テラーノベル
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「僕、怖い思いするの嫌だよ〜」
ウルフはそう言って、ぐったりとその場に座り込んだ。
「そんなこと言うなって。ほら、次へ行こうぜ」
クロの励ましで彼が少し元気を取り戻すと、二人は三角形の形をした扉を開けた。目の前は、一面砂の世界……。
「わぁ、砂漠だ!砂漠といえばラクダがつきもの!ここなら『楽ダ』が見つかるかもしれないぞ」
クロが喜んでいると風で砂がサラサラと動き、みるみるうちに文字を形作っていく。
『宝の眠る場所は、ピラミッドの番人に聞け』
「この宝って、『楽ダ』のことかも」
しかし近くに番人らしき人はいない。ピラミッドが月明かりを浴びて、ぼうっと光っているばかりだ。
空に浮かぶ美しい満月を眺めていたクロがふと横を見ると、ウルフの様子がおかしい。
「フフフフ……今夜は満月。狼男の血が騒いじゃうよ〜。ウゥウゥウゥウゥウゥウゥ……ワウォォォォーーーーン」
「あっ、そうか!ウルフって狼男だったんだっけ!」
満月の光で凶暴になった彼は大きな石を軽々と持ち上げ、手当たり次第にピラミッドへ投げつけた。
「ウルフ、やめろよ〜!おい、落ち着けよ。あ〜、どうしよう……」
慌てていた時、どこから声が聞こえてきた。
「墓を荒らすのは誰だ……生きては帰さんぞ……」
心臓が凍りつくような、冷たい声だ。
「だ、誰だ?」
辺りを見回した。向こうのほうから、身体中に包帯を巻きつけた怪物が砂の中から続々と出てきてあっという間に大軍となり、突進してくる。
「我々は……王の墓、ピラミッドをお守りするミイラ男……。ピラミッドを傷つける者は許さぬ……」
クロとウルフを取り囲み、ジリジリと迫るミイラ男たち。包帯から覗く目は、皆憎しみで爛々としている。
「呪いをかけて、お前たちを不幸にしてやる!」
「そんな……。おい、ウルフ。やめろってば!」
しかし我を失った彼には、ミイラ男の声もクロの声も届かない。恐ろしい顔つきで、激しく暴れ回っている。ウルフがこの調子なら仕方ない。
クロは勇気を奮い起こし、一歩前に踏み出た。
「俺たちは墓荒らしじゃありません。『楽ダ』を手に入れるために、やってきただけなんです。ピラミッドにあるという宝こそ『楽ダ』のことだと思うのですが、そこへ案内してくれませんか?」
『宝』という言葉を聞いた途端、リーダーらしきミイラ男の表情がさらに険しくなる。
「図々しい奴め!宝ならば、ピラミッドの中に山ほどある。だが、簡単に入れるわけにはいかない」
そういうと、一筆書きになっている鍵を見せつけてくる。難しそうに見えた鍵だが、クロはどうにか一人で解くことができた。
「ムム〜……まさか全部の鍵が破られるとは……」
ミイラ男は悔しそうな顔をしながらも、渋々ピラミッドの中へクロを案内する。しかし中は空っぽで、宝どころか何もない。
#異世界ファンタジー
99
「宝があるって言わなかった?さっきの言葉は、はったりか!?」
怒る彼に、ミイラ男は背中を向けて寂しげに答える。
「かつてはな……王の棺桶と共に、たくさんの宝があったんだ。だが、心無い者に盗まれてしまって、この有様さ……」
クロはなんだか彼らが可哀想に思えてきた。
いつの間にか月は雲に隠れている。ウルフはすっかり正気に戻ったらしく、砂の上に座り込んで目をパチクリしている。
「ウルフ、ここには『楽ダ』はなかったよ。次へ行こう」
『楽ダ』にたどり着くのは、なんだかかなり先になりそうな予感がしていた。
コメント
1件
うわ、今回も楽しかったです!「楽ダ」探しの道中でまさかの狼男化とミイラ男軍団登場で、一気に冒険感が増しましたね。クロの「はったり」って気づきのツッコミが痛快で、ミイラ男の寂しげな過去にちょっと切なくなりました。ウルフの満月前後のギャップも面白くて、次はどんな仕掛けが待ってるんだろうってワクワクします。お疲れ様です、続きが楽しみ!