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「やばいやばいやばいッ!」
先程のゆとりの有る状況とは打って変わり、結月は全力で坂を下っていた。
彼女の通う高校…宮前学園は少し特殊で、山の中に有る。
通学用のバスが手配されているが、基本的には一日に四本。
8:10のバスを逃すと、歩いて行くしか道が無い。
「あー、きつねさんだよママー」
「本当ねぇ、可愛らしいわぁ」
と言う、周囲の声も、今の彼女の耳には入らない。
目の前で今にも発車しようとしていたバスに飛び込み、荒い息を上げる。
その一連を側で見ていた青年が、「プッ…」と声を漏らした。
「…な…何よ……」
「…いやぁ?毎日懲りずによくやるよなぁ、って」
「うッ…五月蝿いっ………!」
息を切らしながら対抗する。
そんな、結月を煽る様に笑う彼の耳元で、札の様な物を靡かせている耳飾りがキラリと光った。
彼の名前は天宮 楓。
天狗の能力を持つ、優等生だ。
互いに何の面識も無かったのだが、バスで毎日会うと言う子事も有り、いつの間にか多少の会話をする程度になっていた。
「…あれ、結月じゃーん、今日こそ間に合わないと思ってた」
「何…今日こそって…そっちこそ珍しいじゃん、バスに乗ってるなんて」
一番後ろの席から、大人の女性の様な声が届く。
二人が後ろを見ると、薄浅葱色の、綺麗なストレートヘアの女性が呑気そうな笑みを浮かべていた。
彼女の名前は冬城 佳奈。
見た目で分かる通り、雪女の能力を持っている。
結月に「今日こそ」なんて言っているが、佳奈は遅刻常習犯。
三限目の途中で来て、先生に怒られるのが日常になっていた。
一番後ろの、五人掛けの座席に、楓 ,結月 ,佳奈の順番で座り直す。
そうこうしている内に、バスは林の中を呑気に走行していた。
「今日の五限って何だっけ、妖術?」
「だった気がするけど…何か無くなりそうだよねー」
「止めろ止めろ、佳奈のそう言うの、変に当たるんだよ」
そんな他愛の無い会話をしていると、キキッという音を立ててバスが止まる。
どうやら、学校に着いた様だった。
運転手が一度降り、門の側に在るインターンを押す。
この高校は、政府や妖怪絡みの建物故、セキュリティが完璧。
バス一台が通るのにも、一手間必要だ。
「よっ…と。それじゃあ、今日も頑張るかぁーっ」
「おーっ」
バスから降り、大きく伸びをする結月。
その後に続き、欠伸をする佳奈。
そんな二人の背中を、軽く微笑みながら見る楓。
ここ最近、よく見る様になった流れだ。
変な所で切りましたね
林と森の違いって、人工的に作られたか否か
らしいですよ
何でも、林の中の木は大きさが大体同じなんだとか…
羽海汐遠
14,054
ruruha
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コメント
1件
わあ、2話も読ませていただきました!バスに飛び乗る結月さんの全力疾走、めっちゃ可愛かったです😂 楓くんに「毎日懲りずによくやるな」って言われてるのが、もう日常の空気感が伝わってきてほっこりしました。そして佳奈さんの「今日こそ間に合わないと思った」の一言が、遅刻常習犯感を醸し出してて笑っちゃいました。3人の何気ない掛け合いが心地よくて、このまま毎日読みたいなあ…と思えるエピソードでした✨