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💚「えっ、ルミナシアパーク、もう正式にオープンしたの? まだ一週間だよね?」
💜「そ。でも、ほら」
深澤がテーブルに置いてあったリモコンで事務所のテレビを点けるとそこには、ルミナシアパーク正式オープンという文字とともに、ルミナシアパークが映し出されている。風船が飛び交うパーク。リポーターの奥には来園者の姿が多く見られる。
💚「ホントだ……」
パーク内の施設がいくつか映し出され、大時計塔の文字盤が大きく画面に映った。
それを見つめていた阿部。
💚「……え……」
しかし突然、目の前にあるタブレットを持ち、画面を見つめる。
それから少しの間、画面を見たまま動かない。
💜「阿部ちゃん、どうした?」
声を掛けられて阿部はタブレットの画面をひっくり返す。
💚「あ、いや、なんでもない。こんなに早くオープンすると思ってなかったからビックリした」
💜「だよねー。結局、エルセリオンのあの画面がなんだったのか分かんなかったし」
💚「うん。成功と失敗しか書かれてなかったからね。何か目的があったのは明らかだけど、失敗してたんだったら大丈夫、なのかな」
💜「んー。なんも分かんなかったからね。でもま、無事に減った異能は戻ってきたわけだからさ」
💚「そうだね」
深澤が給湯室に向かったのを眺め、阿部はタブレットの画面を再び見つめる。そこに書いてあるのは、三班が行動した施設が順番に並んでいる。
そして先ほど見た大時計塔の文字盤。そこには時計の針とローマ数字の他に、小さな紋章が刻まれていた。それは、恐らくルミナシアパークの主要施設を紋章にしたもの。十秒ほど映し出されていたから思い出せる。
Ⅰはワンダー・パビリオンの外観と鍵の紋章で、冒険者の証としてもらったカードにも描かれていたから、ワンダー・パビリオン。
Ⅱはアーチとステーションのシンボルである星が描かれていたから、ルミナシア・ステーション。
Ⅲは岩の階段とアーチから、グランド・テラス。
Ⅳは鐘と時計の針から、大時計塔。
Ⅴは星が上部についたドームから、星空ホール。
Ⅵは万華鏡のような幾何学模様から、ミラージュ・メイズ。
Ⅶは妖精の翅に花の模様から、フェアリー・プロムナード。
Ⅷはランタンと草から、ノクターン・ガーデン。
Ⅸはオーロラの下の円状の建物から、オーロラ・シアター。
Ⅹは輝く樹から、テラリウム・エルシアの生命樹。
Ⅺは城とクラゲから、アクアリウム・エルシアのアルトリオン。
Ⅻはアルトリオンと同じ形の輝く城から、天耀宮エルセリオン。
そこまで分かってから、三班の行動と廻った施設だけを見る。
💚「順番、同じだ……生命樹とアルトリオンを除けば、最後に辿り着いたのはエルセリオン……これって、偶然なの……?」
顎に手を当てて考え込む。それでもテレビ画面の向こうのルミナシアパークは歓声で溢れていて、胸の内がざわついているのは恐らく、阿部だけだろう。
💜「阿部ちゃん! ちょっといい?」
先ほど給湯室に向かった筈の深澤が、スマホを持ったままこちらに向かって来た。
💚「どうしたの?」
💜「みんなに緊急招集かけてほしい。いつもの署長から、闇オークションの情報が入った」
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💚「闇オークション?」
💜「しかも、人身売買が行われるらしい」
💚「っ。わかった、すぐに連絡するね!」
阿部はソファに座ったまま、その場で電脳空間へと入った。
それぞれ、別の場所にいたメンバーが集まったのは、それから30分後のことだった。
💜「今回、闇オークションが行われるっていう情報が入った。警察の方でも手を焼いてる連中らしくて、会場を突き止めて踏み込んでも、すでにもぬけの殻だったり、一般客だけで運営側の組織はいなかったりと、ずっと野放しになってる状態らしい」
🩷「じゃあ、敵の組織もわかんないの?」
💜「いや、そこは判明してるみたい。《LOT》っていう犯罪組織。忽然と姿を消すことから、異能力者が複数人いるんじゃないかって」
💛「それでうちに依頼、か」
💜「そ。阿部ちゃん、LOTについて調べられた?」
💚「うん。主にオークションを扱ってるね。通常は異能獣とか、星晶自体を商品にしてる」
🧡「星晶自体って、どゆこと?」
💚「殺して奪うっていうこと」
🧡「うへ……」
