コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
久しぶりの9人での仕事。少しワクワクしながら楽屋のドアを開けると、いつも集まってワイワイとしているはずのメンバーの姿がどこにも見当たらなかった。
💙「え、俺一番乗り?」
珍しいこともあるもんだ、と荷物を置こうとした時。そこで俺は大事なことに気づいた。
💙「いや、みんなの荷物あるじゃん」
荷物を置いたまま、どこに行ってしまったのだろう。集合時間に遅刻した訳ではないし、仕事開始の時間が早くなったという連絡も来ていない。
💙「スタッフさんに聞くか?それともマネージャーに……」
誰かに確認を取ろうと楽屋の外に出てみるも、誰もいない。
💙「いやいやいや、さすがにおかしいでしょ……」
怖くなって楽屋に戻る。なんだ、今日はいろいろとおかしいぞ……?心配になって楽屋をウロウロしていると、机の上に紙があるのを発見した。
💙「……は?ちょっと待って、パニックパニック」
内容に目を通して見れば。スタッフさんからの今日のスケジュールに関するメッセージの下に、見慣れた涼太の文字で『助けて』と一言。
💙「え待って、俺どうすればいいの!?助けてって、どこに……」
何が起こっているのか分からないが、とりあえず助けに行かないと。俺はスマホだけポケットに入れ、楽屋を飛び出した。
💙「……ほんっとにどこなんだよ」
片っ端から部屋を覗いているが、どこにも見当たらない。まあ簡単に見つかるとは思っていないけど……誘拐であれば、みんなが今何をされていてもおかしくはない。
💙「くっそ……」
メンバーに電話をしながら動き回っているため、たっぷりあった充電もかなり減ってきている。この建物の中にいない可能性もあるよな、と嫌な想像は膨らむばかり。
するとその時。ブー、ブー、とスマホが振動した。画面を見ると……
💙「佐久間……!?」
俺は急いで電話に出た。
💙「も、もしもし!佐久間、お前今どこに……」
🩷「翔太、助けて……」
苦しそうな声の佐久間。やっぱり、誘拐……!?
💙「今探してる!ど、どこにいんだよ?!」
🩷「6階の、第2、スタジ……」
プツリ。……は?嘘だろ?電話が切れるなんて……何回タップしても画面は真っ暗なまま動かない。もしかして、と電源ボタンを押してみると、赤い充電マークが。
💙「くそっ……なんでだよ、こんな時に!」
俺はとりあえずエレベーターに向かって走る。6階の第2スタジオに行けば、少なくとも佐久間がいることは分かった。
💙「はあ、はあ、はあ……ここだな……」
上がった息を整え、ドアノブに手をかける。第二スタジオはここで間違いない。みんな、どうか無事であってくれ……!!
ガチャッ!
俺がドアを開けた瞬間、パン!パン!パン!と軽い音がして、目の前に紙吹雪が舞う。
……は?
満面の笑顔で俺を見ている、メンバーやスタッフさん。
💛「せーのっ」
☃️『翔太/しょっぴー!誕生日おめでとう〜!!』
💙「え?」
何が起こったか分からず、その場で固まり続ける俺。……そうか。忘れてたけど、今日俺誕生日じゃん。
💜「ごめんねぇ翔太。びっくりさせちゃって」
💚「収録日に誕生日だから、せっかくならいつもと違う感じでお祝いしようと思って」
🩷「にゃは!電話した時の翔太の焦った声、めっちゃ面白かったなぁ」
🖤「人の必死なところあんま笑っちゃダメだよ、佐久間くん」
🤍「そういうめめかって、笑い必死に堪えてたじゃーん」
❤️「翔太、真に受けちゃったでしょ。ごめんねほんと」
💛「俺たちは別に誘拐された訳じゃないから、安心して」
🧡「て訳で、ドッキリ大成功〜〜!!」
康二のかけ声で、もう一度スタジオに響き渡るクラッカーの音。
💙「いやいやいや、佐久間さっき苦しんでたじゃん……」
🩷「あれは演技だよぉ!やっぱ俺って上手いよね、演技」
佐久間がキメ顔でそう言うも、メンバーは全スルー。
💙「……お前ら、ほんと嫌なことするねぇ」
ため息混じりに呟いた一言は、みんなの騒がしい声でかき消された。そんないつもと変わらない状況が、なんだか愛おしくて。
🩷「あ、そうだ!俺たち8人で、翔太のバースデーケーキデコレーションしたの!!食べようぜ!!」
💙「いつの間にそんなことしてんだよ」
🧡「しょっぴーのせいで、今日朝めっちゃ早かってんでぇ」
💙「いや計画したのはお前らだから、そこは俺関係ないでしょ」
ケーキを食べようと俺の手をグイグイ引っ張る佐久間と、上目遣いをしながらベタベタくっついてくる康二。残りのメンバーは準備を続けながら、俺たちを笑顔で見ていた。
全員で大きな折りたたみテーブルを囲み、渡された紙コップにそれぞれ好きなジュースを入れる。
🩷「あ!そこはもうちょいこっち側……」
🤍「いや、もうちょっと右じゃない?」
🖤「いや違うな。もうちょっと左に……」
💛「ねぇ!切るのは俺なんだからちょっと静かにして!!」
スイカ割りのようなテンションで、4人がケーキを切ってくれる。切り分けたケーキは、ふっかが丁寧にお皿に置き、それをあべちゃんが配る。
何か手伝おうかと聞いても、
💜「翔太は今日の主役だから!」
💚「座ってゆっくりしてて!」
と半強制的に椅子に座らさせられる。
涼太は隣の調理室で別の料理を作ってくれているらしく、康二はさっきからこの様子をずっと写真に撮っている。
💚「あ、そういえば。さっき佐久間が急に電話が切れたって言ってたんだけど、何かあったの?」
切り分けたケーキがのったお皿を俺に渡しながら、あべちゃんが聞いてきた。
💙「え?あー、ずっとお前らに電話しながら探し回ってたから、充電切れた」
🤍「え、充電切れ?そんなに電話してくれてたの?」
💜「あーそういや俺たち、準備に必死でスマホ向こうに固めて置いてたよね」
ふっかの指した方を見ると、机の上にみんなのスマホが置いてある。さっき俺に電話をかけてきた佐久間はと言うと……
🩷「……あ、ほんとだ!不在着信いっぱい来てた!」
💛「えぇ、今気づいたの?」
🩷「ごめん、全然見てなかったわ」
ニカッと笑いながらそう言った。
💙「もう、全っ然良くない」
🩷「あははっ、出たー!!翔太の『全っ然良くない』!」
🖤「翔太くん、後で俺の充電器貸すよ」
💙「え、ガチ?ありがと、助かるわ」
🧡「じゃあ準備も出来たことやし、舘さん呼んでくるわ!」
机には、みんながデコレーションしてくれたケーキと、涼太お手製のフレンチが並ぶ。
💜「じゃあ改めて、佐久間さんお願いします!」
ふっかがそう言うと、佐久間が笑顔で立ち上がる。そして大きく息を吸って……
🩷「俺たちの翔太の記念すべき誕生日に乾杯!!(早口)」
☃️『かんぱぁい!!』
とある番組で仕掛けられたドッキリとは、また別のタイプのドッキリ。パーティーは嬉しいけど、こんな誘拐ドッキリはもう二度とごめんだ。次やったら絶対許さないからな。ケーキを食べてるみんなに向かって、俺は心の中で宣言した。
31歳のお誕生日、本当におめでとうございます🎉💙