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『いただきます!』
「は〜い、どうぞ。」
久しぶりの大人数での夕食は、胸がじーんとした。暖かい笑顔に囲まれた食事たちはキラキラと輝いている。揚げたての唐揚げ、缶詰みかん入りのポテトサラダ、つやつやとした白米、熱々のお味噌汁。どれも昔よく頂いていたものだ。
「あたしが好きなものばっかり…」
「ははっ、さっき母ちゃんが真白たちが来るって決まったあとスーパーに飛び出してったんだよ。」
と、夕弦が楽しげに行った。
「ちょっと、言わないでよ〜」
「いいじゃん、久しぶりに真白が来るってなって嬉しかったんだろ〜?」
「そりゃそうよ〜、あんただって嬉しそうにしてたじゃない。」
と、仲睦まじく話している。
「私ね、ずーっと真白ちゃんに会いたかったのよ?」
「え…?」
「昔はよく遊びに来ていたけど、夕弦と学校も別れて、会う機会が減っちゃったから。」
「…あたしも、久しぶりにここにこられて嬉しいです。」
すると、暖かい空気を割くように、後ろから冷ややかな声が聞こえた。
「今はもう、虐められてねぇの?」
「こらっ、朝陽なんてこと言うの!」
朝陽とは、夕弦の一つ下の弟で昔はよく遊んでいた。
「だって、学校で見る度になんかされててよ〜、毎回夕弦が助けに行ってたじゃんか〜」
「…」
そう言われ、嫌な記憶が蘇る。毎朝のように上靴は隠され、みんなが教室に向かう中、1人だけゴミ箱をあさっていた。教室に行くと、黒板消しを投げられ、制服が汚れジャージに着替える。悪い日にはバケツの水をかけられた。給食の時間は先生の目を盗んで落とされ、休みの人がいた時はその人の分を、いない時は食べられない日もあった。だけど、それを助けてくれるのはいつも朝陽で、何度救われたことか。だけど、こんなこともう思い出したくなかった。
「…おい、真白?大丈夫か?」
こんな顔、見せたくなかった。
「…すみません、もう帰りますね。」
「え…」
「雪、魁。遅くなる前に帰ってきなね。」
『ちょっと!?』
こんなことになるとは。でも、虐められていたあたしが悪い。虐められていなければ、こんなことにならなかった。そもそもあたしが居なければいじめなんてなかったわけで、こうしてみんなに迷惑をかけなかった。あたしがいたから…。
「あたしなんか居なければ…」
「うっわ〜…1人で何言ってんの〜?キモイんですけど〜。」
「…え。」