💚「星晶持ちはそもそも異能自体が、希少価値が高いんだけど、厄介な異能が多い。それこそ、制御できなかったりね。そこで、星晶に目を付けた。どんな宝石とも違うし、世界に一つだけしかない。だからこそ、高額で取引される」
🩷「高額って?」
💚「一つでビル一棟が買えるくらいかな」
🩷「ってことは、一千万とか?」
💚「数億だね」
🩷「……マジ?」
たった一つで?という顔の佐久間に、阿部はコクンと頷いた。
💜「で、たまに人間も対象になることがある。それが今回、警察が掴んだ人身売買。その商品数は、五。五人が売られるところまで突き止めてる」
🤍「それってなんで分かったの? いっつも逃げられてるんだよね?」
💜「そこ。今回、情報源は組織の中の一人。まあ、下っ端中の下っ端なんだけどね。見張りでいたらしいんだけど、どうも、商品になった子のことが気に入っちゃったらしくって、その子を連れて逃げ出そうとしたんだって。でも見つかって死にそうになってたところを警察が保護して発覚、という流れ」
❤️「なるほどね」
💜「で、その下っ端が逃がそうとしたのが、この子」
深澤が持っていた一枚の写真が、応接間のテーブルの上に置かれた。そこに写っているのは、一人の中学生くらいの女の子。
🩷「まだ子どもじゃん」
💜「そ。でも、ただの子どもじゃない。これがもう一つの姿」
そう言って、もう一枚の写真を隣に置いた。
そこには、プールの中でにこやかに笑っている女の子が写っているのだが、特徴的なのはその足。スカートのようになったレースの布から覗くそれは人間の足ではなく、魚のような尾ビレだった。それも、桜色の鱗が光を浴びて輝いている。
🖤「人魚……」
💚「そう。体の30%が水に濡れると人魚の姿になる、変身系の異能。よく見たら、耳もヒレなんだよ」
💙「阿部ちゃん、そんなとこまで見てんのかよ」
渡辺の言葉に、阿部は苦笑を浮かべた。
💜「で、オークションが行われるのは明日。だからこそ、逃がそうと思って行動に移したらしい」
💛「明日か……時間ねえな」
💜「うん。で、班分けをしとこうと思って。やることは四つ。一つ目、商品になっている可能性のある人の調査。二つ目、オークション会場が判明してるから、潜入。三つ目、潜入班からの情報を受けて、救出。四つ目、救出するための導線確保とか陽動をする、後方支援」
💛「なるほどな。そうなると、潜入は俺とめめだな。めめの蔓で情報集めができるし、中での状況判断が必要になる」
💜「だね」
💛「救出に佐久間は絶対で、どう閉じ込められてるか分かんない以上、その場で必要な道具を作れるラウと、冷静に行動できて火力もある舘さん」
🩷「任せろ!」
💛「舘さんとラウは、暴走佐久間のストッパーもよろしく」
❤️「了解」
🤍「任せて!」
🩷「なんでだよ!」
💛「で、後方支援に阿部を置きたいところではあるけど、陽動もすんなら、思いっきり暴れられるふっかと康二。調査を翔太と阿部だな」
💚「うん、それでいいと思う」
🧡「ふっかさん、俺ら暴れる要因やて」
💜「まあ、異能的にもそうだろうな」
💛「ふっかは、後方支援の時の司令塔でもあるから」
行方不明者の調査をするのは、阿部と渡辺。警察の方から候補者が送られてきているため、その裏付けを主に行う。つまり、オークション会場からは離れたところで動く事になる。
潜入して中の状況を確認するのは、目黒と岩本。会場内では臨機応変さと焦らないことが重要になるので、どんな状況でもペースの乱れない目黒と岩本が適任だ。それに、目黒の蔓を張り巡らせれば、ダクトの中から様々な場所の確認もできる。
救出の要は佐久間。同時に三人までしか移動できないが、それでも三回あれば、商品にされている人を全て逃がす事が出来る。潜入とは別で、内部に入り込むので戦闘になる確率が高いが、宮舘の氷で攻防・制圧・拘束などあらゆる場面に対応できる。ラウールのクリエイトがあれば、鍵がかかっていても突破できるのも大きい。
そして、陽動の深澤と向井。鋼、重力、岩と攻撃手段の多さはピカイチだ。陽動には派手さも必要になるから、この二人には合っている。それに、深澤にはふーちゃんもいるから、実質動ける数が増えるのも理由の一つだ。
💜「今日はもう遅いから、明日の為の準備と休息。明日は朝一から動くから、寝坊すんなよ。特に翔太と佐久間」
🩷「うわ、信用ねえな」
💛「佐久間、大事な依頼の時に遅刻しただろ?」
🩷「はい、すいませんでした」
❤️「翔太の方は、俺が起こすから大丈夫」
💜「舘、頼んだ」
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