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白山小梅
12
#借金
1,754
「瑠維くん……?」
すると瑠維は春香の肩に額をのせると、大きく息を吐いた。
「すみません……ここはベッドも何もないのに……。僕が勝手過ぎました。早く帰りましょう」
春香は瑠維の言おうとしていることをようやく理解したが、体は火照り、いまさら後戻りなんて出来なかった。
不満げな表情を見せると、瑠維が困ったように笑う。
「僕のせいですみません。でも春香さんを床に寝かせるわけにはいかないですし」
春香の心配をしてくれた瑠維を愛おしく思った時、あることを思い出す。
「じゃあ私が上になる……?」
以前、一度だけ春香が上になったことがあった。ただそれは瑠維がトラウマを克服するための行為であって、あの日以降はしていなかった。
だから逆にそれをすることによって、再び監禁されていた時のことを思い出したりしないかが春香は心配だった。
しかし春香の予想に反して、瑠維は嬉しそうに目を見開き、急に鼻息が荒くなる。
「いいんですか?」
「えっ、逆にいいの?」
「僕は……またして欲しいと思っていましたけど、春香さんが嫌かもしれないと思うと言えなくて……」
「そうなの? 私は瑠維くんが嫌だと勝手に思ってたから……」
二人は顔を見合わせると、唇を重ねる。瑠維は春香の体を抱き上げ、自分は床に腰を下ろし、春香を跨るように足の上に座らせた。
それから自身のデニムに手をかけたのを、春香が制する。
「私がやる」
照れ臭そうに笑って両手を上げた瑠維は、ポケットからコンドームを取り出して春香に渡した。それを見た春香は吹き出す。
「どうしてポケットに入ってるの?」
「春香さんといつでもどこでも出来るようにです」
「家で十分じゃないの?」
「……無理です。春香さんといると、いつムラムラが来るかわからないので」
それは恥ずかしいような、嬉しいような、胸がくすぐったくなる。照れ臭くて俯いた春香は瑠維のデニムのボタンをはずし、ボクサーパンツとともに膝下まで下ろした。
瑠維のモノにそっと触れると、彼が恥ずかしそうに手で顔を隠したので、その仕草が可愛くてドキドキしてしまう。
「瑠維くん、もういい….?」
そう尋ねると、瑠維は熱っぽい瞳で春香を見つめて頷いた。
前回は初めてだったからすごく緊張したのを覚えてる。でも今は、彼を早く受け入れたくてうずうずしていた。
瑠維のモノにコンドームを装着し、彼の上に跨ると、ゆっくりと自分の中へと受け入れていく。
彼と一つになると心も体も満たされて、ホッとしたような安心感を覚えた。
「春香さん……あの、体勢とか大丈夫でしょうか……」
「ん……平気だよ。でもまさか新居での初エッチが、こんな感じになっちゃうとは思わなかったなぁ……」
「す、すみません! 僕の自制心がもう少し働いていれば良かったんですが……」
「ううん、それは違うよ、瑠維くん」
「えっ?」
「私自身が瑠維くんとしたかっただけだよ。この家で瑠維くんと暮らしたいって思って決めたのも私自身。だから瑠維くんはそのまま受け止めてくれればいいんだよ」
「春香さん……」
瑠維は嬉しそうに春香を抱きしめると、優しいキスを繰り返す。その甘さに酔っていると、突然瑠維が腰を激しく動かし始めたため、春香は突き上げられる快感に体を反らした。
こんな感覚、前回はなかった気がするーー頭がぼんやりとし、あまりにも気持ちの良さに何も考えられなくなる。
その瞬間に絶頂を迎え、果てた春香は息を切らしながら瑠維の胸に体を預けた。
二人は大きく弾む胸を合わせたまま、お互いの体に腕を回す。この人が愛しくて、大切で、離れたくないと心から思った。
「春香さん……」
「ん?」
「一つ確認したいことがあるのですが」
「なぁに?」
「プロポーズは付き合ってからどれくらいが良いでしょうか?」
「プ、プロポーズ⁈ え、えっと、は、半年くらい?」
「わかりました。半年ですね」
瑠維はメガネをクイっと上げると、納得したように頷いた。
しかし逆に春香は自分で言ったことなのに、何故か心がモヤモヤし始める。
ちょっと待って。これって私へのプロポーズをいつにするかってこと? もしそうなら、半年は長い? それともちょうどいいの?
「あ、あの、でもお互いに愛し合っていたら、もう少し早くても良いのかなぁなんてーー」
「いえ、最初に口から出た言葉がきっと本心だと思いますので」
「そ、そうなの?」
瑠維はにこりと微笑むと、春香の腰を押さえて持ち上げた。その途端瑠維が春香の中から抜け、春香は思わず体の力が抜けてしまう。
もう少し繋がっていたかったのにな……残念そうに唇を尖らせた春香を、瑠維は愛おしげに抱きしめる。
「春香さん、近くに日帰り温泉施設が出来たらしいので、良かったら寄って行きませんか?」
「えっ、温泉? 行きたい!」
「その後、この家で使う家具でも見に行きましょうか」
その言葉を聞いた春香の胸が大きく高鳴る。立ち上がって部屋を見渡すと、頭の中には瑠維と過ごすこれからの未来が見えてくる。
あそこにソファ。あっちにはテレビ。ダイニングテーブルはここかなーーそんな幸せな妄想に、思わず顔が緩んでしまう。
「うん、そうしよう」
瑠維が握りしめていた下着を慌てて受け取ると、二人は意気揚々と玄関に向かい歩き始めた。
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