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#追放
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【前回までのあらすじ】作者はツバキを弄るのが好き。
◇◇◇
──奈落の底。
一時的な安全地帯となったクレーター跡地。
「えへへ……私……強く……なれた……?」
立つのもやっとな私はカエデの腕の中で、
安堵の表情を浮かべていた。
カエデも泣きながら「うんうん!」と頷いてくれている。
そして──カエデの腕の中で私はサクラの言葉を思い出した。
『カエデはね、だいたい正しい。でも過程が全部おかしい。ていうか、狂ってる。』
(今なら理解できる……カエデのおかげで私は……強くなれたんだ……納得はいかないけど)
感動の友情シーン。……になるはずだった。
ピキピキッ──!
私のオデコに、亀裂のような光る線が現れた瞬間。
カエデが叫んだ。
「え? なになに? こわッ!」
ポイッ!
「へぶっ!」
カエデは私をゴミのように投げ捨て、
そそくさと安全圏へ避難(すたた!)した。
無防備に放り出された私は、固い岩盤に顔面を強打する。
……友達ってなんだろう? 殺意しか湧かない。
そして──。
「え? ……あ、あああ!? なになに!?
オデコが光ってるうううううう!」
──からの。
ビィィィィィイイイイイイイイイィィィィムムムム♡
なんと、私のオデコの亀裂から、
極太のピンク色のビームが発射された!
「今度はオデコ!? ウルトラセ◯ンかよぉおおおおお!」
私の絶叫が奈落の底に響き渡る。
(……あの声がまた響く)
『今さら一個増えても誤差でしょ』
「さっきからサクラうるせぇぇぇぇぇ!!」
「目と口の次はオデコ! もはや顔面が武器庫」
あの悪魔(カエデ)が、お腹を抱えて笑いながらツッコミを入れている。
「もうやめてぇぇぇぇ!!! 私で遊ばないでぇえええ!?」
私は慌てて両手でオデコを押さえるが、
指の隙間から強烈な光が漏れ出している。
「出力、明らかに上がってるね」
エストが腕を組み頷く。
「ツバキさんすごい……! ビーム砲台が増設されましたね!」
辰美が感動してパチパチと拍手している。
「神よ……ツバキ様はさらなる進化を遂げられました……!」
ローザが聖典を抱きしめて涙を流している。
進化じゃねーよ、バグだよ!
さらに──。
「え? え? なに……なんか背中が熱い……」
私の背中に、天使の羽根のような光のエフェクトがシュワシュワと現れ始めた。
その羽根はまばゆい光を放ちながら高速で回転し始め、
私の身体はフワリと宙に浮き上がった。
「うわああああああ! また飛んだああああああ!」
しかも、浮き上がった私の身体自体が、
なぜかゆっくりと空中で回転し始めている。
「なんでぇぇぇぇ!? なんで回るのぉぉぉぉ!?」
「わー! ツバキが回転寿司みたい! 私も回るー!!」
人を回転寿司に例えた悪魔が目を輝かせ、
私の下で一緒に両手を広げてグルグルと回り始めた。
(※地獄のカオス空間)
「回転数、一定だね」
エストが数えながら言った。
(観測すな!!)
──だが、私の悲劇はこれで終わらない!
今度は背中の羽根がさらに巨大化し始め、
2枚から4枚、4枚から6枚へと勝手に増殖していく!
最終的に、光の巨大な翼が6枚に増え、
私は壮大な六枚翼の天使のような状態になった。
「これは…セラフィム!?
ツバキ様が天使の階級を飛び級なさいましたわ!」
ローザが手から聖典を落として絶叫している。
こいつとは後で一回ちゃんと話し合いたい。
「勝手に階級を上げないでええええええ!」
私は空中で自転しながら必死に叫ぶ。
さらに! さらに──。
「……え……待って」
……一瞬、世界が静止した。
その直後──
私の頭上に、黄金色に輝く謎の輪が現れた。
それは紛れもなく後光(ヘイロー)だった。
「輪っか! 頭に輪っか出た!
私、死んだのぉおおおおお!?」
しかもその輪がクルクルと回転し始め、
なぜか音楽を奏で始めた。
「あれ……なんかイントロが……?」
(キーン……)
(ドコドコドコドコッ!)
♪ リンナリンナ〜ァ リンナリンナリンナ~ァ⤴︎ ♪
《天の声:ツバキの羞恥心の限界突破を確認した。……そうか、お前もか。》
【スキル〈ホーリービーム〉が進化しました】
【〈セラフィム・ビーム・アルティメット・オブ・リンダ(BGM付)〉】
「名前が長い!! そしてリンナを入れるな!!!」
私は空中で激しくパニックになる。
「後光まで音楽付き!?」
ローザが感動で震えている。
「なんでぇぇぇ! BGMがトラウマソングなのぉ!?
やめてぇぇぇぇ! 全部止まらないぃぃぃぃ!!!」
空中でクルクル回りながら、六枚翼を羽ばたかせ、
頭上で後光を回転させ、トラウマの【リンナリンナ】を大音量で流しながら叫ぶ。
「………え………えっと……………」
下から見上げていたエストが、完全に唖然と固まっていたが──
「ツバキお姉ちゃん、音量上げられる?」
冷静に分析し──
(だから分析すな!!)
「……ツバキお姉ちゃん、やば……さて!
次は誰が覚醒する番かしら?
辰美、ローザさん!準備はいい?」
──辰美とローザに視線を移した。
「私は非戦闘員です。」
ローザがペンを片手に聖典を掲げる。
いや、お前の聖典カドアタックはこのパーティーの武器だろ。
「あんなの見たら……強くならなくても……良いかな……」
辰美が、空中で光り輝きながら回転する私を見上げ、
ドン引きした目で呟いた。
違うの……お願い、本当の私を見て。
私は完全にヤケクソになって、奈落の天井に向かって叫んだ。
「魔神族よ! セラフィム級空飛ぶビーム砲台のリンナ様率いる新生☆魔王軍が相手よ! 黒歴史パワーを思い知るがいい! 覚悟しなさい!」
ずびびびびびーーー♡
【挿絵:『彼女は回転しながら無差別にビームを放っていた』—“セラフィム飛翔事件”】
「これは黒歴史じゃない……“現在進行形の私”だぁッ!」
私の咆哮は、奈落の分厚い天井に反響し、
暗闇の奥深くまでこだました。
……すると、どこからともなく、
魔神族たちのざわめきと不気味な笑い声が聞こえてきた。
『クックック……面白い連中だ……セラフィム級のビーム兵器とは……しかもBGM付きか……』
『アレが”鍵”の力か……(沈黙)……いや、どうなんだ? あの女……アレでいいのか……?』
──魔神族との戦いは、すぐそこまで迫っていた。
『ていうか、曲のチョイス渋くない?』
『いや、そういうのいいから』
魔神族も困惑している。
◇◇◇
「ツバキお姉ちゃん!めちゃくちゃパワーアップしたね!
……で、あと2個くらい黒歴史ある?」
エストが嬉しそうに言った。
「あるよ!」
カエデが笑顔で答える。
「私、魔神族側につく!!」
……ちなみにこのあと、顔面、全ポート開放された。
(つづく)
*次回予告!さらに混迷する新生☆魔王軍の特訓……!次に作者の犠牲になるのは誰だ!?