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「勝手に離婚なんかしやがって俺一人を置き去りにして、おかげでこっちは会社の人間にさんざん問い詰められたんだぞ!何があった?奥さんはどこに行ったんだってな!そのせいで俺がどんな思いをしたかわかっているのか?え?リンリン?俺がどんな目に遭おうと知ったこっちゃないってか?」
奈々さんが言ってたことを思い出した、ナルシストは決して自分が悪いとは思えない
「でもそのおかげでこの教団に出会ったんでしょ?体験談を読んだわおめでとう!」
「うるさい!」
彼が駆け寄って来て思いっきり私の頬を平手打ちした
「思いあがった女め!何様のつもりだ!金がなくて困ったことなどないくせに!」
言い返したかったけども、憤怒の表情や真っ赤に染まった顔・・・針の先ほどにすぼまった瞳孔にを前にして、口を開く勇気はもうなかった
俊哉は私の髪をぐっと掴んで体ごと振り回し、私を土に叩きつけた
目の前に柚彦君のスニーカーが見えた、あと少しで彼に触れそうなのに
彼がガムテープで閉じられた口からくぐもった唸り声を発した
砂利の匂いが鼻についた、私は地面に叩きつけられた痛みに悶えるようにして少しづつ彼に近づいた
俊哉はさらに私の背中を蹴り上げる、いきなり全身に激痛が走る、手下たちは警戒の表情で私達を見ている
私は蹴られながらも、少しずつ誰も見ていない隙に体を伸ばしポケットに入っているナイフを握り、柚彦君に覆いかぶさるようなフリをして――
届いた――
縛られている柚彦君の両手の中にしっかりと握らせた
俊哉は息を弾ませ興奮の頂点にいる
私はぐったりと打ちしおがれて彼に覆いかぶさっているように見えるようにした、気を抜いたら涙が出そうだった
「お前の方からわざわざ来たんだ、金をもらう前にお楽しみと行こうじゃないか」
私は胸を鷲掴みにされ髪を引っ張られ、生垣に引きずられていった
お願い!柚彦君!
そのナイフで拘束を切って!