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・長野視点
数日が経過した。東と西、どちらからの連絡も現状はない。やはり東軍と西軍の視野外に居るのだろう。喜ばしい事だ。
♪♪♪♪♪♪
…電話?山梨か?____いや、
新潟か。彼は中部の集まりの時も俺に話しかけ…いや、話しかけて親しげにしつつ、面倒事を俺に押し付けてきた奴だ。
戦争に巻き込まれたくはないから出たくはないが、新潟ならまだ良いだろう。話は通じる。
長野『新潟か、急に連絡をしてどうしたのか』
新潟『長野くん?…長野くんって西にまだ入っていないの?入っていなかったら東軍に入ってほしいなぁって勧誘だよ』
長野『……切っていいか』
新潟『えーーー?東軍の中で中部組が山梨くんと二人きりなのは寂しいなぁって。友達が多いほど嬉しいもん。来てくれないの?
…もしかして西にいるの?』
長野『東軍に入る気はない。俺から言える事はそれだけだ』
新潟『分かったよ……どうせ西にも入ってないんでしょ。でも、こういう時の君は頑固だからなぁ。そういえば、静岡くんは何してるの?分かる?神奈川くんが探してたんだ』
長野『神奈川が…?…いや、俺よりも山梨に聞けばよいだろう。俺は知らない』
新潟『山梨くんが知らないって。まぁ知らないか。じゃあまた連絡するね〜。気が変わったらいつでも僕に言ってね』
ガチャッ
あの口調、やはり本気の勧誘ではなかったか。そもそも本気であれば新潟が出るだなんて事はないだろう。東京が俺に警戒されぬよう新潟の電話を使う__みたいな事をしそうだ。
少なくとも東京には共有せず、俺の意志は一応尊重する姿勢であるように見える。警戒するに越したことはないが。
その為、話を聞く限り憂慮すべき点はその事ではない
あの東軍TOP2である神奈川が静岡を、そこまで縁が深い訳ではない新潟に言うほどおそらく熱心に探してる事だ。仲の良い隣県かつ経済規模を無視できないから だろう。
つまり、彼のマイナス能力は影が薄い能力である俺とは異なる筈だ。
……静岡は携帯を見ていないと言った。
本当は神奈川から複数連絡が来ていた事に気づいているのだろうか。
本当は気がつきながらも無視している場合は彼自身も状況が理解できている筈だ。頭を使って自己防衛を行うくらいはできるだろう。
問題は彼の言葉通り一切見ていなかった場合だ。差し迫った状況を理解していない事になる。どちらにせよ、彼に連絡をしなければならないか。
♪♪♪♪♪♪
長野『静岡、今は大丈夫か?』
静岡『大丈夫だけど何、どうしたの?』
『新潟から話を聞いたが神奈川がお前のことを熱心に探しているようだ。おそらくお前を東に勧誘したいのだろう。その事に関して気づいているか? 』
静岡『…………』
無言が続く、という事はおそらく肯定だろう。彼は否定する時はすぐ否定する。
長野『教えてくれ、お前一人でどうにかできる事象しゃないんだ』
静岡『…僕だって鈍感じゃない。神奈川さんから連絡が来ていた事には気づいてた。でも、きっと【それだけじゃない】』
長野『それだけじゃない、とは?』
静岡『愛知くんから連絡が来ていた。…いや、戦争が起こる前から定期的に誘いの連絡があったみたい。ずっと見ないふりしてたけど』
長野『お前、あの時何もないと思うって、自分を誘う訳ないって俺に言ったのは…』
静岡『成り行きに関しては全部嘘。誰かと組んで中立に付く上では長野くんの状況とぴったり合わせる必要があったから。』
長野『お前な………………』
俺にも都合が良かったから良いが、組んだのは静岡が俺を利用する為、という所も大きかったのだろう。確かに不安な心理状態の中、自分と全く同じ立場の人間がいれば、頼りにしてしまう。それを俺に実行したのだろう。
誰とでも沢山話したら友達だと言う新潟に対し、親しくなった相手としても、やけに心の距離があるように見える彼らしい、といえばらしいのだが。
と思える程には、彼との付き合いも長くなってしまったようだ。
静岡『……こほん。話を戻して、愛知くんからの連絡は戦争が始まってから止まってる』
長野『それは愛知がお前から引いた、良い事なのではないか?』
静岡『本当にそう思う?
