テラーノベル
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…チャイムが鳴っている。まだ戻れない。私の足は、屋上に向かっている。
生徒たちを、A先生を、もう傷つけないために
昨日、わかっていたんだ。
奥のベッドに、アサさんがいたこと
コイツはあなたを殺そうとしたけど、私は止めた。
校長先生との約束、破らせるわけにはいかなかったから。
私はまだ、この学校にいなければならない。
では、なぜ私の足は屋上に向かっている。
もう死にたい、まだ死ねない。
これはヤツの意思が混じっているんじゃない、どちらも私の本心。
私がこのままここにいたら、ろくなことをしないと思う。
でも、私がいなかったら、誰がA先生のメンテナンスをするんだ。
A先生に仕掛けられた、マルウェア。
あれをどうにかして除去したいが、
コイツが身体の主導権を奪ってくるせいで、うまくいかない。
屋上から、敷地全体を見る。
こじんまりしてて、どこか寂しげな中学校。
「チミ、何してんの?」
振り返る。校長先生がにやにやしながらこちらを見てくる。
何が面白いのか、私には分からない。
「へぇ、チミもそんな顔するんだ」
声上げて笑いながら、近づいてきて私の肩を叩く。
痛い痛い痛い。触るな。触らないで。
校長先生、校長が、A先生にマルウェアを仕掛けたって。
知っているんだ。識っている。
A先生が異常に忘れっぽいのも、たまに目が赤く光るのも。
その瞬間、A先生がこの人にメモリーを抜き取られているから。
卒業生の記録、生徒との会話。
抜き取って、盗み見てる。記憶を返すこともなく。
生徒と話すことが大好きな彼に、ひどい仕打ち。
前話したことさえ思い出せない。って、悲しそうに言っていたのに。
初期化だって…A先生は、生徒を淡本町のさらに外に逃がそうとした。
だけどそれは、この学校の異常から生徒を遠ざけてあげたかったから。
すべて、彼が善意でやったこと。
なのに初期化なんて、ひどい仕打ちではないか。
昔話した生徒の顔も声も、A先生は思い出せない。
憎いのはこの”目”もだが、校長もだ。
「…何、その顔」
「もう、やめてくれませんか…」
「ははは、やめないよ。これが僕の理想だ」
昔はもう少し、この人にだって道徳があった気がするが。
前校長を殺害してまで、彼は校長になった。
水面
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蒼羽@不定期投稿
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「僕は前の校長とはやり方を変えなきゃいけないんだ。誰もここから出さない」
「何人もここで足止めを食らうのは、可哀想です」
「可哀想?はは。ここにいる限り、死も生も不確定だ。最高じゃないか」
だから”君”だって、ここから落ちても死ねないからね。
そう言って、彼はどこかへ去っていった。
面白かったですね、私は校長先生に賛同いたしますが
いやあんなの、教育者の風上にすら置けない
そうですか、地球の教育現場の実情についてはもう少し調査しなくては
…淡本中学校をデータに取っているんなら、それはクソの役にも立たない。
ここはおかしいから、地球の基準には当てはめられない。
正規の手段で入学ができない、日本政府に観測されない、
まったくの架空の町に存在する私立中学校。
どこを探しても、この中学校は実体として存在しない。
コメント
1件
第21話、読み終わりました。校長先生のあの“死も生も不確定”という台詞が、本当に背筋が冷えるようでした…。でも、それ以上に心に残ったのは、主人公の「もう死にたい、まだ♡♡♡ない」という葛藤です。どちらも本心だと言い切る強さと、A先生を思う優しさが、痛いくらい伝わってきました。この学校が実体として存在しないというラストの一文も、ゾクッとしながらも、物語の核心に触れた気がします。続きが気になります…!