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「恋愛マスターの成瀬ちゃんだなんてねぇ〜」



「うるさいっ!あんたのせいでわけのわからないことに巻き込まれたんでしょうが!」



「いいじゃん。キラッキラの青春を過ごせるよ〜」



「青春のせの字も無いわっ!!」




「てか、成瀬は今まで付き合ったことあるの?」



「無いに決まってんだろー!!!そもそも男とほとんど話したことないってのに…」



「わーお。そりゃ困ったね」







西田はニヤニヤするだけで全く力を貸してくれない。今日の放課後、あの教室に行かなきゃいけないのは憂鬱で仕方ないというのに。









そして、放課後。私が空き教室を覗き込むと、そこには既に担任がいた。




「あ、成瀬さん。お越しくださりありがとうございます。早速、授業をお願いします」



「…はい。授業って何をすれば良いですかね?」



「ではまず、どうすればお慕いする方と仲良くなれるのかを教えて頂きたいです」



「あー…距離を縮めたらいいんじゃないでしょうか…って近づいてこないでください。物理的な話じゃないですから!」



「ほう」



「つまりですね、お互いのことを知って心の距離を縮めるんです」



「なるほど。しかし、私は成瀬さんのことを十分に知っているつもりです。成瀬想世さんの年齢は17歳、誕生日は1月18日、山羊座のB型、身長は157cm、家族構成はー」



「職権濫用しないでくださいっ!!」



「…では、次は私について知っていただくとしましょう。改めまして、和住暁と申します。年齢は29歳、誕生日は5月17日、牡牛座のAB型、身長は180cm、趣味はー」



「もういいですっ!!先生の個人情報なんていらないですから!」



「それは傷つきますね」



「真顔じゃないですか!」



「バレましたか。まぁ、山羊座と牡牛座は相性が良いので私達はよい夫婦になれますよ。ご安心下さい」



「安心できるかぁっ!結婚しないって言ってるじゃないですか!…この分からず屋!」






勢いそのままに教室を飛び出した私は、急に目の前に現れた誰かにぶつかりそうになった。




「うぉ!?すみませんっ」



「いえいえ、こちらこそ」






一刻も早くこの場を離れたい私は謝罪もそこそこにして、学校を出ることにした。



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