…それなら、好きにしろくらい送ってくると思う。それくらい言うでしょ。
中部相手には気を遣わなくていいから雑になってるだけで、筋は通す人だから。
長野くんに対しては元々放任__思うに、山梨と新潟くんが居る東に行くと思っていただろうから何も言われなかったと思うけど、
何度も勧誘した相手を諦める時、その旨の文章くらい送らない僕みたいな人じゃないんだし』
長野『それは……西にも、お前は補足されていて、もしかしたら狙われている可能性がある、と?
そして、その為に何かの計画が水面下で進んでいるというのか』
静岡『それは最悪の場合の話だけどね。僕のマイナス能力は長野くんとは違うみたい、何かは分からないけど』
長野『ここまで自覚しているのであれば、お前には逃げる、もしくは隠れる策はあるとは思うが、それで大丈夫か』
静岡『大丈夫、逃げるのは得意だし山梨以外ならすぐ負けるだなんて事ないと思う。それに、新潟くんからそう連絡があったって事は君と僕が組んでる事を山梨は誰にも口外していない。彼は実質味方だ、君がいるからかな。
…神奈川さんに対してはどう足掻いても分があまり良くない、というのは変えようがない事実だけど』
長野『…………』
長野『…来てくれ』
静岡『え?』
長野『俺は影が薄いのだろう。なら、お前が俺の元に逃げれば確実に安全なのは明確だ』
静岡『………え、何、その自信』
長野『安全な環境に身を置く上で、俺にとって最適解の答えだが』
本人は神奈川とは元々分はあまり良くないと自称しているが、能力次第ではさらに顕著になるだろう。彼の為という訳ではないが、唯一の味方が奪われる事を俺も避けたい。
彼が戦うのを避けるために俺を利用するのであれば、俺もその為に彼を利用しても良い筈だ。
静岡『……僕は静岡県に居たい。危険回避、ではなくて県としての本能みたいなもの。ずっと長野県に居ることはやっぱり無理。
……だから、戦争が終わるまでの間限定。もしも長引いて僕が一時的に静岡県に戻りたくなった時が来たら、君【も】同行すればいいんじゃない』
長野『……それって』
静岡『位置情報は共有する。………今から向かうから迎えに来て』
長野『分かった。急な連絡に関しては申し訳ない』
静岡『じゃ、また』
♪♪♪♪♪♪
最善手は打った筈だ。静岡の言うとおり、山梨以外には俺と静岡が組んでいる事は不明な筈。それなら彼のマイナス能力が存在感があまりにも強すぎる、狙われやすい、みたいな物でなければ俺のマイナス能力で守れるだろう。
・静岡視点
いきなり長野くんから連絡が来たかと思えば、神奈川さんについての話だった。
立ち位置からしてずっと懸念していて、連絡が来ていたのも知っていたけど、新潟くんにも言う程とは。………態々僕を狙う理由が何?と言われてもよく分からないけど、数的不利の東は人手がほしいからだろうし。
それはそうとして、何もしなくても安全圏に居続ける事ができそうな長野くんが、彼自身も巻き込まれる可能性もある、あの提案をするとは思わなかったけど。
静岡「…まぁ、願ったり叶ったりではあるし」
お望み通り、今は存在感が薄い騎士に守られておこう。
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??視点
……居ない?ふらふらしているが、この家は常に静岡が居る事が多い場所、と
聞いておられたがこれではもぬけの殻だ。気配すらない。数刻前には此処に居た感覚はするのだが……。
【相手の気配を察知できる】という能力を持つ我相手に逃げられたというのか?
これは……
三重「…我に偵察を依頼した愛知殿に報告すべきだろう」
つづく
今回は少し時間が空いた分新潟の勧誘、神奈川と愛知の動向、長野と静岡の絶妙な関係、三重の顔見せとてんこもりしました。
三重くんは忍者っ子です。伊賀流だから情報収集や偵察は得意。反して型破りな方法は苦手なようです。奈良くんや和歌山くんに浮気する時もあるけど、東海トリオはいつでも仲良し
新潟の勧誘から迫る危機について理解できた長野ですが、静岡の意図も知ってしまいます。
………といっても、交流する機会自体は山梨を通してそこそこあり、そんな所もあると理解はしていたので特に軋轢が生まれることはなかった模様。
長野はそんな静岡を守るべく男前な提案をしますが、守るためというよりは唯一の味方を失いたくないような感じです。
コメント
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なにこれ!めっちゃ面白いですね!文章力が神ってるわこれ…