「……鈴」
再び呼びかけられ、カウンターテーブルにグラスがトンと静かに置かれた。
唇が寄せられ目を閉じると、口づけと共にモルトウイスキーの薫りがふわりと漂った。
「向こうのソファーに行こうか」
彼がこの後に何を求めているのかが伝わって、黙って手を引かれた。
「……いいのか?」
なめらかな感触の革張りのソファーに腰を下ろすと、返事の代わりに彼の首筋に腕を巻き付けた。
ずっとこうされたいと思っていた……。抱かれて眠るだけでも幸せだったけれど、愛されていることを肌で感じたかった……。
徐々に体重を乗せるようにして、ゆっくりと身体が倒される。
喉元に唇が押し当てられて、「あっ……」と、尖った声が漏れる。
「固くならないでいい」
緊張を解きほぐすような、穏やかな抑えた声音で言われて、
「優しくしていて……」
小さく口に出して、彼にぎゅっと抱きつくと、
「ああ、優しくしよう……」
言葉の通りに、私の背中に労わるように腕を回し、まるで壊れものを扱うかのようにそっと抱き寄せた。
部屋着が肩から落とされて、彼の手の平が下着姿の胸元を薄く滑ると、それだけで肌がふつふつと粟立つようだった。
ブラのストラップが下ろされ、バックの留め具が外されて、胸の膨らみが手の中に包み込まれる。
「……んっ…」
片手で背中を抱き、一方の手を体のラインに沿わせるように下ろしていくと、下着に指が掛けられた。
「あっ……」
触れ合って重なる胸が激しく鼓動を刻む。
「全てを、私に委ねておいで」
彼のワントーン落とした甘い声が、身体の強張りを解いていく。
しなやかな指が素足の狭間を這い上り、最奥に達すると、ゆっくりと時間をかけた愛撫に全身が次第に火照りを纏い、内壁から緩やかに追い上げられていくのを感じた。
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