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#バイオハザード
SOMAMON7A
332
#からぴちNL
#イラスト
軋轢
48
熊崎まろな
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抜刀
・・・・・・・・・
緊急召集のかかった柊依さんと無一郎を見送って、どのくらい時間が経ったのだろう。
「有一郎さん」
「?はい」
花柱邸で働く隠の人が俺の刀を持って声を掛けてきた。
「何かあった時の為に、刀は持っておいたほうがいいかもしれませんよ」
「で…、でも、俺もう随分長いこと任務に出てないし…」
「本部が襲撃されるのは鬼殺隊始まって最大の緊急事態です。これを合図に大量の鬼たちが襲ってくる可能性もあります」
「使うか使わないかは有一郎さん次第ですが、必要なのに使えないのと、持っていたけど要らなかった、では全く違いますからね。我々も一応、武器になるものを持っておきます」
見ると隠の人たちも、大小様々な武器を身に着けていた。
「そっか…。そうですよね。ありがとうございます」
戦えるかは分からないけれど、みんなの言う通りかもしれない。俺は隊服のベルトに刀を差した。
じっとしていられなくて、道場に向かった。刀を鞘に納めたまま、水の呼吸の剣技をひと通りやってみる。霞柱の稽古に来ていた隊士たちも落ち着かないのはみんな同じなのだろう。それぞれが素振りをしたりお互いに手合わせをしていた。
ヒノカミ神楽の動きも少しおさらいしてみる。全力でするとすぐに疲弊してしまうから。手の向きや足の運びをゆっくり細かく復習する。
12個の型を順番に行うその途中、毎日の掃除でピカピカに磨き上げられた花柱邸の道場の床に、突然大きな穴が空いて俺たちを吸い込んだ。
「うわっ!?」
「何だ!?」
「わああぁぁぁっ!!」
ここはどこだ!?建物のような広い空間をものすごい速さで落ちていく。道場にいた他の隊士たちも同じように。
いや、隊士だけじゃない!隠の人たちまで!
何なんだここは。上下も左右もめちゃくちゃだ。多くの仲間が地の底に叩きつけられて死んでいく。とにかくどこかを掴まないと!それか技を出して軌道を変えなくちゃ!俺も落下の圧ですぐにぺちゃんこだ!
必死で水の呼吸の技を出して体勢を整え、建物の一部を掴んでどうにかこうにか床に着地した。
「はあっ…、はぁっ…!」
突然の出来事に心臓がバクバク鳴って口から飛び出しそうだ。
呼吸を整えながら辺りを見回すと、果てしなく広がる謎の空間。そして、あちこちから聞こえる叫び声や断末魔や轟音。
みんなここに連れてこられたのか?なら、柱のみんなも?柊依さんや無一郎もここに?
考えても仕方ない。とりあえず誰かと合流したほうがいいかもしれない。
俺はいつも身に着けていたお守り袋をぎゅっと握り締めて心を鎮め、自らの頬を軽く叩いて走り出した。
バンッ!!
「グアァ〜ッ!!」
襖や障子が開いて鬼たちが姿を現す。上から降ってくる奴や足元から這い上がってくる奴もいる。
怖い。そう思ったその一瞬で身体が強張ってしまった。
ああ、やられる…!
俺は思わず目をぎゅっと閉じた。
ズバァァァン!!
「ギャアアアッッ!!!」
ものすごい悲鳴が聞こえた。
「おい、テメェ何ビビり散らかしてやがる!!」
聞き覚えのある低い声も。
そっと目を開けると、自分を庇うように前に立つ男の人の背中。白い上着には“殺”の文字。袖を捲った逞しい腕にはいくつもの傷痕。
「かっ…風柱!」
「お前、時透の兄貴のほうか。何鬼にビビって目なんか閉じてんだ!こっちが殺らなきゃ殺られんだぞ!分かってんのか!!」
こちらを振り向いた彼に怒鳴られた。
「でも俺…、長いこと戦ってないんです!」
「ンなこた関係ねェ!剣士も隠も関係なくここに飛ばされてんだ。その腰に差してんのは何だ!?ただのオモチャか!?ああ!?それ使って敵を倒せ!!」
次から次に襲ってくる鬼を相手にしながら言葉を投げかける不死川さん。
「お前がここで死んだら悲しむ奴がいるんだろ!?弟も、倭も!…姉ちゃんから何を教わったんだ!鬼を目の前にしたら目ェ閉じて大人しく喰われるのか?姉ちゃんも使える技、姉ちゃんに教わった技、死に物狂いで駆使して鬼を倒せ!!」
「…っ!」
はっとした。
そうだ。水の呼吸の剣技は柊依さんにも稽古をつけてもらっていたんだ。ヒノカミ神楽だって、炭治郎に教えてもらって、柊依さんとも一緒に練習したんだ。
“鬼を滅ぼすことができたら、無一郎くんと3人でいっぱい楽しいことしよう。美味しいものを食べて、旅行に行って、穏やかに暮らしましょ”
“だから…ね、どうか死なないで”
“3人で一緒に幸せになるの。いいわね?”
あの夜、柊依さんと交わした約束が頭に蘇る。
“剣士でもそうでなくても、あなたは私の一番弟子で、大事な家族で、可愛い弟なことには何の変わりもないの。…有一郎くん、大好きよ”
戦えなくなって苦しんでいた時に掛けてくれた言葉と、柊依さんの優しい声と笑顔も。
「鬼を怖いと思うことを咎めたりはしねェ!でもな、お前も男なら戦え!全力で戦え!!お前らは倭柊依の一番弟子だろうが!」
「!」
そうだ。俺と無一郎は花柱・倭柊依の一番弟子なんだ。師匠で、家族で、大好きな柊依さんの顔に泥を塗るな!彼女に恥をかかすな!
俺はぐっと刀を握り直し、鞘から引き抜いて構えた。
不死川さんと背中を合わせて鬼を倒す。久々の肉を斬る感触だ。決して心地のいいものではないけれど、前線から離れても鍛錬や稽古を続けていたおかげか身体をしっかり動かせた。
襲ってきていた鬼たちを倒して、ようやくひと呼吸つけた。
「やればできるじゃねェか」
そう言って、不死川さんは剣だこだらけのごつごつした手で俺の頭を少々乱暴に撫でくり回した。
「俺は向こうに行く。もう大丈夫だな?」
「はい!ありがとうございました!」
「絶対無惨を倒すぞ。時透有一郎!」
「はい!」
俺が返事をすると、不死川さんはフッと笑って踵を返し、風のように駆けていった。
俺も行かなくちゃ。鬼への恐怖は消えないし、“あの任務”で見た幻覚を思い出すと身体が震えそうになるけれど、それでも戦うんだ!絶対に無惨を倒して、鬼のいない世界をつくって。柊依さんと無一郎と3人で幸せに暮らしていくんだ!
続く
コメント
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第23話「抜刀」、めっちゃ熱かった!風柱の怒鳴り声が逆に有一郎の背中をガツンと押して、恐怖に固まってた彼が刀を抜くシーン、痺れたよ。柊依さんとの約束を思い出して「もう逃げない」って覚悟決める流れ、涙腺にキた。続き、絶対読みたい!