お嬢様、果報でございます

「お嬢様、お飲み物はどうされますか？」
　果報のその言葉に、愛華はじっとりした目で返す。
「どうされましたか、愛華お嬢様」
「なんで果報がついて来てるのか……って考えてるのよ」
「その件に関してはお父様が……」
「それはわかってるわよ！」
　別荘に響き渡るような声で叫んだ愛華の方に、視線が集まる。
　愛華はその痛くなるような視線を和らげるために微笑み、一礼してやり過ごした。
　声のトーンを落として愛華は果報に話しかける。
「お父様が言ったからって納得したわけじゃないのよ」
　にらみつけるように果報を見る愛華の瞳には、怒りが宿っていた。
　時は２日前に遡る。
　別荘に行くことを決めた愛華は父親に呼び出された。
「どうされたんですか、お父様」
「愛華、友人の別荘に行くそうだな」

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