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2030年2月4日火曜日
「……ここはこの公式を使うとできます。じゃあ、少し時間とるので次の問題やってみてください。」
学校側の都合で休みになった月曜日が終わって、行きたくないな、と思いながら学校へ来た。火曜日は毎週座学だけの日。団体行動が苦手な私には、ずっと1人で席についてる方がよっぽどいい。窓側の1番後ろの席で、2月にしては暖かい日差しを浴びながら、睡魔に取り憑かれる4時間目の数学。本格的に眠くなってきた時、
「榎木さん。答えてくれる?」
先生の一言で目が覚めた。でも前半は聞けていなかったために何を答えたらいいのかわからない。
「えっと、」
「……あ、問3なんだけど…難しかった?」
先生は心配そうに、そして時間を気にしながら問いかけた。クラスの人々はまだ問題を解いているようで、私は時間稼ぎとして都合がいいだろう。まあ、私は解けていたのだけれど。
「x=4 y=5です。」
「正解です。」
安心したように優しく笑う先生を見て、私も少し早まっていた鼓動が落ち着いた。
「なんであんなに早いの…!」
離れた席から焦る声が聞こえた。おそらくまだ問題が解けていないのだろう。その子の前後左右の席の人たちも共感の声をあげた。
私は空気が読めないわけじゃない。そして今だって読めなかったわけでも、読まなかったわけでもない。読む必要がなかっただけだ。だって、あの先生が生徒を当てるときは大抵前後の席で進んでいくのだから。遠くで頑張って問題を解く人たちに私の席からは到底届かない。この授業が残り10分程で終わるなら尚更だ。そしておそらく残り時間は私が答えた問題の解説に費やされるだろう。
これは単なる経験からなる根拠のある予想であり、私の理想だ。
そして間も無く4時間目の数学が終わりを迎えた。チャイムと同時にペンをしまい出す生徒と課題のページを教える教師、いつも通りだ。
この日が今までと違ったのは、私がお昼休みに図書室へ向かったことが原因だ。