「はぁ〜……」
今日も人一倍大きいため息をつく。
もう空は真っ暗だ。都会の道は星も見えないのだな。そうもやもやと思う。
私の実家なら少なくとも美しい星空は見えたはずだ、なんだか母と一緒に天の川を描いたことが恋しくなってきた。
私は霞沢 宙。
社会人一年目の田舎民だ。
こないだやっとの思いで都会に引越し、大きめの会社に入社した。
私は舐めていた、社会人の辛さを
毎日毎日慣れない仕事に追われ、今日も残業をする羽目に…
「なんでかなぁ…なんで上手くいってないんかなぁ…」
自分に非があるとは思えない。でも、ただの努力不足かも。
田舎民が都会で仕事を楽しめる訳無いんなんだ な…と思うと、肩の力が嫌な感じに抜ける。
リラックスは出来ない抜け方だ
「絵、描きたいなぁ…」
つぶやく声はまるでしぼんだ風船の様に小さくなって、またため息となる。
「はぁ…最近絵の具を触ってない。腕、訛ってないかな…」
私は絵を描くのが好きだ
小さい頃から何かを自分の手で表現するのが大好きで、何かと綺麗な風景を見つけては母と一緒に絵を描いていたものだ。
特に風景画を描くのが好きな私は、「都会の美しいビルが描けるかも!」と、意気込んでいた。
しかし現実はそう甘くない。
今日も筆に触れることすら許されないほどに忙しかった。
「疲れた…」
重い体を引きずりながら街を歩く。
辛い思いをしながらやっとのことでたどり着いた… のは、私のアパートでは無く、ひとつの店だった
「………え?」
あれ?なんでだ?私、ちゃんといつもの道歩いてきたのに…
疲れた体を更に迷子という形で消費してしまった。
「うわぁぁ……最悪…」
体が疲労感で悲鳴をあげている。これは少し休まないと…と思った時、間違えて来てしまった店に目が行く。
(…喫茶店かな?)
少しレトロな雰囲気を醸し出した木製の店に、いかにも喫茶店ですと言っているような佇まい。なんだか自分好みだった
「休んで…行こうかな。」
喉が渇いていたこともあってか、急いで店に入る。店内は今どきには珍しく、音楽が流れていたりしていない。静かな場所だった。
奥の方で綺麗な女性が窓の外を見ながらくつろいでいる。
これは静かにしなきゃと、席に着く音ですら気を使った。
「うわ…!凄…!」
窓の外から見ると、先程まで見えていなかった星空がとても鮮明に見える。明るくて、それでいて暗い空によく映えている
?「あの…よろしければ窓、開けていいですよ。」
「へっ?!」
突然話しかけられ、情けない声を出しながら振り向くと、そこにはさっきまで奥でくつろいでいた女性がいた。
彼女は長い金髪を耳にかけて、ニコリと微笑んだ。
まるで天の川のようだった
コメント
3件
え、語彙力すごない???????天才??
なんか自分あんま小説書く才能無い気がしてきた…好評だったら続き書きます