「慈悲もクソもねぇこいつ!!!」
「慈悲なんてあってたまりますか!!」
「いや慈悲はあるやろ、人間なめんな」
この空前絶後の慈悲コールが始まった経緯を説明しよう。
くだらなすぎることは承知の上だが、少しのあいだ見届けて欲しい。
尚、負けて慈悲を訴えている少女は沙苗。勝ったため「慈悲は無い」と叫んでいる少女は四葉。人間をなめるなと、慈悲はあるぞと言っている少年は瞬である。
「そんなんでべそかかないでよ!」
「はぁぁぁ!?!?別にそんなんじゃないけどさ!!!3連敗じゃん!!!慈悲ぐらいあっても良くない!?!?」
「ゲームに優しさなんてありませんー諦めなさいー」
「あごめん習い事や帰るわ」
「勝手に帰りやがれ!!!」
「そない言うことあるか???」
さぁ、瞬が帰ったところで、女子二人だけになった訳だが。女子だけになり始まるのは1つしかない……
「……瞬の事だけどさ」
「告った?」
「告った」
「告った!?!?事後報告!?!?」
恋バナである。そう、沙苗は瞬が好きなのだ。
その度に四葉に相談しては悩んでいた。
「で!?で!?結果は!?」
「……
玉砕した」
「あ、らぁ……理由は?」
「付き合ってる人がいるんだって、本人達は内緒にしてるし、私にも内密にってことだったけど」
「そっかぁ……てか意外だね、恋人居たんだ」
「……その話、なんだけどさ」
途端に空気が重くなった。四葉もそれを感じ取る。その上でとぼける。
「あんた瞬と付き合ってるよね」
「……」
「別に尾行とかじゃない。ただ、偶然、あんた達がキスしてるところを見ただけ」
「……ごめん」
「私が説明して欲しいのは、そういうことじゃない!!!」
机を思い切り叩いて、枷が切れたように沙苗は叫んでいる。少しだけ四葉も驚いたような表情を見せた。
「私が説明して欲しいのは、この写真について」
沙苗は写真を四葉に突きつけた。
それはまた四葉のキス画像だった。
でも、相手は
瞬では無い、他校の男子。
「勝手に撮っちゃってごめん。でもさ
人として、やっていい事と悪いことがあるでしょ」
「……」
「何考えてるの?何がしたいの?
なんでこんなこと__」
「好きだから」
「はっ?」
「私は沙苗が好きだから」
「はっ、は?何言ってんのあんた?
だからってなんでこんなことする理由になるの?」
「だって相談に乗っていた私が瞬を奪えば、沙苗は一生私を恨んでくれるでしょ?」
「……何、言って_」
「その上更に浮気されたって知れば、「ヨウズミ」の瞬をさっさと捨てて、あなたに意識が向いてくれるはず」
「あなたはそれで疑心暗鬼になるはず、実際そうでしょ?」
「そんな事ない!!!そんなわけない!!!」
「じゃあ想像してみて?」
四葉が距離を縮めて、手を握って話してきた 。
「自分のことを見向きもしなかった男が急にアピールしてきたら?ずっとずっと、好きだったのに裏切られて、なのに今更手のひら返し。どう思う?」
「そんな……こと!!! 」
「そうだよね、信じられないよね」
「そんなことないって言ってるでしょ!?!?何考えてんのよあんた!!!」
「沙苗の事考えてる」
「嘘つかないで!」
「嘘じゃないよ?」
「嘘に決まってる!!!
ほんとに好きならなんでこんなことするの!?!?」
「?そんなの決まってるじゃん 」
「は……?」
「大好きな人が、愛情・憎しみ・悲しみ・疑心、そんな色んな感情ぜーんぶ向けてくれるなんて……
さいっこうにワクワクする……♡」
とち狂った話しか書いてないな最近
コメント
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側から見るならいいけど 関わりたくはない方やな それはそれとして割と尊いです
今回もめちゃくちゃ良かったよ!!!!! あら、そんな事があって 慈悲コールが産まれたのね!!!(?) ふむふむ…素晴らしいっすね!!! そんな方法で…うん!最高!!! あぁ…とち狂ってるの凄く大好きっす☆ 女性の執着とか激重感情が出る… それが百合の良さの一つだと私は思う(?) 次回も楽しみに待ってるね!!!!!
傍観者側からすれば最高にいい性格してる四葉