テラーノベル
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(深澤視点)
「………」
目が覚めたのは、深夜12時前。
タバコの匂いが、鼻をツンって突き抜ける。
隣には、酔い潰れたであろう……父さんが寝てる。
………お腹、すいたな…
その前に、シャワー浴びなくちゃかな…
それ以前の問題、服着なくちゃだよね……
シャワー浴びたら、ご飯でも買いに行こうかなぁ…
寝てるところを起こさないように、ゆっくりベッドから降りる。
夏だし、寒いとかはないけど…やっぱり裸じゃ気持ち悪いなぁ、わら
制服は……あ、あった。
とりあえずワイシャツ…せめてベストだけは着よっと。
若干、掴まれてた足首は痛いかなぁ…
痣は……できてないね!よし!
あとは、シャワーシャワー♪
そのあとは、近くのコンビニに夕飯買いに行こっと!
「う〜ん、やっぱりこの時間帯じゃあんまり食べたいものがない…」
お気に入りの柄入りパーカーを着て、たまたま洗濯の終わってた半ズボンを履いて、じっくり商品棚を眺める。
カップラーメンも…あると思ったけど全然ないよ!
今日はおにぎりで勘弁してやるよ!わら
コンビニを出て、なんかこのまま帰るのは嫌だなぁ……
それに、もし起きてたら…なんて考えちゃうとね。
今日は、このまま帰らないでいようかなぁ…
あ、でも制服家に置いて来ちゃったや。
誰かの家……こんな時間には迷惑すぎるな。却下却下!
う〜ん…どうしよっかな〜?
「………ん?」
あれれれ?
あそこにいるのって……
「岩本くんじゃ〜ん!!」
(岩本視点)
よかった。
阿部から頼まれたもの、これで全部買えたな。
文化祭まであと1週間か…
クラス企画でも生徒会、風紀委員合同企画でも阿部が中心になってくれてるからな。
買い出しくらいは、全部俺に任せてもらおう。
こんな時間まで探し回るとは思わなかったけど……
ま、この時間帯なら知り合いに会うこともないし、むしろこっちの方が行動しやすいよなぁ…
今度からこれくらいの時間帯にランニングするようにしよっかな?
とりあえず、今日はもう帰るk…
「岩本くんじゃ〜ん!!」
幻聴だな。
早く帰ろう。
「ちょ、ちょちょちょ!!待ってよ〜!!」
「……は?」
なんでこいつがいるんだよ…!?
「お前、それが夕飯?」
「んむぅ?ま〜ねぇ…岩本くんも食べる?わら」
「食べねえよ」
とりあえず、近くにあった公園のべンチに座る。
俺の隣でおにぎりをモゴモゴ食ってるけど、この時間帯に夕飯とかどういう生活リズムだよ…
「岩本くんは……あ!買い出し?」
「まぁ」
「え〜?偉いね!わら、こんな時間に買い出しなんて!」
お前に言われたくはないんだけどな…
「お前はこんな時間に何してんの?予備校入ってるわけないだろうし…」
「うわ!しっつれいね〜!わら」
ケラケラ笑ってるけど、本当になんなんだ?
制服じゃないから学校帰りではないだろうし…そもそも遅くまでいてもこんな時間に帰るなんてないだろ。
「俺はただの散歩だよ!深夜の散歩って、なんかロマンあるじゃん?」
「ロマンって……お前、危ないって」
「岩本くんだって1人じゃ〜ん!」
そういう話じゃないんだけどな……
こいつ、すんごい細いし…普段からこんな食生活なのか?
だったらやばいだろ。
流石に健康に問題が出る。
「……お前、これからどうすんの?」
「どうするって……どうしよ?わら」
「なんだそれ…」
やっぱり、俺にはこいつが理解できない。
でも、なんかほっとけないっていうか…
今だけは、ほっといちゃいけない気がした。
「じゃあさ、俺の家に来いよ」
「………え?」
「…………岩本くん、お風呂ありがとーね」
「ん、眠かったら寝てていいよ」
「…うん」
家に来るか聞いたら、案外素直に着いて来た。
家に帰りたくなかったのかな?なんても思う。
どんな事情があるのかは知らないけど。
「優しいんだね」
「別に、困ってそうな奴を助けるのが風紀委員長の役目だろ?」
タオルを肩にかけたまま、俺の隣に座ってくる。
髪の毛はまだ濡れてるままだ。
「ほら、風邪引くぞ」
風邪引かれても嫌だし、タオルでわしゃわしゃする。
「んっ……乱暴に扱わないで」
(深澤視点)
岩本に寝かしつけられちゃった…
制服もバッグも家に置いて来ちゃったけど、ジャージは岩本が貸してくれるし、先生にもうまく説明してくれるって…
教科書とかも、佐久間たちに頼めるし…
「はぁ…」
何やってんだろうな…
やっぱり夜なんて出歩くべきじゃなかったかな…
お風呂も入れてもらえたし、服も貸してもらえたし、軽い夕飯まで作ってもらえた。
なんで、何も聞かないわけ?
