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酒場でリオンと再会したガ―レット。
結局あの後、別の宿で飲みなおしたらしい。
その後、手配した闘技場近くの宿へと泊まる。
「あまりいい宿じゃないけど我慢してくれ」
いま彼らが宿泊しているのは王都でもかなり豪華な宿。
とはいえ、普段暮らしている屋敷よりは数段劣る。
多少の不満はあるらしい。
バッシュとミドリはすぐに寝てしまった。
特に飲み食いしていた二人だ、当然と言える。
起きているのはメリーラン、キョウナ、ルイサの三人。
そしてガ―レットの四人のみ。ガ―レットはベッドの上で胡坐をかいている。
メリーランたちは椅子に座っていた。
「それで、どうするつもりなんだ?」
ガ―レットが問う。
すると、ルイサは答えた。
「決まってるわ。私たちが勝つのよ」
「そう簡単にいくかねぇ?あいつら、結構強そうだったぜ?」
「あんなの全然大したことないわ」
自信満々に答えるルイサ。
ガ―レットは当然勝つ、そう考えている。
だがルイサとキョウナ、そして一応出るというバッシュはどうか?
それはわからない、未知数だ。
しかし、次の瞬間には表情が変わった。
「…でも、出場しない奴よりましでしょ」
「それは…」
ルイサが嫌味を込めてメリーランに言う。
彼女は魔術師だ、出場しても勝ち残ることは無理だろう。
言い返すこともできず、うつむくメリーラン。
「メリーなんか最初からアテにしてねぇよ。その代わりに、スリューのヤツも参加するみたいだしな」
「えっ!?」
「何驚いてんだよ」
「だって…」
そう言えば以前、ガ―レットとスリューが話しているのを目撃した。
あれはそう言うことだったのか。
そう思うメリーラン。
「…もう寝ます」
「ああ、そうか。好きにしろメリー」
「では…」
そう言ってメリーランは別室へ行った。
この大部屋とは別に個人用の部屋も一応借りているのだ。
バッシュや緑もその別室で寝ている。
それを見たルイサが言う。
「いいの?ガ―レット」
「別にいいだろ。それに、俺は強い女の方が好みだ」
そう言って、ガ―レットはキョウナの顎をクイっと持ち上げる。
突然のことに驚き、赤くなる彼女。
ガ―レットの予想では、キョウナはいいところまで行くのではないか。
そう考えていた。
「ま、せいぜい頑張れや」
「…うん!」
キョウナは笑顔でうなずき、元気よく返事をした。
それからしばらく、ガ―レットたちの雑談が続いた。
まさか殺したと思っていたリオンが生きているとは思わなかった。
だからこそ、彼は思ったのだ。
今度こそ決着をつけてやると。
「それにリオンのヤツ、結構いい女を連れてたじゃないか…」
不敵な笑みを浮かべるガ―レット。
彼は魅了の魔法を使える。
それは当然、女性に対して効果を発揮するものだ。
だからこそ、彼は確信していたのだ。
あの女は、いつか必ず自分の元へ来ると。
そして、自分の手駒にするのだと。
「あ、何か悪いこと考えてるでしょー」
ルイサがガ―レットの頬をつつく。
笑みをこぼしつつ、彼がふと呟いた。
「それにしても、いいベッドじゃないか」
この宿の大きなベッド。
人が数人は寝れるほどだ。
まだ大会まで数日はある。
すこし遊ぶとしよう、ガ―レットはそう考えた。
キョウナの肩に手を伸ばす。
「…何してんの?」
「何って、当然…」
ガ―レットの言葉を聞き、キョウナはにやりと笑った。
ルイサもそれに混ざるために近づく。二人はキョウナを挟むように立った。
そして、ゆっくりと手を伸ばした。
その時、キョウナが動いた。
ガ―レットの手を掴み、そのまま押し倒すようにして転ばせた。
「おっ!?」
「ふふっ」
驚く彼を見下ろしながら笑う彼女。
彼女はそのまま馬乗りになった。
いつになく積極的なキョウナ。その瞳の奥にあるのは、情欲の色。
こんなに積極的になるなんて、何かあったのか?
リオンと会ったことで逆に燃え上がったのか。
そんなことを思いつつ、彼女を受け入れるガ―レット。
抵抗することなく、むしろ積極的に受け入れるつもりだ。
なぜなら、彼にとってもこの展開は望んでいたことなのだから。
「…始めるか」
「うふふ」
「私も忘れないでよね」
「ああもちろんだ。三人で、な…」
そう言いながら、二人に視線を向けるガ―レット。
二人を同時に抱きしめるガ―レット。
こうして夜は更けていく。
熱く、激しく…
―――
数時間後…
一通りの行為を終えた三人。
さすがに疲れたのか、ぐったりとしているキョウナ。
ガ―レットとルイサはもう眠りについてしまったようだ。
起きているのはキョウナだけのようだ。
「はぁ…はぁ…最高だったわ」
荒い息を吐く彼女の頬は上気しており、その顔は艶めかしさに満ちている。
満足げに呟いたあと、静かに目を閉じて身体をのばした。
しばらくして、彼女は水を飲みにこうと考えた。
思ったよりも喉が渇いてしまったのだ。
そんな中、彼女は自身の持ち物が散乱していることに気が付いた。
「そっか、さっき…」
先ほど服を脱ぎ捨てたことを思い出した。
行為の最中に落としたのだろう。
「あれ?」
そこで彼女が見たものは、小さな袋に入った石のようなものだ。
キョウナは記憶を探るように頭をひねる。
一体これが何だったのか。
「これって確か…」
思い出せない、頭に霞がかかったような感覚。
なぜ自分が持っているのか。
そもそも、これは何のための物なのか。
自分で手に入れた者では無いのなら、誰が渡したものなのか…
「うぅ…ッ!」
何故かリオンの顔が思い浮かぶ。途端に胸が締め付けられるような痛みに襲われた。
キョウナはそれを誤魔化すために、急いで水を飲んだ。
「ぷはっ…」
冷たい水が全身を巡る。
それにより、少しだけ気分が落ち着いた。
だが、頭の中にかかった霧が晴れることはなかった。
そして再び目を閉じる。
瞼の裏に浮かぶのは、彼の姿。
「なんなのよ…」
いらいらしながら、その小さな皮袋を床に叩きつける。
そして無言のまま、彼女はまぶたの裏に移るリオンに手を伸ばした。
それは無意識の行動だった。
しかし、それを止めることはできなかった。
と、その時だった。
「痛ッ…」
床に叩きつけた小さな袋。
それを踏みつけてしまったのだ。
中に入っていたのは尖った小石の数々。
それが足裏を突き刺してしまった。
彼女は顔を歪める。
しかし…
「あっ…」