テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
そうして、いつもの日常が戻り、私はまた調合に明け暮れていた。
「葛根湯にございまする。
お大事にされてくだされ。
次の方!」
「小建中湯でございまする。
お子様の腹痛に効き、甘くて飲みやすくなっておりまする。
次の方!」
相変わらず、私の部屋には後宮の病人が次から次へとやってきていた。
しかし、午後になると、患者の足も途絶え、さて薬酒でも作ろうか?としたとき、シャルルダルク様がお見えになった。
「シャルルダルク様、また暇なのでございますか?」
「だから、俺は忙しいと言っておろう。」
「では、一体何の御用にございまするか?」
「そ、そ、その、あれだ!
ほら!」
「全く分かりませぬ。
言語をしゃべってくだされ。」
「ち、ちょっと出かけぬか…?
ほら、天気も良いのに、部屋に引きこもる必要はあるまい?」
シャルルダルク様はおっしゃる。
「まぁ、それはそうですが…
どこに行くのですか?」
「それは、秘密よ!」
シャルルダルク様はニヤリと笑ってそう言った。
「それでは、用意しますゆえ…」
「あぁ、ドレスなど着てくるなよ。
カジュアルなワンピースが良い。」
「はぁ…?」
とりあえず私は奥の部屋で着替え、適当に化粧して、髪を三つ編みにする。
「これで良いのですか?」
「あぁ、上等よ!」
シャルルダルク様は言い、私たちはサリーに少し出かける、と告げて馬車に乗った。
たしかに、天候は良く、太陽の日差しが穏やかに降り注いでいた。
そして、馬車が向かったのは…
「ここは…
メイス国の中央競馬場ではありませぬか!?」
そう、競馬場に着いたのだ。
「そうだ!
狙え、一攫千金じゃ!
馬券を買うぞ!!!」
シャルルダルク様は見たことも無いような少年のような表情でそう言い、私の手を引っ張っていく。
「シャルルダルク様!
私、競馬など初めてで…」
「適当に勘で買えばいいのだ!
その方が意外と当たる!」
「は、は、はぁ…」
そう言われて、私は自分の誕生日の馬券を買ってみた。
レース場に入ると、人!人!人!
私たちはいつのまにか手を繋いで、席に向かう。
と言っても、みんな立って熱狂している。
「シャルルダルク様はどの馬券を買ったのですか!?」
私は周りに負けぬよう大声でそう言った。
「俺の持ち馬が出ておるのじゃ!
ほら、あの白い右端の馬だ!」
シャルルダルク様も大声で返す。
「アレでございますか!
遅そうにございますね!」
「何を!?
速いに決まっておろう!!!
お、始まるぞ!
そなたも野次を飛ばせ!!!」
シャルルダルク様は言う。
野次…?
一応侯爵令嬢だった私にそんなの飛ばせるはず…