニメが、そのまんま出てきた感じ」
「よくいるな? そう言う者(もん)は」
「ふと思ったんだけど、ぜったい意味あるよね?」
「うん?」
「ゲームやアニメが、昔あれだけ流行(はや)ったのって。 布石(ふせき)みたいな?」
「まぁ……、かもな? そうかも知れない」
空を飛びたいなら、自由に飛び回ればいい。
マイカーならぬマイロボに、定番のRPGも大いにアリだ。
「そういや、黒騎士」
「あん?」
「や、友達がね? どこかのお城で黒騎士やってるって」
「なにやってんだそいつは……」
「んでもう一人がね?魔法少女だって。 相棒の」
「なにやってんだそいつら……」
水をチビリと啜(すす)ったところ、俄(にわ)かに歯が浮いた。
胸の内はいたく透(す)いている。
自分が楽しいと思うことを、とことんまでやる。
やることのできる世界が、ここにある。
暫(しばら)くして、やっと注文のラーメンが到着し、事務的な懇談もこれで終わりかと思った矢先。
「基準って、どうしてる?」と、テーブルの山椒(さんしょ)をアホほどぶち撒(ま)けながら、穂葉が上目づかいで言った。
「お前それ……、基準? いや、お前それ……」
「お裁(さば)きの。 どこまでが良くて、どこからが悪いのか」
「……お前まさか、考えてやってねえだろうな?」
“考えるな。 感じろ”
世に、これほど的確をついた言いまわしは無い。
脳みそで考えるのは人の業(わざ)。
心で感じるのが霊の業だ。
「てか、浄玻璃は? そいつで覗(のぞ)きゃ──」
「ん、それでもね? 見え難(にく)いことって、たまにあるじゃん」
「まぁな……」
極端な話、他人に危害を加えれば一発アウト。
そうとも言い切れないのが事実だ。
例えば、筋(すじ)の通った純然たる仇討(あだう)ち。
一を殺して千を助ける。
しかし、この千の運命が、そこから更(さら)に枝分かれをして、無数に展(てん)じてゆくのが人の世だった。
その先々を見澄まし、照らし合わせて事に当たるのが、我らの仕事である。
「肩、凝(こ)ったりしない?」
「凝らねえよ。 そのために酒があるんだから」
「飲みすぎてない?」
「あ……? ほどほど。 うん」
お節介というべきか、世話好きというべきか。
親思いと言うのとは少し違う。
「お母(かあ)は? 元気にしてる?」
「あぁ、今日は買いもん行ってる」
「あ、いいな。 私も行きたい」
「てか、会ってないの? 近ごろ」
「ん、だって忙しいからさ」
「だよな」
しばらく黙(もく)し、ラーメンを賞味する。
ダシやら何やらには然(さ)して明るくないが、この奥深い味わいは、店主が手塩に掛けて拵(こしら)えてる所以(ゆえん)だろう。
「不安になることって、ない?」
「ん?」
「いまの判決は、ホントに正しかったのかなって」
「お前さん、自分を信じてねえのか?」
「んーん。 信じてはいるけどさ」
かく言う当方も、時には疑念を拗(こじ)らせることが間間(まま)ある。
コイツは本当に悪党なのか?
ここでスッパリと切り捨てて、後悔はしないか?
「まぁ、俺らが振(ぶ)れんのが一番やべぇわな」
「ん……」
「他の何もんより、よっぽど」
「こんにゃく閻魔」
「あん?」
「や、閻魔の好物はこんにゃくだとかって」
「ほぉ? なんで?」
「あー、なんだっけな……? たしか裏表がないからだとか」
「なんじゃそら? 素麺(そうめん)の間違いじゃないのかね?」
振れる振れないは別として、裁く側(がわ)は常に清廉潔白であるべきだと、どこぞの弁護士くずれが言った。
なるほど妙だ。
過去の判例に則(のっと)って、誰も納得のいかないアホな判決をくだす生(なま)っ白(ちろ)い下地(したじ)。
そんなもんを清廉潔白と呼ぶのなら、ニンゲンさまの法廷は、さぞ垢抜(あかぬ)けていたんだろう。
現在(いま)をどうこうしようって時に、過去の振り方を持ち出す筋(すじ)なんぞ無い。
“私はこう思うんですが、本当に正しいでしょうか?”
アホか。 答えはそこにあるってのに、なにを疑う必要がある?
「まぁでも、相談役くらいは居てもいいかもな?」
「ん……」
「いいのは居ないの? こう、支えてくれそうな、手頃なのは」
「生憎(あいにく)ねー……。 恋愛とか、ちょっと面倒っていうかさ、今さら」
「あぁ……、そう」
「あ! 補佐役といえば、お父の荒御魂(あらみたま)が」
「止(や)めとけ。マジで。笑えん」
にへらと笑った穂葉は、そこから黙々とラーメンに向き合った。
時刻は、おおよそ昼過ぎ。
休憩もあと少しで終わりか。
当面の長話が祟(たた)り、そろそろ麺が伸び始めた頃合いに、こちらも急いで掻き込むことにする。
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