テラーノベル
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み お .
焼けるような熱い衝撃が顔面を走り、視界がぐにゃりと歪む。
ガチ、と歯と歯が激しくぶつかる衝撃と共に、口のなかに一瞬で鉄臭い生血の味が広がっていく。
だが、倒れるわけにはいかなかった。
宇佐美を傷つけ、のうのうと生きてきた今までの愚かな自分に、ここでケジメをつけるためにも。
「ハッ!お前が俺に喧嘩で勝てるわけねぇだろうが!!」
嘲笑う茅野の容赦ない追撃──
強烈な膝蹴りが、俺の無防備な腹部へと深くめり込む。
「ぐっ……ッ、うぅ……!!」
胃袋が真っ二つにひしゃげるかのような鈍い衝撃。
肺から強制的にすべての空気が押し出され、一瞬目の前が真っ暗になる。
あまりの激痛に膝が折れかけ、床に崩れそうになる。
だが、俺は歯を食いしばって踏みとどまった。
口から溢れる血混じりの唾液を飲み込み
その激痛すらも、宇佐美を傷つけた罪悪感を消すための燃料に変えるように
さらに拳を強く握り締める。
「…っ、ふざけるな……!!」
視界が激しく揺れる中
渾身の力を込めた右拳を、茅野の顎めがけて下から突き上げるように振り抜いた。
ゴンッ!!
骨を伝わって脳を揺らすような鈍い手応え。
茅野の身体がわずかに宙に浮き上がる。
奴は血混じりの唾を床にペッと吐き捨てると、さらに憎悪に歪んだ顔で俺を睨み据えた。
「チッ……クソがッ!!」
そこからは、言葉通りの容赦ない連打が狂ったように俺の身体へと降り注いだ。
目の奥でチカチカと不規則な火花が散る。
パキ、と体内で何かが軋む嫌な音が聞こえる。
喉の奥から、制御できない情けない呻き声が勝手に漏れ出す。
(こんな痛み……っ…宇佐美が、俺の言葉で受けた心の傷に比べれば万分の一にも満たない……)
意識が激しい苦痛のなかで混濁していく。
唇は完全に切れ、ボタボタと制服のシャツに赤いシミを作っていく。
それでも、ここで無様に大の字になって倒れてなんか、いられるわけがない。
「……っあああああ!!!」
獣のように吠え叫び、俺は痛む身体を無理やり引き絞り
打撃の反動で一瞬膝を付きかけた茅野のガラ空きになった腹部へと、全体重を乗せた右肘を強烈に叩き込んだ。
「がはっ……!?」
茅野の巨体が浮き、後ろの学習机を巻き込みながら派手に叩きつけられる。
「はっ…はぁ……っ! お前…っ、」
言葉を吐き出すたび、折れかかった肺が悲鳴を上げて軋む。
全身の細胞が活動停止を訴えるように悲鳴を上げているのに
宇佐美を想う感情だけが、皮肉なほどに激しく燃え盛っていた。
対する茅野は、髪を振り乱し
口元を血で真っ赤に染めながら、まるで狂ったようにゲラゲラと笑い始めた。
「…オラァッ!!!」
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