まだまだ、冷たい風が吹き凍える冬の夜。
小さい時から、誰もが憧れるような誰にも縛られず深夜のお出かけ。
流石に、この歳になったら、日々の老いを感じるだけだがな(笑)
まだまだ、明るく夜を知らない、ビル群、、、どれも、これも、社畜共が足掻いて、膝まづいて、光らせているような、灯りだと思うと、綺麗だなんて言葉だけじゃ片付けられないよな。
ひとつ、視線をずらせば派手に光るネオン管。看板に書いてあるのは、よく分からない英語の羅列。恐らく、ガールズバーだとか、キャバクラだとか、ホストクラブの宣伝だろう。まさしく、踊ってない夜を知らない奴らなんだと思う。
外の空気を目一杯吸って、家に帰るとしよう。今日は何故だかすごく気分がいいからな。
カツンカツンと、錆びた鉄の音がする、外階段をのぼり2階へ上がり、如何にも静電気が発生しそうなドアノブに手を掛けた。すると、どこか生暖かい感触があった。
そっと、扉を開け、廊下を静かに歩くと、後ろに悪寒が走った。
「チッ!やっぱりお前かいな。」
「あれ、俺だって気づいとったん?」
「当たり前やろ、何年の付き合いだと思ってんねん。」
「あはっ、やっぱり悠くんはそういう所だわwww」
口では、こう言いながらもめちゃくちゃ驚いた。なんで、警戒レベルMAXやったのに気づかれず後ろに回り込めるん?いや、ほんまなんでやねん。
「んで?急にどうしたんや初兎」
「いやぁ〜?悠くんがさっき、連絡くれたからな。もう、お家来ちゃった★」
「いや、来ちゃった★じゃないんよ」
てか、なんで、鍵を締めていたはずなのに普通に入ってこれる?こいつ、本当に人か?
「つか、連絡いれたの、さっきだよな?もう、なんか、わかったんか?」
そう、俺は実際にこの目でも見たスキンヘッドの男の方も情報をかけていた。
「もしもし、初兎?」
「あ、悠くん?急にどうしたん!?そっちから連絡なんて珍しいやんか!」
「まぁ、いつも、お前からだもんな(笑)」
「で?なになに?デートのお誘い???」
「んな訳ないやん(笑)ちょっと調べて欲しいことがあったから連絡しただけ。」
「ちぇ〜デート違うんか。ま、いいや!俺は、何を調べたらいいん?俺に聞くなら暴力団とか?」
「そ、多分20も裏に着いてる感じの」
「ははっ、まんま俺の仕事やん。(笑)」
「調べてくれるか?」
「関西系統白楊派閥紫炎組若頭初兎様がんばりますわ!」
「で、?もう、情報は集めたん?」
「まぁ、部下が頑張ってくれたんでな(笑)」
「さっすがやな〜、んで?スキンヘッド男はどんなやつ?」
「あのな、、そいつの事なんやけど、俺の部下の彼女が噛んでてな?同じように騙されたっぽいんよ」
「あ〜ね?」
やっぱりそうだった。あの顔は何回も同じような手法を繰り返している男だった。危ない男の連れだろうが気にせず脅すとは、なかなかの肉体的自信があるらしい。
「それでな?彼女さんが脅されている時にその部下が何人かと一緒に突撃したらしいんよ。でも、全員返り討ちにされたらしい。」
「!?」
「お前の組全員武闘派だよな!?」
「そ、さっき俺もその話聞いた時めっちゃびっくりした。なんか、争ってる内に続々と屈強な男達が突撃してきたらしいで。
大変だ。相手はかなりの武闘派だったようだ。これでは、真っ向勝負じゃ勝てそうにない。頭をフル回転するしかない。
「ふふっ、久しぶりにそんな、思い詰めた顔の悠くん見たわ。大丈夫そ?」
「いや、寧ろ面白くなってきたわ。自分から突っ込んだ事件がこんなに複雑っぽいのは久しぶりや。」
「悠くんが楽しそうで俺も何よりだわ。ま、なんかわかったら、また連絡するし、何時でも、俺の事頼ってな?」
「ん、ありがとな初兎。ちょっと、俺も頑張るわ。」
「あ!悠くん、無茶はアカンからな!前みたいにぶっ倒れたら助けないからな(笑)!」
「ウッ」
こんな事言われてしまったら、無茶が出来ないじゃないか。久方振りの徹夜で調べる作業が出来なくなってしまう。まぁ、無茶をしなければいいのなら、めっっっちゃ頑張るしかないか。
そう思い、俺は、バイバイと言い去った初兎を帰らせてから風呂に入ってから狭いワンルームの一角にあるちゃぶ台にパソコンを置きブラウザを開いた。
カタカタと調べたい事を打ち込んでいった。
作者のちょこっと解説。
作中に登場した『20も裏に着いてる感じの』というとこがありますが20とは893を足したことです。つまり、隠語ですね。他にも分からない言葉があったらコメントで聞いてください。
紫炎初兎
関西系統白楊派閥紫炎組若頭。アニキを過去に何回も助けたし助けられた。
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