なんでこんな時間にいるの?とかなんで家に帰んないの?とか。
……意味、わかんない。
『もう、あなたとは一緒にいれないわ』
『今日からお前はお父さんと一緒に住むんだ』
『君なら難関大も余裕で合格できるさ!!』
『父さんのために……わかってるよな?』
『学校に来ないとはどういうことだ!?』
『あなたの顔なんてもう見たくもないわ!』
『ねぇ“堕落した優等生”だって…』
『もっと真面目にやれ!!!』
『父さんしかいないだろ?なぁ?』
………嫌…やだ…
うるさい……俺は俺だよ…
大人の言うことなんて、聞きたくなんかない…
『ふっか!!!……っ…ごめっ…ごめんね…俺の…っ俺のせいで…!!』
違うよ……違う…
阿部ちゃんのせいじゃ…ないよ……
「………ぁれ…?」
見慣れない天井だなぁ…
そっか、俺、岩本の家に来てたんだった…
嫌な夢……はは、最悪だなぁ…
岩本は……床で寝てんじゃんか…
わざわざ俺をベッドで寝かせる必要ないのに。
「……優しいやつ」
やっぱり、これ以上は悪いよね。
ベッドの近くにたたまれてたパーカーを手に取る。
「ありがとね、岩本」
起こさないように、ゆっくり俺は家を出る。
この時間帯なら、多分大丈夫だから……
苦しくないよ。
何も苦しくなんかないんだよ。
家に帰った時は、まだ寝てるか、どっかで女と寝てるんだから。
俺は、それがいいから。
佐久間と翔太、あと……康二。
みんなと文化祭と後夜祭、楽しむんだから。
(向井視点)
文化祭まであと3日!ってとこやけど……
後夜祭のライブ…まだ、返事できてない…
深澤先輩の連絡先を開いては閉じてをずっと繰り返しとる…
それに……それに!!!
「え!?目黒くんとラウールくん、お化け屋敷やるん!?」
「うん!康二くんも来てみてよ〜!」
「康二のこと全力で怖がらせるから」
「うええ!勘弁してや〜!」
いろんなクラス回りたい!!!
中学校にいたときも、文化祭だけは楽しかった。
クラスに俺がいなくても、誰も気にせんし、フラフラ歩ってるのが楽しくて、自由な気がして…
自分の学年じゃないフロアを回って、美味しいものいっぱい食べて…いっぱい写真撮って…
でも、いつも1人やった。
それが、すごい楽やった。
誰の人目も気にしなくていい。
誰の人目も………
「………」
あかん、また中学校の思い出が……
ここは、違うのに…
「そうだ!康二くん、もしよかったら俺らと一緒に文化祭回らない?」
「……え?」
俺と、一緒に……?
ラウールくんに、誘われてる…?
「ね!めめも康二くんと一緒に回りたいよね!」
「うん、人は多い方が楽しいしね」
め、目黒くんも…!?
行きたい……めっちゃくちゃ一緒に回りたい…
でも、ラウールくんと目黒くんみたいな有名な2人と一緒に回るなんて…
そんなこと、俺には……
……いや、違うやん。
ここは、俺が苦しかった場所やない。
みんな、優しい人やんか。
目黒くんもラウールくんも、深澤先輩も渡辺先輩も佐久間先輩も…
みんな、優しくてあったかい。
「うん!一緒に回りたい!!」
笑顔で目黒くんとラウールくんに答える。
俺は、変わるために東京まで来たんやろ。
じゃあ、俺は……
(佐久間視点)
夢を見てる。
懐かしいあの日の記憶。
『……君が、“さっくん“?』
『…あ、えと…う、うん!俺が、“さっくん“!です…?』
『ふふ、そんな緊張しなくてもいいのに』
『あはは……俺、結構コミュ障で……えっと、君が……もしかして…』
「佐久間〜?何寝てんだよ?」
「んにゅ…!翔太!」
翔太に後ろから頭を叩かれた。
「HR、ずっと寝てただろ」
「え〜?寝てない!思い出に浸ってたんだよ〜!」
「はぁ?」
帰りのHR、いつの間にか終わってんじゃーん!
「ん?」
およよ?
スマホに通知が……ふっかからじゃん!
「……あ、翔太!」
ふっかからの連絡を、翔太にも見せる。
その内容は……
『康二、一緒にライブ出たいって』
コメント
3件
ふか〜💜、そんなこと自分に云い聞かせなきゃいかんのがツラいぃ〜 ひか💛が助けになるかな(・・? 康二🧡の変わってやるってゆぅ根性が最後にみえて、みんな良い方に向かっていければいいなぁ
ふわぁ…読み終えたよ。第8話、一気にいくつもの視点が交差して、それぞれの“苦しさ”と“優しさ”がじんわり沁みた。 特に岩本くん。普段は冷淡なくせに「今だけはほっといちゃいけない」って深澤を連れ帰るところ、ほんと彼なりの優しさだなって思った。それに、向井くんが「変わるために」東京に来た決意を口にして、ラウールと目黒に誘われて笑顔で返事できたところ、すごくよかった。 最後の佐久間の回想とふっかからの「康二、一緒にライブ出たいって」——これ、すべての「苦しくない」が嘘じゃない瞬間に変わっていく予感がして、胸がぎゅっとなったよ。次が待ち遠しい。
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桃紫 さく🌸
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