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~アクアマリノ郊外 神殿騎士第七師団駐屯地~
進は、神殿騎士第七師団駐屯地内を探索し、神殿騎士が奴隷売買に関わっているという証拠を探していた。
基地内は、基地と言うよりも高級ホテルのような感じで、一人一人騎士には個室が与えられているようだった。
大分、お金には余裕があるようだな・・・。
これは本当に奴隷売買で稼いでいるとみて間違いないな。
探索をしていくと、明らかに他の部屋とは違う扉になっている部屋が一つあった。
そこには団長室と記載されていおり、証拠が眠っていそうな感じが直感的に感じる取ることできた。
神殿騎士全体が奴隷売買に関わっているなら、ここが一番臭いな―――
進はそう思い、団長室に入ろうとした。
勿論鍵は掛かっていたが、鍵の解除は日本にいた時に習得していたので、その腕を使って特に問題なく鍵をこじ開けて侵入をした。
なんだこの部屋・・・とんでもなく広い部屋だな―――
もっとこじんまりとした空間を創造していたが、その部屋は様々な書物が本棚に揃えられており、図書室のような感じの部屋であった。
団長の座っているであろう机の上を見てみると、特にそこには変わったものは置いていなかった。
そりゃいきなり証拠をポンと置いていかないか―――
そう思い、机の引き出しを今度は調べてみることにした。
机の引き出しにも確かな証拠となる物は置いておらず、騎士団の名簿やそれぞれの評価、仕事に関する資料しか置いていなかった。
いや・・・ちょっとまて、この引き出し何かおかしい―――
引き出しに少し違和感を覚える進であった。
これ、何かギミックがあるな―――
机の引き出しは、上から三つあり、二番目だけ明らかに他の二つの引き出しよりも高く作られていた。
二番目の引き出しの底を見ると、そこはさらに何か、隠されているようだった。
本か・・・?
進がそれに触れようとしたとき、誰かの声がした。
「何者だ!?俺の机を勝手にいじる奴は!?」
そこに現れたのは歳は30歳半ばといったところかオールバックの騎士であった。
その男は神殿騎士第七師団団長ガリア-ニュー-コルベールであった。
全く気配を感じず、進の気配察知のスキルにも一切反応をしなかった。
さらにこちらは光学迷彩により透明になっているにも関わらず、その男はオレの存在を認知しているようだった。
「何か魔法を使って透明になっているようだが、この俺には分かるぞ」
ガリアは自身の肩に剣をポンポンと当て、そう言い放つ。
気配を完全に殺したつもりだったが、ガリアには気配を察知されているようで、光学迷彩の魔法も意味がないと判断し、進は自身に掛けた魔法を解除した。
「チッ、なんだただのガキじゃないか」
ガリアは舌打ちをしながらそう言う。
「お前たちに聞きたいことがあるからここに来た」
「奴隷売買に協力しているというのは本当か?」
「ほう…面白いこと言うじゃないか」
「ただのネズミってわけじゃないみたいだな」
ガリアはニヤリと笑みを浮かべる。
「白魔法:ライトバインド!」
そのガリアは、進に対して白魔法を放つ。
光の輪が進の体を拘束する。
「見た感じ相当な手練れのようだが、俺のライトバインドの拘束は破られないだろう?」
ガリアは得意げに進に対して言う。
「へぇオレと同じで白魔法を使うんだ―――」
「なにぃ?」
ガリアは疑問めいた風に聞き返す。
「白魔法:ライトバインド」
進は自身に同じ魔法を使用する。
同じライトバインド同士が衝突し、ガリアが先に放ったライトバインドと相殺を始めた。
「なっ!?」
ガリアはとても驚いたような表情で進を見る。
「驚いたぜ―――」
「白魔法を使うことにも驚いたが、何よりライトバインドをそんな風に解除する奴がいることに驚いている。」
「何をした?」
ガリアの額から一筋の汗が垂れる。
「簡単なことだ白魔法は光の魔法だったら同じ魔法でも逆位相の光をぶつければ干渉を起こし、相殺することができる。」
この世界では、科学はそれほど発展していないため、ガリアに逆位相などといっても理解は出来なかった。
ガリアは昨日アリオールが言っていた少年のことを思い出す。そして、まさか目の前のこの少年がその少年なのではと疑った。
「まさか…貴様がアリオールが言っていた治癒の白魔法が使えるとかいう少年か…?」
「アリオール?ああ、昨日の神殿騎士か!」
「それだったら、たぶんオレのことだろうな」
ガリアはとても喜んだ。
この少年が自ら我が目の前に現れたことに対してである。
その喜びの表情を右手で隠しながら―――
「こんなに早く現れてくれる。」
進に対して言い放つ。
「この俺は神殿騎士第七師団団長ガリア-ニュー-コルベール!」
「貴様のその力が欲しい!」
「俺のためにその力使ってもらうぞ!」
「ハッ、オレは天童進だ!」
「誰がお前みたいなやつのために力を貸すと思っているんだ。」
「フフフ・・・力を使いたくなるさ・・・。」
「どうしようもない圧倒的な実力差の前ではな!」
「そして貴様の泣いて懇願する姿がすぐに見れるさ!」
ガリアは進を挑発する。
「へぇ、そいつは楽しみだな!」
お互いに剣を抜いて向かい合った。そしてこれから両者の激闘が始まろうとしていた。