テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
8,836
1,997
今日はドームツアー初日。
みんな少しピリピリしていて、ライブの進行状況や、機材の調整などに目を光らせていた。
そんなスタッフをみて、メンバーたちにも緊張が走る。
初めてのツアーなわけじゃない。
ツアーはデビューしてから何度もやってきた。
でもいつだって初心に返る。
メンバーたちは、リラックスしようとたわいもない話をしたり、笑いあったりしていた。
そんな中、佐久間とめめはほんのわずかな時間を使って、ステージ裏を散策していた。
「わぁ~、すげぇ〜。」
佐久間は楽しそうにステージの裏側を見ている。
でもしっかりと、すれ違うスタッフさんに挨拶して、愛想を振りまく佐久間。
そこが愛される所以なんだろう。
めめもそんな佐久間が好きだ。
でも嫉妬してしまう。
心が狭いなと思いつつも、独り占めしたいと思ってしまう。
この笑顔は自分だけに向けて欲しい。誰にも見せたくない。
しかし、もともと穏やかなめめ。
佐久間と一緒にニコニコとみんなに挨拶していた。
心とは裏腹に。
(人の気も知らないで……)
めめは唇を噛み、佐久間の後を歩いていた。
目の前にいる佐久間。手を伸ばせばすぐにでも捕まえることができるのに、少しでも目を離したら、どこかに行ってしまいそうで不安になる。
佐久間を抱いて、体も心もひとつになったはずなのに、空気を掴んでいるような危うさ。
信用してない訳じゃないけど……自分の弱さなのかもしれないとめめは思った。
しばらく歩いていくと、ちょうど人気のないところに差し掛かった。
ちょっとしたシークレットスペース。
2人だけの空間で何もしないなんて考えられなかった。
心より先に体が動いていた。
前を歩いていた佐久間の手首を掴み、引き寄せる。
腰に手を回して密着する。
めめは昂りを感じた。
驚いた顔の佐久間。
「えっ、蓮?どうしっ……」
唇で言葉はかき消され、そのまま物陰に連れ込まれた。
少し深めのキス。
「っん…っぁん……」
甘い声が漏れる。
ステージでは、照と深澤がユニット曲を歌っているのが聴こえてくる。
それを聴きながら、佐久間はめめとキスを交わしていた。
長いキス。
腰に回されていためめの手が、欲望のままに背中を撫で回す。
「っん、あっ…れ…ん…」
佐久間はめめの激情に流される。
心臓がドキドキしすぎて、照の歌声もだんだん聴こえなくなってきた。
「はぁぅっ……っん……」
佐久間はどんどん高揚していく。
腰が砕けて立っていられなくなった頃、
「もうそろそろ戻らないとね。」
唇を解放された。
突然すぎる終わりに佐久間は我に返る。
「こんなことして……蓮のバカ!」
めめはクスッと笑って佐久間を抱き上げた。
「腰、砕けすぎたでしょ。」
ニヤッとして、佐久間の頬にキスをした。
「えっ?!何してるんだよ。誰かに見られたらどうするんだ。」
佐久間が慌ててもがく。
「ここには誰も来ないよ。俺と佐久間くんだけ。」
「そうだとしても。照が歌ってる時に不謹慎。蓮とイチャイチャ……そりゃ…したいけど……でも……罪悪感が……」
「だからだよ。悪いけど、独り占めのチャンス。」
悪い顔をする。
「うわぁ〜。蓮が悪い顔してる。」
「そうさせたのは佐久間くんだよ。責任とって。」
「なっ……」
めめは抱き上げた佐久間をじーっと見る。
そして深いため息をつく。
「だから、衣装がいちいちやらしいんだって。最近のスタイリストさんは、なに考えてるんだ……」
今回の佐久間の衣装もスケスケ。むしろ着てないに等しい。
最近頓に佐久間の衣装がやらしくなっている。
佐久間は言われるがままに着ているが、正直こんなやらしい姿を誰にも見せたくない。
「ねぇ、佐久間くん。この衣装は着れないって断れなかったの?」
「確かにちょっと露出高すぎかもだけど、せっかく用意してくれたし、セクシーだろ?」
はぁ……
「セクシーすぎるんだって。誰かに見られてると思うだけで心が締め付けられる。俺のなのに。」
「えっ」
「突起が出ちゃってるよ。なにもプロテクトされてない……」
「オレ、男だしここが見えようが大丈夫だろ?それに……照のものでもあるぞ……」
めめの目の色が変わる。
「今は俺のものだ。」
出番まであと少ししかないことを二人は知っていた。
だけど、めめの引き金を引いたのは佐久間。
理性を失っためめは止まらなくなって、抱き上げていた佐久間を床に下ろすと覆いかぶさり、体に赤い薔薇を咲かせる。
「っんぁっ…だめ…れっ、ん……」
何ヶ所か吸われて痕がついた。
我に返っためめはゆっくりと体を起こす。そして痕を指で辿る。
「蓮……」
名前を呼ばれて一瞬動きが止まる。
「謝らないからね。」
少しバツが悪いけど強がる。
「ごめん。オレが考えなしだったから……」
めめは予想外の反応に、痕を辿っていた指を止める。
怒鳴られても仕方ないことをしたのに、佐久間は怒るどころか謝ってきた。
「バレたらバレたで仕方ない。」
苦笑いの佐久間。
ゆっくりと立ち上がる。
「佐久間…くん…」
「ん?どした?蓮、行くぞ。」
背を向けて歩き始めた佐久間に駆け寄り、抱きしめた。
少し驚いた様子だったが、めめの手を握りしめた。
「2人を好きなオレが悪いんだから、蓮は悪くない。オレは何を言われてもされても仕方ないんだ。」
「佐久間くん……」
「2人を好きな気持ちに素直に生きようと思った時から、覚悟はしてたんだ。だってオレの我儘だもん。だから蓮は悪くない。」
しょんぼりした大型犬みたいなめめの頭を後ろ手にポンポンした。
3人の曲が聴こえてくる。
「やっべぇ〜!蓮!走れぇ〜」
めめの手を引き、佐久間は走り出した。
めめはその手に引かれながら、やっぱりこの人が好きだと思う。
真っ直ぐで、ピュアで、強くて、可愛い人。
たまに見せる儚げな美しさも好きだと思った。
きっとこの手はもう二度と離せない。
あなたという存在がこの世から消え去っても……ずっと……。
2人は光の渦の中に引き込まれて行った。
コメント
1件
もう第18話……! ドームツアー初日っていう大事な日に、めめの嫉妬と独占欲が爆発してるの熱すぎるわ……。佐久間のスケスケ衣装に「俺のなのに」ってなるめめの気持ち、分かりすぎて辛い。しかも佐久間が「2人を好きなオレが悪い」って自分を責めるシーン、胸がギュッてなった。照くんのユニット曲が流れる中での背徳感と、最後の全力ダッシュで握った手の温かさ……もう最高だった。あさみるきーさんの描く繊細な感情の動き、毎回刺さるわ。次も楽しみにしてる🔥